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2013年を振り返る~地域連携の取組が始まる~

2013年12月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 今年も1週間余りとなりました。日本経済はアベノミクス効果等もあり、少しずつではありますが回復基調にあるのではないでしょうか。日経平均株価が久しぶりに1万5千円を超え、個人消費の拡大が観光業界にも好影響を与えています。また円安効果も寄与して、インバウンドが好調であり外国人の入込客は念願の1000万人に達することが確実視されています。

東京スカイツリー .jpg

 大きな周年行事や大河ドラマの舞台は、日本列島の東がメインとなった年でした。 東京ディズニーランドが開業30周年を迎えて、新しいアトラクションが次々に導入され、1年を通して賑いました。大人から子供まで幅広く人気が定着し、入場者数は、2,000万人を超え過去最高が予想されています。また1昨年オープンした「東京スカイツリー」効果も続き、富士山が「世界文化遺産」に登録されたこともあり、東京周辺の観光地は盛況の1年でした。

   今年のNHKの大河ドラマは「八重の桜」で、戊辰戦争では銃を持って勇敢に戦い、後に同志社大学の創始者新島襄と結婚した「新島八重」が主人公でした。前半は会津若松、後半は京都が舞台となりましたが、関連する地域には多くの観光客が訪れました。あらためて大河ドラマ放映の効果が示されています。東日本大震災で大きな被害を受けた東北地域は、官民挙げての取組が成果を上げ観光客が戻りつつあります。

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 県では官民あげて27年の大河ドラマに誘致に努力しましたが、長州が舞台となる「花燃ゆ」に決定しました。「八重の桜」には西郷隆盛や大山巌等薩摩ゆかりの人物が登場し、幕末における薩摩藩の影響力の強さを感じました。

 「花燃ゆ」は吉田松陰の妹が主人公で、幕末の動乱期の物語ですが、薩長同盟の関係もあり観光面では、プラスになると思います。28年の大河ドラマ誘致に向けて官民挙げての動きがスタートしました。粘り強い誘致活動を展開していきたいと思います。  

 三重県の伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が開かれ、近年のパワースポットブームが追い風となり、予想をはるかに上回る約1300万人が訪れました。また出雲大社も式年の行事が行われ、周辺の玉造温泉や松江地域の宿泊施設は、連日満員という盛況でした。

 このように日本列島の東に話題が多かった中で、九州新幹線開業3年目を迎えた鹿児島の現状はどうだったでしょうか。宿泊人員でみると、5月から9月までは前年を超え、大きなイベントがない中、頑張っている地域の取組が実績としてあらわれています。宿泊施設では、高額商品の販売が好調となっています。日本食が、ユネスコの世界無形文化遺産に登録され、日本旅館の良さが再認識された年であったと思います。

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 3月から「おれんじ食堂」が運行し、エージェントの企画や台湾、韓国の観光客に大好評でした。10月からは「ななつ星イン九州」の豪華観光列車も運行され、霧島温泉地域が宿泊地に選ばれ話題となりました。沿線のおもてなしも話題となり、来年の6月出発分までは予約が埋まるほどの人気です。

 2014年4月には、川内港から甑島に高速船が運行予定です。JR九州の観光列車を手掛ける水戸岡悦治さんのデザインによるもので、甑島への来島者が一段と増えるものと思われます。

佐多岬01.jpg

 九州本土最南端の佐多岬への道路が無料化され、また老朽化した施設の撤去などが進み、昨年1年間の1,5倍の観光客が訪れています。(10月末現在)大隅地域は、交通の不便さや宿泊施設が少ないこともあり、旅行商品化やPRが課題となっていました。今年から指宿地域と連携したルートづくりを進めています。

 第一次産業を活用した教育旅行への「民泊」の推進や、「さんふらわあ」を利用したスポーツ合宿が伸びています。「鹿屋航空基地史料館」は、新たな学習先として人気が高まっています。

 霧島地域は新燃岳の噴火が落ち着き、温泉地としての魅力が復活してきました。霧島は「九州オルレ」の認定コースとなり、韓国からのウオーカーも増加しています。ホテルの従業員自ら山に登り、コースを確認するなど地域を学ぶ取組も始まりました。

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 南薩地域では、「釜蓋神社」、「番所鼻公園」、「タツノオトシゴハウス」が脚光を浴びています。「茶寿会」を中心に、お茶を観光に活かす取組を始めており、温泉地指宿と連携したさらなる活動が期待されます。枕崎や坊津等を組み込んだ着地型商品の定着がかぎとなります。

 世界で一番美しいロケット基地のある種子島へは、「SSH」(スーパーサイエンスハイスクール)の修学旅行が、「世界自然遺産登録20周年」を迎えた屋久島では、縄文杉登山に加えて新たに里を廻るツアーが商品化され、オフ時期の誘致強化になるのではないかと思います

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 奄美群島は本土復帰60周年を迎え、また、「琉球・奄美」が世界自然遺産の暫定リストに記載されました。今後国立公園の指定を経て、2016年の登録に向けて環境整備が進むものと思います。

 着地型観光の推進については、「鹿児島県旅行業協同組合」が「魅旅」のネーミングで各地域の隠れた観光素材を商品化に努めています。今後も積極的な支援体制が地域の活性化と人材育成に繫がると考えています。

 九州新幹線全線開業による時間短縮効果もあり、関西地域から修学旅行専用の集約臨時列車を利用して、5,200人の中学生が訪れました。初めて鹿児島を訪れる学校が多く、農業・漁業体験や知覧での平和学習、鹿児島市内の歴史散策等鹿児島が誇る体験メニューが優位性を発揮しています。また、県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、学校の信頼を得る意味でも「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。

 若者層の誘客を進めるべく「鹿児島カレッジ」を展開し、エージェントの商品化を推進しました。柏木由紀さんをモデルにした鹿児島の観光PRが若者に共感を与え、パワースポット、食、マリンスポーツ等の認知度が高まっており、息の長い情報発信が必要になっています。

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 ターゲット先としては、最大のマーケットである首都圏での誘客をさらに強化していくことが得策と考えます。東京線はJAL.ANA,スカイマーク、ソラシドエア等航空機の供給量が多く、商品企画が容易であり、また、修学旅行やインセンティブの仕向地としても選択肢が広がります。

 ところで日本人の国内旅行は成熟しており、大きな伸びは期待できず、加えて日本の人口減少による経済規模縮小は明らかであり、アジアの時代における鹿児島県の将来の発展の基盤づくりとして、地理的優位性を活用した交通ネットワークの拡大が求められており、海外との交流人口の拡大は不可欠です。

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 上海は大きな経済成長が見込まれる環黄海地域の主要都市の一つです。南に開かれたアジアの玄関口として、上海はその中心に位置し、また、鹿児島県と同緯度にあり、100分程度で行けることからも、益々重要な都市となります。中国東方航空の上海線利用率アップが課題となっています。

 上海での鹿児島の魅力を紹介するメディアの出稿を増やす取組や、上海経由の東アジアへの商品企画の充実等官民挙げての支援が必要であり、相互交流が重要です。

 一方、台湾線については、宮崎便が3便となり、両県でデーリー化され、福岡とも連携した新たなコースの設定が可能となりました。修学旅行や職場旅行など安定的な需要開拓が必要です。

 ソウル線は12月22日から3月2日までデーリー化されますが、ゴルフ客や富裕層を中心に誘客に努め、年間のデーリー化が必要です。秋には韓国のプロ野球3球団が、鹿児島市、日置市、薩摩川内市で1カ月間秋季キャンプを張りました。延約5,000人が宿泊し経済効果は1億円を上回ると想定されます。地理的に近く、温暖な気候をPRしてキャンプ地定着に努めなければなりません。

 香港へは定期便はありませんが、ブロックチャーター等の取組で今年も多くの観光客が訪れました。また、シンガポール、タイ、マレーシア等ASEAN諸国へのアプローチも求められています。

鹿児島県観光サイト「本物。の旅かごしま」トップ画面.jpg

 インターネットやスマホを活用したWEB販売等の急速な進展に伴い、情報発信力の強化を図り、新たな需要層の獲得が不可欠です。県のホームページには毎日約6,000件のアクセスがあります。英語、韓国語、中国語「簡体字、繁体字」の4カ国語の対応も行っており、観光連盟に専門の担当者を配置し、観光地、歴史、アクセス、施設、イベント、食等の情報提供を行っています。また各自治体と連携を強化し、解りやすくシームレスな対応ができるよう改善に努めているところです。

 県のキャラクター「ぐりぶー」の動きも活発になっています。県民にどんどん利用され、国内外での宣伝のチャンスを増やすことが重要です。

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 ところで、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口その関連地域」が、世界遺産の国内候補地に選ばれ、2年後の世界文化遺産の登録を目指しています。薩摩藩が始めた「集成館事業」は後に日本が飛躍的な近代化を果たす大きな原動力になりました。「日本近代化の原点は鹿児島にあり」と世界の人々に伝えることが、県民としての誇りであり永続的な誘客につながると考えます。

 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があり、域内観光も推進しなければなりません。観光客は、地域に残る行事、祭り、花、地元の人が食べる食材や居酒屋、田舎流のおもてなし、地域で輝いている人等に魅力を感じます。

 住民が地域の魅力を知りPRできることが、何回も訪れたくなる施設・地域になることにつながります。リピーターを増やすことが何よりも大切です。「観光立県」の確立には、県民一人ひとりの「おもてなし」が不可欠です。

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 最後に今年も毎週コラムをお届けでき、292回目となりました。叱咤激励をいただき感謝申し上げます。来年の干支は「午」です。怒涛の如く駆け抜ける馬のようにスタートから頑張りたいものです。よいお年をお迎えください。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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