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No.305 環境にやさしい宿泊者に~日本型宿泊スタイルからの脱皮を~

2014年3月31日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 春休みに入り、若い観光客の姿が目に付くようになりました。卒業旅行でパワースポットや、露天風呂巡りなどを楽しんでいるのではないでしょうか。 鹿児島県は南北600キロに及び、鹿児島市から大阪市までの距離に相当します。


 大分県に次ぐ第2位の泉源数があり、多彩な泉質を含む温泉地が点在しています。また屋久島の世界自然遺産や、二つのロケット基地は他県にない魅力です。近代化日本の礎を築いた偉人を多く輩出し、歴史遺産も鹿児島市内を中心に整備されており、まち歩きなどにも最適です。

多様な生態系が見られる奄美群島は、2016年度「奄美・琉球」として世界自然遺産を目指しています。近代化遺産群と奄美が世界遺産に登録されると、飛躍的に観光客が伸びると思われます。

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 平成25年、鹿児島県における宿泊客数は703万人で、前年比102.3%の伸びとなり、観光客の約80%が鹿児島市、指宿地域、霧島地域に宿泊しています。(暫定値) 宿泊観光客の増加に伴い、ゴミ処理、汚水対策、ペットポトル、空き缶対策など宿泊客が残した廃棄物の処理に、各自治体は多額の費用がかかり、その対策に頭を悩ましているのも事実です。観光客が滞在する宿泊箇所での環境対策が今必要になってきています。

 欧米系の観光客は、小さいころから環境への対応をきちんと学びその習慣が定着しており、自然の大切さや環境に負荷を与えない行動ができていると感じます。一方日本人の宿泊パターンは、非日常を求めて、過度の快適さと利便性を追い求める宿泊スタイルになっており、環境に負荷を与えているように感じます。また、宿泊施設の過度のサービスが、環境悪化を招いているようにも感じます。

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 エコホテルの定着を目指している施設が多くなっているのも事実ですが、宿泊者と事業者が環境を守るという同じ考え方に立ち、実現可能な項目から着手する必要に迫られています。2005年には京都議定書が締結され、日本も本格的に環境対策に力を注いでいます。これから東アジアからの観光が急激に伸びることが予想されることから、環境対策を徹底していくことの重要性が問われています。

 宿泊者とそれを受け入れる施設の実情や、100ルームの部屋を持つホテルの支配人から聞き取り調査等を行い課題について整理しました。

1.宿泊者がもたらす環境問題については、
 ・宿泊者は平均して、滞在中に2回以上入浴し、泡立ちの良いシャンプーやリンス等を大量に使用し、化粧品、ヘアケア、歯磨きなど化学物質を含んだものを水と一緒に流す。大浴場で月平均63リットルのシャンプーが使用される。
 ・一人平均3枚以上のタオルを使用し使用後の洗濯に使う洗剤も膨大となる。
 ・夕食、朝食は平均して20%程度を残し、残飯として処理される。食後の使用済皿は、 洗浄に多量の洗剤が必要になる。
 ・使い捨ての歯ブラシや、煙草の吸殻、飲み食いの残飯処理に時間がかかる。チェックアウト後1晩で約20袋のゴミが収集される。
 ・宴会中のクーラー、電気のつけっぱなしが多く見られる。
 ・貸切バスやマイカー利用者が到着時に大量のゴミを持ちこむ。
  等が施設の抱える環境問題です。

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2.環境に負荷を与えない取組としては
 ・化学物室を含まない石鹸の提供も必要である。
 ・連泊のお客様にはタオル、シーツの連続使用をお願いし理解してもらう。
 ・生ごみは肥料や飼料にして再利用を考える。
 ・宿泊者への啓蒙運動を推進する。(環境への取組の理解、水や電気はまめに消す)

3.宿泊者への理解を深める方策としては
 ・分別収集のお願いをする。連泊においてはタオル、シーツは連続使用とする。
 ・宴会等部屋不在時の電気を消すことを了解してもらう。
 ・洗面道具(歯ブラシ、洗髪用のグッズ等)はフロントに置き、必要な方のみ渡す。

4.地域・業界の取組としては
 ・環境問題は一施設だけで取組んでも限界がある。地域全体で取り組むことに意義がある。実現可能なものから宿泊者、従業員の理解の元にすすめる必要があります。
 ・宿泊施設は、夕方のチェックインから翌朝まで安心して滞在できるよう常に警備等に配慮しています。また2度の食事の提供、片づけ、布団敷など重労働です。それに対する対価としての宿泊代があまりに安く設定されているように感じます。双方が満足できる料金体系が必要であり、そのことで環境対策にも取り組むことができます。

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 交流人口の拡大が不可欠な今、経済効果を追求すれば、消費の拡大を促し環境問題が惹起されることは当然です。従来日本人の宿泊スタイルは顧客の要望に応じて、過度のサービスを提供してきたと感じます。そのことがゴミ問題や水の汚染、有害物質の氾濫などが生活や健康に悪影響を与えています。

 余暇活動を享受できることは、素晴らしいことであり、周りの環境に配慮した行動が 求められる時代になってきたのではないでしょうか。自然と地域住民、観光客が共生で きる環境づくりが必要であると感じます。

No.304 ムスリム市場への取組~相手の慣習を理解することから~

2014年3月24日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 2013年の訪日外国人は、過去最高の1,036万4千人となり、前年比24.0%の伸びとなりました。中でも東南アジアからの訪日外国人が急増しています。主な要因として査証免除や緩和、経済発展に伴う中間層の増大、LCCの就航、円安による日本への旅行の割安感があげられます。

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 先日インドネシアの高校生12名が鹿児島を訪れて、垂水市での民泊や垂水漁協のいけすの餌やり体験などを楽しみました。今後の波及効果が楽しみです。インドネシアはムスリム(イスラム教信者)が人口の87%をこえており、約2億700万人に及びます。ムスリム市場は拡大しており、2010年の統計では、世界で約16億人の人口を占めています。

 ムスリムが多いインドネシア、マレーシア、シンガポールからの2013年訪日観光客数は、50万2千人を超え、35%の伸びとなっています。今後も大きな伸びが期待されるムスリムの受け入れに当たって、留意すべき点について述べたいと思います。

 まずムスリムの受け入れに当たっては、宿泊施設などでは礼拝場所の設置が不可欠です。1日5回の礼拝が戒律となっており、男女別に礼拝と小浄ができる清潔な部屋が必要です。部屋には礼拝の方角を示すキブラの設置や、礼拝時に必要な備品の設置も求められます。先日鹿児島空港国際線ターミナルの一角に礼拝場所が設けられました。ムスリムの受け入れの一歩ができたと思います。

 また、ムスリムにはハラール(認証)の食事の提供が求められます。豚肉は厳禁であり、またそれらを原料とした調味料なども口にすることは禁じられています。料理の処理方法によっては、口にできない食事もあり十分な点検が必要です。

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 ムスリムで禁じられているのが、酒を飲むことです。食事の際だけでなく、日常も許されていません。ムスリムにとって、ハラールの食品のみを口にすることは神の教えに忠実に従うこと、すなわち信仰そのものなのです。

 また、イスラム教にはラマダーンと呼ばれるヒジュラ暦の第9月(西暦2014年では6月28日~7月27日にあたる)。この月の日の出から日没まで間、「断食」として食事を立つことが行われ、約1か月間続きます。かつて小生がモロッコを旅した時、ドライバーがラマダーンの期間に入ったら断食を実行していたのを覚えています。

 このようにムスリムの受け入れに当たっては事前に理解しておくべきことが多々あります。取扱旅行社と事前の確認を行うことが必要であり、やたらに不安がるのではなく、日々しっかりと検証していくことが大切です。

 先日、九州観光推進機構が鹿児島市で開催した「おもてなしフォーラムin九州」の分科会で、ムスリムの受け入れについての研修会もありました。福岡にあるムスリム寺院の関係者は、受け入れに当たって神経質になるのではなく、旅行者とのコミニュニケーションを図りながら楽しい旅を提供すことが大切であると語っていました。

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 ムスリム市場はASEAN地域が多く、これからも訪日が一番期待される地域です。 昨年7月1日からのビザ免除の追い風もあり、今年は、インドネシア、シンガポール、マレーシアの3国だけでも70万人を越えるのではないかと想定されます。


 ASEAN諸国の若者は、テレビ、アニメ、漫画、ドラマ、映画等に加えて、桜、紅葉、美しい清流、海等美しい日本の自然景観に憧れを持っています。また、温泉にも関心があります。湯船の中に集団で裸になる習慣がないムスリムの人々には、個室の貸切風呂での温泉の入り方や、効能等について説明する必要があります。

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 世界無形文化遺産に登録された「日本の食」にも関心を示します。鹿児島は「本物。鹿児島県」に代表される豊富な食材があり、ムスリムの観光客には喜ばれるのではないでしょうか。県内を走る観光列車「おれんじ鉄道」、「はやとの風」、「いぶすきの玉手箱」等も売りの一つです。

 ムスリム市場に対して、鹿児島が誇る火山、温泉、ロケット基地、美しい海、「日本式旅館でのおもてなしの姿や食」等を前面に、受入態勢ができるガイドブック等の制作の必要性を感じます。

 現在はASEAN諸国から鹿児島への直行便がなく、当面は上海、台北、ソウル、香港、福岡からの経由便やチャーター便に頼らざるを得ません。

 各県もムスリムの誘致に力を入れてきました。礼拝室の設置、ホテルの部屋にはメッカの方向を示すキブラ(矢印)をつける、ハラール料理の提供等、今後新たな市場としてムスリムの誘致を図るべく、基本的な受け入れ態勢の知識を深めることの大切さを感じます。

No.303 九州本島最南端の町の魅力を活かす ~田舎の景観保護と魅力ある情報発信が課題~

2014年3月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南大隅町は大隅半島の最南端に位置し、西側は錦江湾および東シナ海、東側は太平洋、南側は大隅海峡に囲まれて、佐多岬の近くを北緯31度線が通り、エジプトのカイロと同じ緯度に位置します。旧佐多町と旧根占町が合併した2005年当時の人口は、9,897人でしたが、2014年2月には7,925人と約1000人減少しており、県内で高齢化率が一番進んでいる町です。今後も人口減が続くことが想定されます。

 最南端にある佐多岬という最大の観光地が魅力となり、昭和40~50年代にかけては新婚旅行のメッカとして、年間20万人にのぼる観光客が訪れていましたが、その後観光客は激減して、平成24年は年間38,000人でした。平成25年10月末の佐多岬公園線が無料化されたこともあり、昨年は約69,000人と1.8倍となりました

 南大隅町の景観保護と観光振興について考える「景観セミナー」が開催され、森田町長をはじめ3名の町の有識者、町民を交えて意見を交換する機会に恵まれました。

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 人口と観光客の減少は、地域経済に大きな影響を与えており、観光振興による交流人口 の拡大が求められています。南大隅町には佐多岬をはじめ、パノラマパーク西原台、雄川 の滝など有数の景勝地があり、これらの良好な景観を活かし、来町される方々に対して、 住民が一体となり「おもてなし」を伝えるために,自然・景観(風景)を守り、調和のと れた観光まちづくりをどのように進めていくかを考える機会となりました。

 まず森田町長から、観光振興に対する取組の方向性が示されました。「平成17年3月から、南端まちづくり活動として、地域の小中高校生や一般、老人クラブの皆様方が中心となって、毎月第3土曜日に清掃活動をするなど、継続的な取組がなされている。

 また、平成25年から「花いっぱい活動」を庁舎各課、ボランティア団体「ハイビスカス」のグループが島泊から大泊までの県道区間において、花壇等ハイビスカスなどの花の植栽を実施している。先進地視察として、花いっぱい運動を進めている長島町を訪れて研修し、地域の景観形成に活かしている」ことなどが報告されました。

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 パネラーの方からは、町の海・山・川の観光資源はすばらしいが、その魅力を十分活かし切れないでいる。また、南大隅町の住民が自分の町の良さを知らない実態などについて、地域資源を守り景観を活かしたまちづくりには,人が重要であるという考え方を強調されました。リーダーとなる人材育成が急務であると。また、景観を活かすには、南大隅町のオリジナルとしての看板、街路灯、カラー歩道など、統一性を持たせることが必要である。

 新しい箱ものは必要ない。今ある田舎の有様を大切にし「おもてなし」を伝えて行くこ とが重要である。人の連携が第一であり、異年齢との交流の場を増やすことで、伝統芸能、伝統文化を伝えていくことにつながる。

 観光客を呼ぶには、観光資源である海・山・川の自然を活用したイベントの開催(ソフ ト)事業がもっと必要であると。「ドラゴンフェスティバル」は地域住民含めて国内外から2万人の参加者があり、大隅地域を代表するイベントに成長している。イベント開催時は周辺市町村までの宿泊効果が出ている。

 そして、町に来てくれてありがとうと思う「おもてなしの心」も芽生えつつあり、行政・住民・関係団体との連携や食や女性の心をつかむ商品づくりが必要である」との意見も出されました。

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 今後の南大隅町の観光に求められるものについて考え方を述べたいと思います。まず観光客誘致には地域の生活文化、歴史遺産等を四季折々の魅力とともに情報発信することが求められます。季節の移ろいを感じる旬の情報が必要です。


 最南端にある御崎神社では、神輿が集落を巡るという伝統的祭りが行われ、中央からのメディア取材もありました。日本で最古の通貨である通貨の和同開珎(708年)の開基である神社で、現在では縁結びの神として、訪れる恋人たちが願かけをしています。

 また、諏訪神社の二重の鳥居は珍しく、この対になっている鳥居が縁結びにとても御利益があると言われています。左から入って右の鳥居から出る習わしです。2つの神社をパワースポットとして売り出すのも効果があると思います。

 最近話題の「雄川の滝」や小生が県下一の絶景地と自認する「パノラマパーク西原台」は、遊歩道や頂上までのアクセスの整備が不可欠ですが、行政サイドですでに検討されていることはありがたいことです。自然景観が素晴らしく見過ごしできない観光地です。 

 「最南端」というロゴを活用した観光客誘致もおもしろいと思います。町内にある郵便局、学校、幼稚園、神社、お寺、銀行、食堂、漁協、農協、商店など「本土最南端○○○」と表示することで、そこを目指して観光客が訪れます。

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 これからの観光振興には地域連携が大切です。「鹿屋航空基地史料館」、「かのやばら園」、「内之浦宇宙空間観測所」、「花瀬公園」、「神川の大滝」等に来た観光客を誘客する必要があります。各自治体のパンフレットにはぜひ近隣の町の名所を掲載して欲しいものです。

 港の近くにあるネッピー館は、高校生、大学生のスポーツ合宿への活用方が求められます。特に町内に全国に数少ない自転車競技練習場を持つことから、信号機の少ない道路を活用したイベントを積極的に誘致する必要があります。

 ところで、山川・根占を結ぶフェリーの再開は指宿地域からの誘客を可能にしました。指宿地域には鹿児島に宿泊する観光客の約20%が宿泊しています。日帰りの旅としては、最適の地です。根占港から佐多岬までのシャトルバスの運行やレンタカーの設置が欠かせません。

 また、観光地の魅力は地域ならではの食です。獲れたての魚や農産物を活用した地域グルメの開発やお土産品の開発も求められます。そのことが地域に経済的効果をもたらします。

 最後に景観保護の必要性について述べたいと思います。良好な景観は、地域の個性(魅力)を伸ばすことにつながります。地域の自然・歴史・文化等と人々の生活、経済活動との共生が重要になってきます。農村景観・自然景観を守ることが大切です。特に棚田、川、畑、池、石垣、渓谷、港、滝、夕日のスポット等は点検が必要です。

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 また、古い町並み、路地は、日本の伝統を醸し出す重要な要素となります。古い街並みの保存や大規模な土地利用の転換を図る再開発事業では、既存の地区をどのように整備するかが課題です。美しい農村景観や水路を守り、電柱の地中化を図るなど、日本の原風景を大切にしてほしいと思います。川の生物が住める環境を確保し、堤防はできるだけ石積みにする等の配慮が必要です。

 田舎の「道」は貴重な観光資源であり、街道沿いの竹藪、雑木を伐採し景観を保ち、駐 車場の整備、花を植栽、案内板を統一した形、色とすることで調和が保てます。ガードレールや橋の色、形に配慮が必要です。山や川、道路は多くの自治体をつなぐパイプであり、景観形成には周辺の市町村が統一して取組まないと進展しないと思います。

 最後に最南端の町のオンリーワンの魅力や旬の情報をいかに楽しく情報発信するかです。歴史的遺産はストーリー性を持たせることが重要です。南九州市の「釜蓋神社」は、釜の蓋をかぶって参拝する姿が、「ナニコレ珍百景」で放映され、その後エージェントの商品企画に組み入れられ今では、年間20万人を超える観光客が訪れます。

 最南端の町には、大きな看板、旗、幟、原色の屋根等は似合いません。道路沿いの四季の草花や、錦江湾に映える幻想的な夕陽、観光客に手を振り、頭を下げる姿に観光客は感動します。童謡や唱歌に歌われた日本の原風景が、南大隅町にはいたるところに残っています。新婚旅行で訪れた世代は、現役を退き今国内旅行の最大のターゲット客です。 最南端という不利性を、逆にプラスと捉え、優位性に変える取組を展開したいという思いにかられたセミナーでした。

No.302 島立ちは新造船にのって~ウミネコがあなたの来島を歓迎します~

2014年3月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 薩摩川内市の西約30キロの東シナ海に浮かぶ島が甑島で、上甑島、中甑島、下甑島と縦に3つの島が連なり、奇岩と断崖が海にせまり、釣り人のメッカとして人気があります。


 その甑島に川内港から上甑島・里港―下甑島・長浜港を結ぶ高速船が4月2日から就航します。甑島商船が運行する「高速船甑島」は、全長45・7メートル、幅7メートル、総トン数199トンで定員は200名となっています。

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 JR九州の「はやとの風」、「指宿のたまて箱」、「ななつ星in九州」等の観光列車を設計された、水戸岡鋭治さんが手掛けたものです。新幹線の川内駅から港までの電気バスや、港の待合所も水戸岡さんのデザインです。船体は白を基調に、内装は「ななつ星in九州」でもファンを唸らせたウッドが使われており、乗船客に新たな驚きと感動を与えるのではないでしょうか。

 甑島へは現在串木野港から船が出ていますが、高速船は川内港からとなり、従来のシーホークに代わって新高速船に代わることになります。30日には市民400人の体験試乗会も予定されています。新幹線とのアクセスが便利になることから、観光客が増加することが想定されています。

 島には一般の宿泊施設が少ないことや島内のアクセスに課題がありますが、民宿や観光施設の従業員を対象におもてなしの研修会や、またコミュニティバスの活用を図る等受入体制の整備にも努めています。

 甑島は四方を海に囲まれているため、良い漁場に恵まれ太公望が訪れます。きびなごをはじめ、赤イカ、石鯛、シマアジ、タカエビ等が獲れ、豊富な海の幸が宿泊施設で味会うことができます。

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 自然が作り出した甑島の地形は、地学の教科書に登場する生きた教材となります。沿岸流と波の作用で海底の砂礫が水面上に現れた細長い地形のトンボロ上に、里地区の集落が形成されています。砂州の内海にできた池はナマコ池と呼ばれ、「長目の浜」から全長4キロにも及ぶ景観が望めます。

 荒波に削られた鹿島断崖には、奇岩、巨石が多く遊覧船で近づくことができます。下甑の瀬々野浦の海上に突き出た高さ127mの奇岩(通称ナポレオン岩と呼ばれる)は、自然が造り出した芸術品です。

 下甑島では恐竜の化石が発見され、化石の島とも呼ばれています。大学生のゼミ旅行や教育旅行の体験場所として最適の環境が整っています。 また、手打集落の入江に沿って武家屋敷通りが700メートルも続き、積み上げられた玉石群に、きれいに刈り込まれた木々の並木が調和し、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

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 甑島にはウミネコが住み着いており、漁船に乗っての餌付け体験が5月~6月頃にかけて楽しめます。餌をめがけて集まる300~500羽のウミネコは圧巻です。上陸したら海岸で海鮮バーベキューも甑島ならではのツアーです。6月になると、ニシノハマカンゾウが黄色い花をつけ、続いて薩摩川内市の花となっているカノコユリが、鹿島断崖の一帯の草原を薄紅色に染めます。

 ところで、甑島島内には高校がないため、中学生は卒業と同時に島から旅立っていきます。これを甑島では「15の島立ち」といい、子どもたちを励ます会を開いて見送ります。また、三年生になると、自らの手で芋を植え、その芋でできた焼酎が『島立ち』と名付けられ、年間数百本しか製造されない幻の焼酎となっています。

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 一升瓶を封印する小さなラベルには、中国の唐の時代の詩人・王維が友人の旅立ち送る「元二の安西に使するを送る」の詩の一節、『勧君更盡一杯酒(君に勧む更に盡くせ一杯の酒を)』が書かれています。卒業生が5年後二十歳になって帰ってきたときに最初に飲むのがその時の芋で作った焼酎『島立ち』です。


 甑島にはこのような心温まる絆が受け継がれています。ふるさとを忘れない心が自然に育っていくのではないでしょうか。辛いとき、悲しいとき島のことを忘れずがんばって欲しいと願わずにはいられません。

 甑島を舞台にした「島立ちの春」という曲がありますが、里港の乗降場の正面に次の詩が刻まれた歌碑が建立されています。子供を送り出すさびしい気持ちと、将来へ夢を託す 親の愛情が心にしみる歌詞です。

     俺も十五で島立ちしたが 倅(せがれ)もこの春 島を立つ
             海は広いが、世間も広い デッカイ男になって来い
                    笑顔がかわいいヨオー  嫁でもつれて来い

 今年は新造船で子供たちは島を旅立っていくのではないでしょうか。

 鹿児島県旅行業協同組合が主催している「魅旅」では、甑島のコースが県民にも人気となっていますが、九州新幹線全線開通後、関西方面から島を訪れる観光客が増えています。県の大阪事務所に出向している薩摩川内市の職員の地道な営業努力が、エージェントの商品企画に反映されています。

 薩摩川内市と隣接するいちき串木野市の羽島に、7月20日「薩摩藩英国留学生記念館」がオープンします。一緒にPRすることで地域への誘客効果が高まります。 藺牟田瀬戸架橋が平成29年完成(予定)すると島はひとつに結ばれ、1日で観光巡りが可能となり、多くの観光客が訪れものと期待がかかります。

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 「長目の浜」、「鹿島断崖」、「鹿の子大橋」、「瀬尾の観音三滝」、「武家屋敷通り」等の名勝や「Dr.コトーのモデルの医師」、「孤島の野犬」等の舞台となった甑島を新造船でぜひおたずね下さい。船が鹿島の沖に近づくと、ウミネコが船の周辺を飛び回りあなたの来島を歓迎してくれるでしょう。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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