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No.301 小説の舞台や、童謡・唱歌に歌われた景観とは ~美しい日本の原風景を大切に~

2014年3月3日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。
                ~川端康成『伊豆の踊子』から

 上記の文章は、ノーベル文学賞を受賞した川端康成の「伊豆の踊子」の冒頭の文です。何回読んでも素晴らしい文章です。川端康成は、「上海」や「旅愁」の著で知られる横光利一と並んで、新感覚派を代表する作家の一人です。「伊豆の踊子」や「雪国」は、過去何回も映画化され、小説の舞台となった伊豆の湯ヶ島や下田、越後湯沢温泉等はロケ地として有名になりました。

 伊豆の天城峠を訪ねると、苔の生えた石造りの天城トンネルやスギ林に囲まれた坂道が続き、小説の舞台がそのままあり、川端康成が愛してやまなかった伊豆の魅力を醸し出しています。

棚田(縮小).jpg

 ところで、童謡や唱歌は、日本の美しい田園風景や四季の移ろいが詩となり、それにメロディが付けられ、子供のころから口ずさんでいる歌が多いのではないでしょうか。「故郷」、「春の小川」、「夏の思い出」、「赤とんぼ」等美しい日本の四季が浮かび上がります。

 小学生のころ音楽が苦手で、いつも口をもごもごして声を出さないでいると、先生に叱られた記憶や、中学生になり声の変性期と重なり「椰子の実」の歌を男子生徒が歌わず、音楽の先生を泣かしたのを覚えています。

 今ではその頃のやんちゃな頃を忘れて、日本の美しい情景が唱歌と一緒に流れると、菜の花やレンゲ畑の畔道を、ミツバチを追いながら自転車で中学校に通った頃を思い出します。「メダカ」や「うなぎ」が泳ぐ小川が校庭の隅を流ており、美しい田舎の原風景がそこにはありました。

冬景色.jpg

 国語学者金田一春彦氏は、ある式典で同席された美智子皇后様から、「私が好きな唱歌は『朧月夜』と・・・・『冬景色』です」とお聞きして、自分と同じ曲であるとポンとひざを打ちたかったという。二つの曲は、春と冬の日本の自然の情景が美しく描かれ、目の前に出てくるような錯覚を覚える素晴らしい曲です。

 奈良時代に編纂された「万葉集」やその後の「古今和歌集」、「新古今和歌集」には、美しい四季の歌がありますが、自然現象に託して故郷への想いや恋心を伝えています。

 日本は四季がはっきりし、気候の変化は美味しい農水産物をも生み育てます。穀物やくだもの、野菜、近海の豊饒な海では、タイやアジ、キスなどが獲れます。山林や火山が多い地形は、美味しい水が湧きでるという恵みをもたらしています。また、冬は赤い椿が白い雪に映え、春になると桜前線が日本列島を縦断し、夏は朝顔やひまわりが咲き、秋になると野山は紅葉し、色とりどりの景観が列島を南下します。

 桜や紅葉の美しさは日本人だけでなく、多くの外国人の心をひきつけます。外国人は桜や紅葉の美しさに憧れて日本を訪れます。訪日外国人が1000万人を超えた今、鹿児島が持つ自然の美しさ、温泉、食、おもてなしの心を持って誘客に努めなければなりません。

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 鹿児島では「郷中教育」、「日新公のいろは歌」、「出水兵児修養掟」など、人として生きる心構えを教えており、薩摩の偉人が育つ環境づくりに役立ったと感じます。 子供のころから、古里の美しい田園風景や、歴史、祭り等を学ぶ機会を増やして行かねばなりません。そのことが故郷を愛する心を育むことにつながります。

 また、日本の伝統的生活や文化、歴史、美しい自然が歌われている、童謡・唱歌の舞台を訪ねるのも旅の楽しみではないでしょうか。

 鹿児島にはいたるところに、日本の原風景が残されています。白砂青松の海岸、レンゲソウの美しい畑、田植えの後のきれいに水を張った棚田、整然と植えられた杉林、石を積み重ねて造られた段々畑等人々の知恵が生きています。

 都市周辺部では、開発が進み昔フナやコイが泳いでいた小川は、コンクリートの蓋で隠れて見る影もありません。滝廉太郎が作曲した「花」では、当時の隅田川は次のように表現されています。

桜(ふんわり).jpg

春のうららの隅田川 上り下りの舟人が 
櫂(かい)のしずくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
見ずやあけぼの 露浴びて われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を

 明治時代の隅田川は清流の川でした。われわれは、美しい日本の原風景をいつまでも残していくことが求められています。そのことが、外国人にも支持される国になるのではないでしょうか。

No.300 これからの鹿児島の観光に求められるものとは~インバウンドやMICEへの取組強化を~

2014年2月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

          岩ばしる 垂水の上の さわらびの
             もえいずる春に なりにけるかも
                           志貴王子~万葉集~

桜とメジロ.jpg

 一雨ごとの温かさにひがん桜が満開となり、メジロの鳴き声が一段と美しい音色に変わってきました。3年前の3月12日、九州新幹線が全線開業し、「みずほ600号」が多くの人々の万歳の声に送られて新大阪駅にむかった姿が、鮮明によみがえります。東日本大震災直後で人の動きが懸念されましたが、その年のゴールデンウイーク以降急速に回復してきました。

 ここ3年間の宿泊客数は、何とか前年を超えて推移しています。2018年が明治維新150周年に当たることから、これから5年間関連する行事が予定されており、新しい情報を提供して誘客を図らねばなりません。

 今後の鹿児島の観光にとっての課題を整理したいと思います。 日本人の人口が減少していくことから、国内旅行の大きな伸びは期待できず、各地域と も外国人の誘客が課題となっています。平成25年、県内の外国人宿泊客数は、約14万人で全体の4%程度に過ぎませんが、年々増加の傾向にあります。昨年日本への外国人の入り込み客数は、待望の1000万人を越え、東アジアを中心にタイやシンガポール、マレーシアなどASEAN諸国からの伸びが顕著となっています。(25年観光動向調査<サンプル調査>)

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 鹿児島県におけるインバウンドの実績は、台湾、韓国、香港、中国の順となっています。3月30日から香港便が就航し、海外が4路線となり、今後大幅な伸びが期待されます。先日JNTOのシンガポール事務所の加藤次長をお招きし「外国人観光客受入体制推進講習会」を開催しました。

 インバウンドに対する受入施設の関心も高まっています。各施設では多言語のホームページが必要になっていますが、少なくとも英語だけでも対応できるように準備を進めて欲しいと思います。

 海外からの誘客は、現地エージェントやランドオペレーターを介する場合が多くありますが、最近はインターネットで直接予約する人が急増しています。FITが主流となっており、ブロガー対策として有力メディアの招聘、鹿児島でのWiFiや外国語表記の充実が求められます。ミッションのあり方について再検討の必要性を感じます。

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 東日本大震災被災地での日本人の整然とした行動や支援の姿に、外国人は日本人のモラルの高さに驚嘆の声をあげました。また昨年日本食がユネスコの世界無形遺産に登録され、日本への旅行の関心が高まっており、今後のインバウンドに期待がかかります。 路線が増え、鹿児島からの海外旅行も身近なものとなり、若いうちから海外の文化を学ぶべく、修学旅行や少年の翼等研修の機会を増やすことが大切ではないかと思います。

 個人旅行が7割を占める中で、団体の集客が見込めるMICEへの取組強化が求められます。MICEのM(Meeting)はミーティングです。企業や団体が主催する各種の会議やセミナー、講演会などの開催は数日に及ぶこともあり、宿泊費や飲食代など経済的な効果も大きくなります。経済セミナーや著名人によるスキルアップ研修など、教育の機会として捉え多くの会議を誘致すべきです。

 I(Incentive)は、インセンティブです。企業が従業員や代理店等の売上や貢献度に応じて、実施する報奨旅行です。旅費、パーティ、ゴルフ等現地で消費される金額は大きく、数千名を超す規模のものもあります。車のディラー、外資系の保険会社、化粧品会社、女性の服飾チェーン等が定期的に実施しており、大型のリゾートホテルやゴルフ場が隣接していることは、誘致が可能となります。福岡市内での大会、会議の後のインセンティブの行き先として、鹿児島を提案しており、エージェントへのセールスを強化しています。

 C(Convention)は、コンベンションです。学術団体や業界団体の会議、国際会議と様々です。大都市圏では国際会議の誘致に力を注いでいます。昨年鹿児島市で開催された世界火山会議などがその例です。医学部系の大学がある都市では、各種の病理の研究学会が、また、経済関連の業種別大会、ロータリー、ライオンズクラブ等の組織団体、教育関連では、校長会、PTA、各教科等は、九州、全国大会が持ち回りで毎年必ず開かれています。  県都だけではなく地方での大会誘致が必要です。

 E(Exhibition / Event)は、エキシビションとイベントです。エキシビションは、出展者と来場者の商談を目的とした展示見本市や、数ヶ月に渡って開催されるエキスポや花の博覧会等があります。2011年県内各地で開かれた「都市緑化フェア」は成功事例です。

 イベントは全国規模のスポーツ大会があり、国体、インターハイ、各種競技、文化団体では、合唱コンクール、吹奏楽や来年開かれる「国民文化祭」等があり、大きな集客力が見込め、観光資源としては多くの人を集めるコンテンツにもなります。  指宿の「菜の花マラソン」や「菜の花マーチ」は、毎年2万人近くが集まる大会となっています。また、地域興しの手法として、地域の食材を活用した「Show ― 1グランプリ」など食のイベントも集客効果が見込めます。

 MICEは、広い分野に経済効果をもたらします。料飲、宿泊、輸送機関といった観光業者だけでなく、広告、印刷等イベント関連業者への波及効果がも大きくなります。現在、県内で開催されるMICEの多くは鹿児島市内に集中していますが、規模や業種によっては、指宿、霧島、鹿屋、薩摩川内市などで開催することも一つの方策です。 

 また、鹿児島の優位性を活かした自然遺産や宇宙科学等、離島で開催するのも参加者が増える要素にもなります。参加者が、大会後県内各地に足を運ぶことから、地域に関する情報発信がなされることも大きなPR効果をもたらします。鹿児島県は九州本島最南端にあり、温泉、食、火山、自然遺産、離島、歴史、宇宙科学等MICEの誘致には、魅力的な観光、研究素材が豊富です。積極的な誘致が求められます。

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 比較的順調に伸びている教育旅行の課題です。関西・中国地域から27年は集約臨時列車で7,000人の中学生が訪れます。農業・漁業体験を実施する学校が増加し、知覧の平和学習、桜島や霧島の火山・自然学習、鹿児島市の歴史探訪等が、優位性を発揮しています。

 県内全域に、約1000軒の農家民泊の供給が広がる中で、「簡易宿所営業」許可を取得している施設は15%程度にすぎず、学校側から「簡易宿所営業」取得が民泊先の条件として提示されると、鹿児島は、教育旅行の行先からはずされてしまい、既存の宿泊施設にも影響が及びます。

 他県では「簡易宿所営業」の許可を取る施設が増えており、ぜひ各地域でこの問題に取組むことが必須となっています。各自治体、NPO法人、エージェントと連携し早期の取組が望まれます。そのことが安定的に鹿児島へ教育旅行を誘致できる条件となります。

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 2015年には「明治日本の産業革命遺産 九州・山口及び関連地域」が、世界文化遺産に正式登録の準備が進められており、そのリストに「近代化産業遺産」の5箇所が入っています。明治維新150年周年と文化遺産の価値をセットでPRしなければなりません。そのことが近代日本を創りあげた薩摩の偉大さを世に示すこととなり、観光客誘致につながります。

 また、スポーツツーリズムの推進も急がれます。2020年には、東京オリンピックとパラリンピックの開催が決定しており、事前キャンプ誘致等もスタートします。特にバリアフリーに整備の重点を置き、他県との差別化を図ることが誘致のプラス効果をもたらします。

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 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。「鹿児島市」、「霧島地域」、「指宿地域」から、いかに宿泊先を広げるかが問われています。今年は、ここ数年で一番厳しい1年になると想定しており、スピード感をもって諸課題に取り組まねばなりません。 


 最後に、今回のコラムが300回目となりました。これまでの叱咤激励に心から感謝申し上げます。これからも引き続き手厳しい批判をお寄せいただきますようよろしくお願いいたします。

          いにしへの 道を聞いても 唱えても
               わが行いに せすばかひなし
                          日新公(島津忠良) ~いろは歌~

地域情報を顧客にいかに届けるか~インターネット利用者80%時代を迎えて~

2014年2月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 先日、福岡市内のホテルにエージェント・マスコミ等70名を招き、県内19の自治体・関係団体によるランチミーティングを開催しました。各地域の新しい情報や商品企画の素材を提供し、鹿児島から持ち寄った食材のPRも行いました。


 今年の鹿児島の話題としては、4月2日に川内港から甑島へ、JR九州の観光列車生みの親である水戸岡鋭冶さんが設計された「高速船の運航」、7月20日にいちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館」のオープン、南さつま市では、5月2日から30日まで延長された「砂の祭典」の開催等が上げられます。

 また、2018年の明治維新150周年に向けた取組や、今後「旧集成館」事業等の世界文化遺産や「奄美・琉球」の世界自然遺産登録への話題等も提供しました。 エージェントのこれからの商品に反映されるものと思います。

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 県と観光連盟では毎年県内の自治体に呼びかけて、共同でエージェントへの説明会を開催してきました。関係者が一堂に会することから経費的にも安く上がり効果も大きいと判断しています。個人情報の管理が厳しくなり、個々によるエージェントの訪問も限られてきています。特にエージェントの企画担当者が集まることから、個別商談方式を行っており、人間関係作りにも役立ちその後のセールスやプレゼンがしやすくなります。

 各自治体の商品企画支援策については、エージェントは宣伝費用の補填や継続して商品を造ることができ重宝がられます。又全国的に販売する商品は半年先の情報が必要であり、担当者間の連携を図ることも大切と考えています。

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 ところで自治体や観光協会が、地域の宣伝をする手法として、○○大使を帯同し大都市圏の地下街等でパンフレットや名産品を通行人に配るなどしてPRするケースを見かけます。通行人がどっと押し寄せ、たちまちのうちに配布物がなくなります。関係者はパンフレットが何万部配布できたと喜んでいます。しかしその効果の程はどうでしょうか。地下街のトイレやくず箱に、パンフレットが捨てられていることがよくあります。

 単に景品もらいに集まり、何回も並ぶ人を見かけます。来訪につながるプレゼンが必要であり、地域の売りは何なのか、来訪したらどのような楽しみ方があるのか、周辺のアクセス等の説明が必要です。施設の割引クーポンや現地でしか入手できない特産品の購入抽選券等を配ることなども求められます。

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 せっかく○○大使等を連れて行くのであれば、マスコミ等を訪問して情報番組に出演し、地域の旬の情報をきちんと伝え、応募していただいた方に抽選で、宿泊券や特産品をプレゼントするなどその後の検証ができる方法が重要と考えます。


 消費者は、旅行先や宿泊施設の決定について何を参考にしているか、日本観光振興協会が毎年調査しているデータでみると、インターネットの活用、ガイドブック、パンフレットの情報、家族・友人の話と続いています。多くの資料を集めて、旅行に行って体験した人の口コミが最後の一押しとなっているように感じます。おもてなしの充実など旅先の印象が重要な要素となっています。

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 今インターネットによる情報収は当たり前となり、しかも家庭での活用が顕著となっています。総務省の調査によると、日本人の79.5%に当たる約9,652万人が、13歳~49歳では90%の人インターネットを活用しており、家庭での利用が1位となっています。

 24時間いつでも利用できることから、観光情報等の入手については自治体や観光協会、施設等のホームページが有効な情報源となっています。 シームレスにワンストップで検索できるホームページの充実が求められており、多言語化は必須になっています。 

 自治体の観光パンフレットは地域情報を網羅するため、多岐にわたりしかも多くのページを用いています。祭り、イベント、旬の花、食、紅葉等は、タイムリーにホームページで詳しく紹介していくことが重要です。特に歴史や地域文化を訪ねる人に対しては、カルチャーセンター、文化講座、生きがい大学など、趣味の団体に情報を発信することが効果をもたらすと思います。

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 また、自治体のパンフレットはわが町だけの位置を掲載しているものを多く見かけますが、県の中のどの位置にわが町があるのか、また、隣接する著名な市町村を一緒に示すことが不可欠です。最近高校の社会科の授業では地理を選択しない学校が増え、各県の位置がわからない学生が多いと、観光学部のある大学の先生が嘆いていました。初めて訪れる人にも市町村の位置を把握できるようにすることが大切です。

 エージェントの社員も添乗を経験することが少なく、現地事情に疎くなりがちです。企画や店頭社員の現地研修も欠かせません。海外からの誘客については、キーマンの招聘が求められます。

 一方観光客は、遠方から来る人ほど広域に回ります。自治体の宣伝は、広域の観光協議会を組織して活動することで効果があると思います。九州観光推進機構は定期的に大都市圏で、「九州は一つ」の合言葉で広域の宣伝活動を展開しており、一定の効果をあげています。大都市圏での知名度は、「北海道」、「沖縄」が圧倒的であり、まず九州を売り込み、その後は各県が競争して誘客に努めることが重要と思います。特に海外からの誘客には九州全体のイメージアップが必要です。

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 ここ3年程度で見ると、県内で観光地としての魅力度が高まっているところは、甑島、南九州市の番所鼻やタツノオトシゴハウス、釜蓋神社、垂水千本いちょう園、垂水漁協、加計呂麻島等です。共通していることは、いずれも地域の人が頑張っており、メディアに積極的に取り上げられていることです。

 地域の人々の協力を得て生活・文化に触れる機会を提供し、「直売店」や「農家レストラン」を活用するなど地域ならではの魅力発信に努めています。国内旅行が成熟している中で、地域の観光資源を売り出すには、より地域の物語性が求められています。

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 今、県内における宿泊客の7割は個人客です。九州新幹線全線開業に伴い、観光列車の運行や周遊バスの充実が図られています。自分たちの地域に来ていただき滞在させるためには、インターネットコミニュケーションの充実を図り、より細かい情報の発信も必要になっています。

 情報を顧客に届けるためには、費用対効果を検証することも大切です。いつどこで宣伝するのか、どの地域からお客を呼ぶのか、誰を対象とするのか、来ていただいたら何を見せて体験させるのか、どの媒体を活用するのか、もう一度自分の地域の宣伝手法を見直してみませんか。

参考:平成24年通信利用動向調査:総務省 

驚きの顧客満足度経営~待っても乗りたいタクシー会社、お客様が先、利益が後~

2014年2月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 九州新幹線が全線開業し、3月で4年目に入ります。25年の県の観光動向調査によると、年間の延宿泊者数は前年比0.7%増加となっています。特に外国人は前年比26.3%の増加とななっており、台湾線の就航や韓国からのゴルフ客が大幅に増加したことが要因の一つです。

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 県では、国内外から来られるお客様に対して、「鹿児島に来て良かった、そしてまた来てみたい」という印象を持っていただけるよう、県民一人一人が心を配り、「温かいおもてなし先進県鹿児島づくり」の実現に向けて「おもてなしセミナー」を開催してきました。今年はタクシー会社の経営者、乗務員を対象に接遇研修会を開催し、277名の参加者がありました。

  今回はお客様からの感謝の手紙が絶えず、優良運転手表彰を数多く受賞され、今年めでたく定年を迎えられた旭交通の稲満運転手の体験談と、さくらコミニュケーションズ の古川智子さんの「最高のおもてなしをするために 行えるようにしておかねばならない10のこと」と題しての実践を通した講習会でした。

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 稲満さんは日頃から地域の観光地を廻り勉強し、各種の試験も受けて資格を取る等自己研鑚に努めています。知覧の特攻記念館にある兵士の手記を暗記するため、奥様をお客様に見立てて何回も練習するなど涙ぐましい努力をされ、観光客に車内で披露されています。その一端を会場でも披露されました。

 特に近距離利用の客にもいやな顔をせず、「3分間で600円も払ってくださる大切なお客様」として真心を持って接しておられます。 また、自分はタクシードライバーとして、当然のことを自然体で日々行っており、そのことで表彰されることについて謙遜されていました。

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 古川さんは、永年東京の老舗企業に努めて、人材教育・教育研修講師を担当された経験に基づき、おもてなしの心の真髄を語っていただきました。おもてなしには、「身だしなみ」、「笑顔」、「一生懸命さ」、「やさしさ」、「感謝の心」が必要であると、実践を交えての講義は、参加者の誰一人として眠ることなく集中した内容でした。

 常におもてなしの心を持って顧客に接することがいかに重要であるか、リピーターづくりが企業の信頼度アップにも貢献していくことの大切さを知る機会となりました。お客様におもてなしの心を持って接することは、今の消費者にとっては当然の心理であり、次回利用するときに、たくさんある選択肢の中から選んでもらえるかの一つにすぎません。

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 「値段(もの)」を「価値(こと)」に変えて提供することが、「感動」をもたらします。それに必要な要素は人間の感性であり、これこそがホスピタリティです。一度の出会いで感動を提供し、リピーターになってもらうためには、積極的にお名前を笑顔で呼ぶことも大切です。徹底したサービス精神の姿が、口コミで伝わり多くの顧客を獲得することになります。

 長野市に「中央タクシー」という会社があります。車両数は100台あまりですが、売 り上げが約15億円で県下NO1、しかも地方で経営するタクシーの9割が赤字と言われる中、2012年度の経営利益は過去最高を記録しています。市内のタクシー会社はⅠ2社ありますが、「1日当たりの運行回数」や「1台当たり月間売上」で、他社を圧倒的に引き離しての1位です。たとえば1台当たりの月間売上で、中央タクシーは平均120万弱、他の11社の平均は60万円程で2倍も違うのです。

 この会社は、90%が予約客で埋まるほどのリピーターの信頼を得ていることが特徴で、会社の転機は、1998年に開催された長野オリンピックでした。他社はオリンピック特需を狙って、選手や報道各社優先に予約を受けていましたが、中央タクシーは従来からのお年寄り、病人、お得意さんを大事にし、オリンピック期間の特需に見向きもせず、従来の顧客を大事にしてきたのです。そのことがオリンピック後の不況時にも、従来の顧客が大きな支えとなり今の隆盛を築いています。

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 宇都宮恒久会長は、「仕事を通してお客様の人生を守るというのが、私どもの仕事と思っている。」「当社の仕事は、お客様をただA地点からB地点にお乗せするだけでなく、地域を楽しくするお手伝いです。」と語る言葉に、顧客を大事にする姿勢が表れています。

 経営理念の一部を紹介しますと、「私たちはお客さまにとって、いつまでもこのうえなく、なくてはならない人としてあり続け、この人がいてくれて本当に助かりますと、思わず涙とともに喜んでいただける。わが社はそんな人々によってのみ構成されている会社です。」とうたっています。従業員をまず大切にしている会社でもあります。

 中央タクシーには、接客マニュアルは存在せず、質の高いサービスを支えているのは、 従業員の仲の良さです。「社内の良い人間関係こそが、良いサービスを生み出す」としており、社員の切磋琢磨の行動がサービスに磨きをかけています。

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 また、ドライバーは皆、親切すぎるほど親切。高齢者にはさっと手を貸し、さりげなく 買い物袋を運び、雨の日には傘もさす。そして車内の会話を通して客の家族のことを気に かけ、300メートルという超近距離でも喜んで運行することを大切にしています。

 赤字知らずの会社ですから、本社は市内の一等地に建つと考える方が多いかもしれませ んが、中央タクシーは長野駅から30分、人里離れた山奥にあります。建物はプレハブ造 りで、洗車には井戸水を使用し、しかも無料というメリットを活かしています。

 ホスピタリティという感性を身につけるには、日常生活の中で日々実践していくことが 大切です。身の周りで誕生日やお祝い事等があったら、電話やメールで喜びを伝えることが、自分の中に感性を育てていく非常に大事な要素となっていきます。

 ホスピタリティへの取組強化は、経営者自ら実践することであり、会社本来の目的に立ち返り従業員の声に耳を傾けることが可能となります。そのことが、接遇のレベルアップをはかり、観光客を温かく迎える態勢の確立につながると考えています。

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 観光客の地域の最終的評価は、そこに住む「人の接遇」です。一度訪れた観光客が、こんな素晴らしいおもてなしを実践する従業員のいるタクシー会社が鹿児島にあったのかと、認識してもらうことが重要です。長野市の「中央タクシー」のように、今回の研修会がホスピタリティという感性を育て、各企業の発展につながるきっかけとなることを期待します。

参考:驚きの顧客満足経営で愛される長野の中央タクシーとはーNAVERまとめ

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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