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大島高校のセンバツ出場を祝す~全国に奄美群島の魅力を伝える機会に~

2014年2月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島市内から南約380キロ位置する島が奄美大島です。島ではもう緋寒桜が咲き始め、九州本土より一足早く春の訪れを感じます。昨日の「第6回奄美観光桜マラソン」には、全国から1600人余りの参加者があり、ハイビスカスの花や、コバルトブルーの海に白波が打ち寄せる海岸沿いを、ランナーたちは地元の温かい声援に励まされながら走り抜けていきました。

 奄美群島は昨年12月25日に日本復帰60周年を迎えましたが、その節目を飾るのにふさわしいビッグな朗報が届きました。第86回選抜高校野球大会の21世紀枠として、硬式野球部ができて42年目になる大島高校が選ばれました。鹿児島の離島校としては初めてであり、数々のハンディを乗り越えての出場は全国的に話題になりそうです。昨年は大隅半島から初めて「尚志館高校」が選抜大会に出場し話題となりました。

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 鹿児島県からは九州代表5校の1校として「神村学園高校」も出場します。21世紀枠の選考基準は「部員不足や恵まれない環境の克服、文武両道の実践、清新の気風あふれたチーム、積極的な地域貢献活動など他の学校の模範となる学校」となっています。

 野球部員は日頃から地域貢献活動にも積極的に参加しています。2010年に奄美大島を襲った豪雨で大きな被害が発生しましたが、部員は復旧活動に尽力し、また近隣の海岸の清掃活動にも参加しています。

 大島高校は、離島というハンディがあり、鹿児島まで来るのに船で約12時間、試合ごとに前泊代、交通費等の経費がかかります。雨で試合が中止になると宿泊代が追加となるなど思いがけない出費も発生します。また、離島ということで練習試合をするにも学校が少なく、実践を積む機会も限られています。

 昭和46年、徳島県の山あいにある小さな公立高校が甲子園初出場ということで話題になりました。その池田高校は昭和49年の大会では、さわやかイレブンの名のごとく11名の部員で闘い、見事に準優勝しています。甲子園での大島高校の活躍が楽しみです。

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 奄美群島のある首長さんは、試合当日は大島高校の応援席が関西の奄美群島出身者で満員になるでしょうと語ってくれました。関西地域にある奄美群島の郷友会の活動は特に活発であり、各市町村単位で毎年ふるさと会を開いています。島唄や、太鼓や口笛を鳴らしながらの踊りは、奄美の出身者の絆の深さを感じます。その姿が見られるのが待ち遠しく思われます。


 ところで、関西地域への直接の交通機関は、飛行機が奄美空港から大阪空港へ一日一便(定員144席)と、船は神戸・大阪航路が週1便であり、島からの応援団の移動が課題です。試合決定日が間際となるため、鹿児島までの船の定期船と新幹線の利用、チャーター船等の手配が不可欠ですが、関西地域の奄美群島出身者が応援団の中心になるのではないでしょうか。

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 一方離島から初出場ということで、全国的に奄美群島をPRするチャンスです。今、「奄美・琉球」の世界自然遺産登録の準備が進められていますが、甲子園出場を機に、島民が一致団結するチャンスにし奄美群島の魅力を語ることも大切なことです。

2013年の奄美空港の乗降客利用状況によると、総乗降客数は55万6111人となり、前年比2万745人の増加となっています。本土復帰60周年効果も表れていると思いますが、全国的には奄美群島の位置や魅力については、十分知られていないのが実情です。

 甲子園球場では大きな旗やのぼり等での応援は規制されており、奄美群島の位置を印刷した応援のうちわを作り、スタンドで応援するのも一つです。 恒例となっていますが、広島県代表は、必勝と書いた宮島シャモジを持って応援しています。

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 昨年大隅半島から初めて出場した尚志館高校は1回戦を突破しました。大島高校も離島のハンディを乗り越えて、全国の離島の高校の皆さんに元気と勇気を与えて欲しいと思います。また一緒に出場する神村学園は甲子園ではなじみの学校となりました。中学校から学園で学んでいる生徒も多く活躍が期待されます。

 甲子園球場は新幹線の新神戸駅からも、50分の場所にあり鹿児島中央駅から日帰りもできます。今年の春休みは、甲子園球場に出かけて郷土チーム2校を応援しませんか。

   奄美の代表的島唄  「朝花節」より
       ハレーカナー 稀(ま)れ 稀れ 汝(な)きゃ拝(うが)でぃ
       (イチヤヌカラン ナマヌカランヨ)
       神ぬ引き合わせに ハレ 稀れ稀れ 汝きゃ拝でぃ

       「久しぶりにあなた方にお会いできて嬉しいです。
       神様のお引き合わせによって こうしてまたお会いできたのですね。」

スポーツツーリズムの推進を ~鹿児島ユナイテッドFCを支援しよう~

2014年1月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

    花の香を 風の便りに たぐへてぞ
                うぐいす誘ふ しるべには遣(や)る
                            紀友則~古今和歌集~

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 出水平野に越冬していたツルは17季節連続1万羽を超え、多くの観光客が訪れていますが、まもなく北帰行が始まります。また、今年の「指宿菜の花マラソン」には1万8千人余りが参加し、開聞山麓の黄色い絨毯を敷いたような満開の菜の花畑の中を、ランナー達が駆け抜けていきました。一方北国では大雪に見舞われ、厳しい寒さが続いています。南国鹿児島は春がそこまで来ています。

 プロ野球やプロサッカーのキャンプインが近づきました。今年はブラジルで「2014FIFAワールドカップ」が開催されます。日本チームも参加することから、6月12日から1ヶ月間テレビに釘付けとなる人が多くなるのではないかと思います。

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 日本チームの司令塔である遠藤保仁選手の激例会が、約850人の参加のもと盛大に開催されました。鹿児島市長やガンバ大阪の社長、県内外の後援会関係者等が激励の言葉を送り、JIリーグやワールドカップでの活躍に期待を寄せました。


 ところで、将来のプロサッカーリーグ(Jリーグ)加盟をめざし、2つの地元のクラブが合併して「鹿児島ユナイテッドFC」が誕生しました。クラブ名については、「連合・合併」という意味に加えて、薩摩・大隅の両半島を含む鹿児島県民全体で協力してチームを盛り上げていくことや、県内外の鹿児島を愛する人々の団結力が込められています。

 統合クラブは昨年のJFL理事会で、JFLの入会が承認され、ホームスタジアムは、「鹿児島県立鴨池陸上競技場」となっています。これからJ3、J2、そしてJ1を目指すことになります。

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 高校サッカーにおいては、鹿児島実業、神村学園、城西高校等が全国大会で活躍してきました。また、前園、遠藤兄弟、城、大迫選手等多くの優秀な選手を輩出してきましたが、ほとんどが県外に本拠地を置くチームに所属しています。プロサッカー選手を目指す若者には、地元での活躍の場がなかっただけに、今度のチーム誕生は大きな励みとなります。また、県民も郷土チームの応援に熱が入ると思います。

 プロリーグの開催試合は、ホームとアウェーで半分ずつ行われるため、アウェーチームの来鹿の際はサポーターも宿泊するため、宿泊、飲食等大きな経済効果をもたらします。 鹿児島に来たサポーターを温かく迎え、鹿児島ならではのおもてなしで歓迎しなければ なりません。鹿児島中央駅前の「かごっまふるさと屋台村」は、試合終了後のたまり場になるのではないかと思います。また、関連グッズの販売も欠かせません。

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 今年のサッカーのキャンプは、宮崎県で23チーム、県内では韓国のチームを含めて12チームが、鹿児島市、霧島市、指宿市、薩摩川内市、南さつま市、さつま町でキャンプを張ります。J1リーグの清水エスパルス、浦和レッドダイヤモンズ、柏レイソルや、J2のジュビロ磐田、京都サンガF・C、は永年にわたり県内でキャンプを張っており、多くのサポーターも訪れます。

 プロの選手はキャンプ期間中練習だけでなく、キャンプ地の住民との交流会や野球・サッカー教室等を開くなど交流を深めています。そのことが人気に拍車をかけています。県内でキャンプしているサッカーチームには、郷土出身者も在籍しています。 球場に親子で出かけて、日ごろはなかなかできない貴重なふれあいを深め、サッカーファンになって欲しいと思います。

 ところで今年のプロ野球のキャンプは、沖縄県で11チーム、宮崎県が5チームと両県に集中しています。キャンプチームが集中していることは、練習試合にも都合がよく、開幕に向けての調整もしやすい環境にあります。

 県内では薩摩川内市で、千葉ロッテマリーンズのファームが、鹿児島市で韓国のロッテジャイアンツがキャンプを張ります。練習場に恵まれ、温泉があること、市民あげての温かいおもてなしが定着していることも、鹿児島が選ばれている理由ではないでしょうか。

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 キャンプ地として選ばれることは、選手の宿泊だけでなく多くの応援ツアー、取材陣が訪れます。キャンプ地レポートとして毎日地域のことが全国に放送されることから、観光地としての知名度アップにもなります。2013年の沖縄県におけるプロキャンプによる、関係者、マスコミの取材、ファンの訪問者等宿泊、飲食施設の利用等その経済効果は81億円と推定しています。(りゅうぎん総合研究所試算)

 今回「鹿児島ユナイテッドFC」が誕生しましたが、有力スポンサーを核に県民からの寄付も募り、支援体制を確立することが重要です。ファンクラブの創設による応援団の確保も不可欠です。

 最期に2020年に東京オリンピック開催が決定し、事前キャンプ誘致や大会後の観光客誘致にも力を注がねばなりません。オリンピックは夏に開かれるため、体調を慣らす意味では、鹿児島は事前キャンプを行うには適地と思います。情報発信や人材の活用等オリンピックの対応窓口も求められます。同じ年に鹿児島国体も開催され話題も豊富です。

 鹿児島県は冬場の気候は温暖で、温泉も県内各地にあり、また、豊富な食材、飛行機や新幹線等交通アクセスも格段に整備されキャンプ誘致の条件も整っています。 今回のプロサッカーチーム誕生をまちづくりや交流人口の拡大につなげ、スポーツツーリズムの推進になお一層努めたいものです。   

感動・感激をもたらすおもてなしとは~加賀屋の流儀に学ぶ~  

2014年1月20日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 北陸の能登半島は冬場は厳しい寒さにさらされ、観光客も少なくなります。その玄関口にある七尾湾に面し、温泉旅館が立ち並ぶ場所が全国有数の高級温泉街と知られる和倉温泉です。

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 その中でも旅館「加賀屋」は、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」(旅行新聞社主催)の総合部門で、34年間第1位の表彰を受けている日本を代表する旅館の一つです。ちなみに、指宿温泉のホテル秀水園が料理部門で30連覇しています。

 加賀屋は客室数248、総宿泊客室定員が1450人、年間宿泊者は約22万人、客室稼働率は70~80%であり、それを従業員650人で支えています。徹底したサービス精神の姿が、口コミで伝わり多くの顧客の支持を得ています。2010年には、台湾に「加賀屋 北投」をオープンしています。

 加賀屋は、建物、客室、浴場、オープンスペースともすばらしい造りとなっていますが、企業理念として「笑顔で気働き」を掲げ、おもてなしのサービスを最大の商品として位置づけ、宿泊者に対しそこで働く従業員で最高のおもてなしを提供することを目指しています。女将がすべての客室に出向いて挨拶するなどトップ自らおもてなしを実践しています。 

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 お客様の来館の目的を事前に察知すれば、可能な限りそれに沿ったサービスを提供しています。還暦の旅行と知れば、赤い帽子や服装の準備を、法事の等に関する旅行では、亡くなったひとのために陰膳を準備します。期待を超えるサービスを、お客様から言われる前に提供して行くことを徹底しているのが加賀屋の流儀です。

 また、過去に宿泊した顧客のデータベース化を進め、サービス提供につなげています。人は自分の名前を呼ばれた時に、その存在を認められたものとして、喜びを感じるものですが、一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうため、積極的に相手の名前と顔を知ることにも努めています。

 寝床の枕の硬さの具合、薬を常用される方の部屋には、氷無しの水だけのポット、アレルギーの有無、食事の好き嫌い等事前のチエックを十分行っています。

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 お客様が到着してお部屋に案内するまでの間に、館内の説明や翌日の予定を聞き的確な方法でサービスを提供できるよう心がけています。体の不自由な方が、翌日の指定券が取れていない場合は、乗車予定の列車の席を確保する為、前の駅まで職員が行きそこで自由席に座り、「和倉温泉駅」で交代してその席に座らせる努力も惜しまないといいます。

 「お客様の思い」を具体的な「こと」に変えて提供することが、「価格」を超えた「感動」を生みます。それは人の行動であり、これこそがホスピタリティです。

 和風旅館で高品質のおもてなしを機械化することは難しいことです。加賀屋では、料理の運搬等の機械化を進め、客室係がお客様にサービスを提供する時間をできるだけ長く確保できるよう改善を図っています。そのことで盛り付けの崩れや食器等の破損も少なくなるなどの効果も生まれています。

 従業員の定着や子供の教育環境改善にも努めており、企業内保育所の設置や母子家庭の社宅も併設されています。そのことが客室係にとっては、おもてなしに専念できる精神的な支えとなっています。

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 加賀屋では、誰がやっても同じサービスを提供できる仕組みづくりや、経験豊かな客室係が、新しく入ってきた客室係に伝承していくことなど社員教育にも日頃から取組んでいます。年間3万通のアンケートを分析し、指摘された課題は速やかに対応し、お褒めの言葉は掲示するようにして、すべての従業員が共有できるようにしています。

 また、従業員の仕事の効率化をすすめ、チェックアウト時は人手が要るため、フロント や売店やコーヒーショップ等へ作業の支援を行っています。人をお送りするとき細かい配慮がなされています。

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 顧客への「満足」が創り出すものは、次回の宿泊先として、たくさんある選択肢の一つに残してもらえることです。サービスに接する時、お客様はこれまでの体験から事前期待を持ちます。この期待を超えた時に、感動が生まれます。 加賀屋の従業員一人ひとりが、感動・感激を与えるサービスを提供するんだという自信と誇りを持っていることが、施設への信用と人気となっていると感じます。


 ところで、大手情報誌リクルート社「じゃらん宿泊旅行調査2013」の調査によると、鹿児島県の観光地としての総合評価は、沖縄県に次いで2位、おもてなし好感度は第4位となっています。鹿児島弁でおの出迎え、新茶とふるさとの駄菓子によるおもてなし、野に自然に咲く花をお部屋に飾る、火山灰の入った灰皿を置く、見送りは車が見えなくなるまで手を振る等鹿児島らしい優しい対応が求められます。

 観光客の地域の最終的評価は、そこに住む「人」です。一度訪れた観光客が、リピーターとなり、居住してみたいと思わせる環境づくりも必要です。

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 鹿児島県では、観光客を温かく迎える「観光まごころ県民運動」を展開しています。しかしながら企業によって取組みに差があり、十分徹底してないところもあります。 「司馬遷」の「史記」の中に「桃李もの言わざれども 下自ずから渓を成す」という言葉があります。信頼される施設への努力を日頃から全従業員で取組む必要性を感じます。  企業経営における顧客に対するおもてなしの姿勢が問われます。

 日本の和食が、昨年ユネスコの世界の無形文化遺産に登録されました。日本旅館での「おもてなし」が今以上に国内外から注目されています。アベノミクス効果も徐々に表れており、宿泊単価の上昇も見られるようになり、高品質を売りとする宿泊施設の稼働が顕著となっています。

 日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。 加賀屋のおもてなしに学ぶべきことが多いのではないでしょうか。

          参考:「最強のサービス」の教科書 内藤耕 講談社現代新書

焼酎文化でおもてなしの提供~焼酎の消費拡大につなげよう~

2014年1月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 1月も半ばとなり、開聞山麓は菜の花が見ごろを迎え、観光客の目を楽しませています。年明けの各種会合では、焼酎での宴会が例年になく話題となったのではないでしょうか。焼酎は鹿児島県の特産品であり、平成22年度の本県製造品の出荷額としては、配合肥料、部分肉(冷凍肉含む)に次いで第3位で、約1,260億円となっています。

 また、焼酎は製造に従事する製造業者が、特定の企業の独占状態ではなく、全県的に分布していることが他県との違いです。また、原料生産者(農家)、酒販業、料飲業等関連産業が多い産業です。

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 第一次産業として、さつまいも、米、さとうきびの活用、第2次産業として、包装資材、燃料、飼料製造、第3次産業としては、運送業、宿泊施設、料飲店、酒販店等多くの分野に経済効果をもたらしています。本県の農産物を加工・販売を行うという農商工等連携のモデルと位置づけられています。

 県内の焼酎蔵元数は111あり、銘柄は1000種類を超え、さつまいもを主原料とする「薩摩焼酎」と、奄美群島に限って製造が認められている「奄美黒糖焼酎」があります。出荷量については、本格焼酎ブームがおきた平成18年度が最高となり、1升瓶換算で約1億2千万本相当となっていましたが、その後減少し平成24年度では、1億本相当(18年比84%)となっています。焼酎の販売を維持・拡大していくためには、県内産のさつま芋の安定的確保が不可欠です。

 ところで観光庁では、昨年「酒蔵ツーリズム推進協議会Ⓡ」を設立し、日本の伝統的酒である日本酒をPRし販売拡大につなげるとともに、酒蔵を観光資源として地域の活性化に活かす取組を推進しています。時あたかも、日本の伝統的な和食文化が認められ、ユネスコの無形文化遺産への登録が決定しました。外国人の入込客が1,000万人を超えたこともあり、日本酒文化を定着させる良い機会が訪れたと思います。

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 全国的に「日本酒での乾杯」をすすめる条例の施行が相次いでおり、すでに京都市を皮切りに9市町と佐賀県で成立しています。県内では、いちき串木野市が「焼酎で乾杯」条例をつくり、地元焼酎での乾杯の習慣を広めようと、市や業者、市民が協力して取り組んでいます。

 鹿児島県議会は昨年のⅠ2月の議会で、特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でもてなすことを求めた「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」を全会一致で可決し、今年の1月1日から施行されました。条例に規定する取組等が強制とならないよう「個人の嗜好と意思を尊重する」ことも明記されており、また、乾杯だけにこだわらず焼酎によるおもてなしに努めることを盛り込んでいます。

 特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でおもてなしすることを目的に、需要拡大、鹿児島のイメージアップにもつなげる必要があります。 販路拡大や認知度向上の取組としては、「ボージョレヌーボー」の解禁日がメディアで大々的に宣伝され国民にも定着しています。

 「新酒まつり」や「本格焼酎の日」、「黒糖焼酎の夕べ」、「焼酎ソムリエのイベント」等を開催することで、新たな需要開拓が可能となります。他の業界では『バレンタインデー』や『ホワイトデー』等の事例が需要拡大につながっています。

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 一方観光客や県外客に対し新商品開発やおいしい飲み方の提案が欠かせません。度数の低い焼酎、口当たりまろやかな飲物、スパークリング、季節(夏用、冬用)や食材(肉料理、魚料理)、場所(ビヤホール、結婚式、法事)等にあった焼酎の提供も求められます。

 また、時間をかけて寝かせる前割、お茶割、水割、ロック割、お湯との配分を変える割り方等原料の味を失わない中で、飲み方の工夫や伝授が必要です。目盛りのついたグラスを用意することも喜ばれます。

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 外国人観光客が急増する中で、飲食時に焼酎を提供しファンになっていただき、PR効果をもたらす取組が必要です。焼酎は蒸留酒であり、ワイン好きの外国人には親しみやすい飲みものではないかと思います。原料や製造法について書かれた外国語表記のパンフも欠かせません。

 観光地のルート上にある蔵元を訪ねるツアーを提案し、焼酎づくりの体験や購入予約をパッケージにした旅行商品の企画も求められます。記念品として、ラベルにオンリーワンの工夫をしたマイボトルを作ることをお勧めします。

 薩摩の焼酎造りは、明治時代薩摩半島の風光明媚な笠沙の地で、3人の若者が焼酎造りの技術を伝え、黒瀬の集落にまたたく間に広がり、彼らは季節になると九州一円の酒造に出稼ぎにおもむき杜氏、蔵子として腕をふるったと言われています。「杜氏の里笠沙」に行くとその歴史を学ぶことができます。鹿児島の経済を支えている焼酎を、県外客にもっと広める意味でも、おもてなしの視点で、焼酎文化を作り上げることが重要です。

 ところで、子供の頃正月や祭りの宴席で大人たちが、木の棒を手に隠して、面白い言葉で数当てをし、焼酎を楽しく飲みながら親睦を図っている光景がよく見られました。南九州に古くから伝わる「なんこ遊び」です。

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 なんこは対戦する二人が向き合い、固い樫の木でつくられた10センチ程度のなんこ珠を3本後ろ手に隠して持ち、その何本かを右手に移して畳の上(なんこ盤)に突き出し、合計数を予想して言い、互いに手を開いて持っている本数を見せ合い、勝ち負けを決める遊びです。負けた方が、事前に盃に盛られた焼酎を飲むことになります。

 手つきでなんこ棒を出す姿は滑稽であり、仲間の笑いを誘います。次から次に選手が交代し、座は一変に盛り上がっていき、焼酎の量も増えていきます。又外国人に教えると、手のしぐさや数字の言い方になど伝統的日本文化の遊び方に興味を示します。

 焼酎の需要が足踏みしている中で、なんこ遊びを定着させ焼酎の新たな楽しみ方を提供し、おもてなしの一環として焼酎のファンを開拓して売り上げにつなげたい思いがあります。又、特産品の薩摩焼の一つである「黒じょか」に焼酎を入れ盃につぐという伝統的飲み方を教えることで、お土産としてセットで買ってもらうことにもつながります。

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 なんこは漢字では「南交」と書き、南方と交易が盛んであった薩摩藩が取引の祭、接待の一つとして活用した高尚な遊びと言われています。県外の方がみえた時、なんこ遊びを教えることで交流も深まり、思い出に残ります。 鹿児島の伝統的遊びである「なんこ遊び」を復活させ、焼酎文化の復活に一躍を担いたいものです。

 かごしまの固有の歴史、伝統、自然が育んだ地域の食文化を保護・継承し発展させていくことも重要なことです。県内のいたるところに焼酎の蔵元が点在しており、今回の「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」の制定を機に、食と一緒に地域ならではのおもてなしを提供したいものです。
 参考:かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし県民条例の制定について

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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