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焼酎文化でおもてなしの提供~焼酎の消費拡大につなげよう~

2014年1月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

平成26年観光連盟新年互礼会.jpg

 1月も半ばとなり、開聞山麓は菜の花が見ごろを迎え、観光客の目を楽しませています。年明けの各種会合では、焼酎での宴会が例年になく話題となったのではないでしょうか。焼酎は鹿児島県の特産品であり、平成22年度の本県製造品の出荷額としては、配合肥料、部分肉(冷凍肉含む)に次いで第3位で、約1,260億円となっています。

 また、焼酎は製造に従事する製造業者が、特定の企業の独占状態ではなく、全県的に分布していることが他県との違いです。また、原料生産者(農家)、酒販業、料飲業等関連産業が多い産業です。

黒糖焼酎2.jpg

 第一次産業として、さつまいも、米、さとうきびの活用、第2次産業として、包装資材、燃料、飼料製造、第3次産業としては、運送業、宿泊施設、料飲店、酒販店等多くの分野に経済効果をもたらしています。本県の農産物を加工・販売を行うという農商工等連携のモデルと位置づけられています。

 県内の焼酎蔵元数は111あり、銘柄は1000種類を超え、さつまいもを主原料とする「薩摩焼酎」と、奄美群島に限って製造が認められている「奄美黒糖焼酎」があります。出荷量については、本格焼酎ブームがおきた平成18年度が最高となり、1升瓶換算で約1億2千万本相当となっていましたが、その後減少し平成24年度では、1億本相当(18年比84%)となっています。焼酎の販売を維持・拡大していくためには、県内産のさつま芋の安定的確保が不可欠です。

 ところで観光庁では、昨年「酒蔵ツーリズム推進協議会Ⓡ」を設立し、日本の伝統的酒である日本酒をPRし販売拡大につなげるとともに、酒蔵を観光資源として地域の活性化に活かす取組を推進しています。時あたかも、日本の伝統的な和食文化が認められ、ユネスコの無形文化遺産への登録が決定しました。外国人の入込客が1,000万人を超えたこともあり、日本酒文化を定着させる良い機会が訪れたと思います。

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 全国的に「日本酒での乾杯」をすすめる条例の施行が相次いでおり、すでに京都市を皮切りに9市町と佐賀県で成立しています。県内では、いちき串木野市が「焼酎で乾杯」条例をつくり、地元焼酎での乾杯の習慣を広めようと、市や業者、市民が協力して取り組んでいます。

 鹿児島県議会は昨年のⅠ2月の議会で、特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でもてなすことを求めた「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」を全会一致で可決し、今年の1月1日から施行されました。条例に規定する取組等が強制とならないよう「個人の嗜好と意思を尊重する」ことも明記されており、また、乾杯だけにこだわらず焼酎によるおもてなしに努めることを盛り込んでいます。

 特産品の焼酎の普及を目指し、県外からの来客を焼酎でおもてなしすることを目的に、需要拡大、鹿児島のイメージアップにもつなげる必要があります。 販路拡大や認知度向上の取組としては、「ボージョレヌーボー」の解禁日がメディアで大々的に宣伝され国民にも定着しています。

 「新酒まつり」や「本格焼酎の日」、「黒糖焼酎の夕べ」、「焼酎ソムリエのイベント」等を開催することで、新たな需要開拓が可能となります。他の業界では『バレンタインデー』や『ホワイトデー』等の事例が需要拡大につながっています。

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 一方観光客や県外客に対し新商品開発やおいしい飲み方の提案が欠かせません。度数の低い焼酎、口当たりまろやかな飲物、スパークリング、季節(夏用、冬用)や食材(肉料理、魚料理)、場所(ビヤホール、結婚式、法事)等にあった焼酎の提供も求められます。

 また、時間をかけて寝かせる前割、お茶割、水割、ロック割、お湯との配分を変える割り方等原料の味を失わない中で、飲み方の工夫や伝授が必要です。目盛りのついたグラスを用意することも喜ばれます。

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 外国人観光客が急増する中で、飲食時に焼酎を提供しファンになっていただき、PR効果をもたらす取組が必要です。焼酎は蒸留酒であり、ワイン好きの外国人には親しみやすい飲みものではないかと思います。原料や製造法について書かれた外国語表記のパンフも欠かせません。

 観光地のルート上にある蔵元を訪ねるツアーを提案し、焼酎づくりの体験や購入予約をパッケージにした旅行商品の企画も求められます。記念品として、ラベルにオンリーワンの工夫をしたマイボトルを作ることをお勧めします。

 薩摩の焼酎造りは、明治時代薩摩半島の風光明媚な笠沙の地で、3人の若者が焼酎造りの技術を伝え、黒瀬の集落にまたたく間に広がり、彼らは季節になると九州一円の酒造に出稼ぎにおもむき杜氏、蔵子として腕をふるったと言われています。「杜氏の里笠沙」に行くとその歴史を学ぶことができます。鹿児島の経済を支えている焼酎を、県外客にもっと広める意味でも、おもてなしの視点で、焼酎文化を作り上げることが重要です。

 ところで、子供の頃正月や祭りの宴席で大人たちが、木の棒を手に隠して、面白い言葉で数当てをし、焼酎を楽しく飲みながら親睦を図っている光景がよく見られました。南九州に古くから伝わる「なんこ遊び」です。

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 なんこは対戦する二人が向き合い、固い樫の木でつくられた10センチ程度のなんこ珠を3本後ろ手に隠して持ち、その何本かを右手に移して畳の上(なんこ盤)に突き出し、合計数を予想して言い、互いに手を開いて持っている本数を見せ合い、勝ち負けを決める遊びです。負けた方が、事前に盃に盛られた焼酎を飲むことになります。

 手つきでなんこ棒を出す姿は滑稽であり、仲間の笑いを誘います。次から次に選手が交代し、座は一変に盛り上がっていき、焼酎の量も増えていきます。又外国人に教えると、手のしぐさや数字の言い方になど伝統的日本文化の遊び方に興味を示します。

 焼酎の需要が足踏みしている中で、なんこ遊びを定着させ焼酎の新たな楽しみ方を提供し、おもてなしの一環として焼酎のファンを開拓して売り上げにつなげたい思いがあります。又、特産品の薩摩焼の一つである「黒じょか」に焼酎を入れ盃につぐという伝統的飲み方を教えることで、お土産としてセットで買ってもらうことにもつながります。

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 なんこは漢字では「南交」と書き、南方と交易が盛んであった薩摩藩が取引の祭、接待の一つとして活用した高尚な遊びと言われています。県外の方がみえた時、なんこ遊びを教えることで交流も深まり、思い出に残ります。 鹿児島の伝統的遊びである「なんこ遊び」を復活させ、焼酎文化の復活に一躍を担いたいものです。

 かごしまの固有の歴史、伝統、自然が育んだ地域の食文化を保護・継承し発展させていくことも重要なことです。県内のいたるところに焼酎の蔵元が点在しており、今回の「かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化おもてなし県民条例」の制定を機に、食と一緒に地域ならではのおもてなしを提供したいものです。
 参考:かごしま本格焼酎の産業振興と焼酎文化でおもてなし県民条例の制定について

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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