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No.309 香港便の再開を鹿児島の経済活性化に繋げる~成熟した訪日市場への取組~

2014年4月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 3月31日、5年ぶりに香港便が就航しました。香港からの訪日旅行者は、首都圏への観光客回復、関西の人気上昇、LCCの就航等で、2013年は55%の伸びで、74.6万人となっています。



 高いリピーター率(10回目以上が20.7%)と、個人旅行率(FITが70.8%)が、高いことが上げられます。また、旅行者の主流は家族と若者で、日本での滞在日数は「4~6日」となっています。(観光庁の調査)

 最も成熟している訪日旅行市場と言えますが、宿泊地としては、大都市圏と北海道、沖縄で全体の75%、その他地域が25%です。香港に近い沖縄への観光客は、84,300人で鹿児島の約7倍となっています。一方、1972年に日本航空が定期便を就航したこともあり、香港での鹿児島の知名度はかなり浸透しており、今回の香港便の就航は、新たな需要開拓につながると期待がかかります。

 今回の就航にあたっては、香港のエージェントが一定の席をギャランティしているため、鹿児島発の席が少ないのが現状で、当面は香港からの観光客を長く県内に滞在させる取組が求められます。

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 香港人が今求めるものは、「食」、「体験」、「地方」がキーワードです。リピーターを意識した「本物。鹿児島県」の食、レンタカーと観光列車の組み合せ、世界遺産、地方の美しい自然景観、「日本旅館での砂蒸し温泉・和食文化や質の高いおもてなし」の提供等が長期滞在を可能にします。

 個人旅行が主流になり、「レール&ドライブ」のシームレスな予約システムの構築が急がれます。県内には「はやとの風」、「おれんじ鉄道」、「指宿のたまて箱」、「ななつ星in九州」の観光列車や九州新幹線の終着駅があり、観光客には対応しやすい環境にあります。

 和食が世界無形文化遺産に登録されたことや、2020年の「東京オリンピック」開催が決まり、日本への関心が一段と高まっているのも追い風です。県内には「料理・サービスに優れた旅館」や、「おもてなしの心」で評判の宿が多いのも強みです。

 また、農・水産業を活かした体験メニューも整備されてきました。果物狩りやお茶摘み、漁協での餌やりや寿司握りも好評です。歴史的遺産や世界自然遺産があるのも鹿児島の優位性を発揮できます。

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 「近代化産業遺産群」の世界文化遺産登録も準備が進められており、また、仙巌園では四季折々の草花とともに美しい桜島の景観が楽しめます。県内各地に残る武家屋敷で、お茶会や生花展、着物で散策できるイベント等は、日本の生活・文化に触れる機会にもなります。

 最も成熟した訪日旅行市場の香港では、屋久島の世界自然遺産を活用した「エコツアー」が喜ばれ、大自然や緑が少ない香港人にとっては驚きの観光地であると思います。

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 増便の機運が高まる中、路線維持拡大には、観光客に加えて物流の促進が不可欠です。鹿児島が誇る「黒牛」、「黒豚」、「黒マグロ」、「かんぱち」、「焼酎」等食の魅力をいかに浸透させるかです。鹿児島の食材を流通させるには、有名料理店やホテルとのコラボも必要です。


 個人旅行が主流となり、外国語表記、Wi-Fiの整備、受入施設での外国語の対応は、今後インバウンド態勢づくりには不可欠です。また、入国審査に関わる時間短縮が問われている鹿児島空港は、スペースの拡張、要員配置などインバウンド拡大に伴う国家戦略の一つとして取組まねばなりません。

 最後に映画「慕情」を鑑賞し、香港に思いを馳せ、海外旅行先として香港を最初に選んだ方も多いと思います。主演のウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズの悲恋物語とともに、香港の美しい海と街をバックに流れる主題歌「Love is a many splendored thing」は、今でも映画ファンには懐かしい曲です。

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 日々変化を続ける世界屈指の貿易都市香港、香港から高速船で気軽に行けるマカオをぜひお訪ねください。マカオは、ラスベガスを凌ぐ観光・カジノの街として発展を続けています。



 次回のコラムはゴールデウイークに入るため、5月12日になります。4月28日から5月1日までは、県内の宿泊施設は空きが多くあり、今からでも予約が可能です。楽しい休日をお過ごしください。

No.308 開成所開設から薩摩藩英国留学生へ~明治維新の基礎づくりに人材教育の重要性を知る~

2014年4月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 つい先日まで県民の心をしばし楽しませてくれた桜は、いつの間にか葉桜となりましたが、街かどの花壇にはスイトピーやツツジの花が咲き誇り、道行く人を楽しませてくれます。



 また、新緑が美しくなり、ピンクや赤色の様々な花が鮮やかで、鶴丸城の城壁も池に一段と鮮やかに映り、日本の美しい四季の移ろいを感じられます。温もりが心地良く感じるこの時期は、中学校時代に習った次の詩が浮かびます。

                   春 暁       孟浩然
            春眠不覚暁 【春眠 暁を覚えず】
            処処聞啼鳥 【処処(しょしょ) 啼鳥(ていちょう)を聞く】
            夜来風雨声 【夜来(やらい) 風雨の声】
            花落知多少 【花落つること 知る多少(いくばく)】
【注釈】
春の眠りは心地よく、夜が明けたことを知らずにぐっすり眠り込んでしまった。
気がつけば外では鳥のさえずりが聞こえてくる。天気もよさそうだ。
夜更けから風雨が強かったので、満開の花がたくさん散ったことだろう。

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 ところで2018年(平成30年)は明治維新から150周年の節目を迎えます。明治維新の立役者となった偉人を多く輩出しているのが、薩摩藩の中心地であった鹿児島市です。鹿児島市では、2012年から2018年までの期間に、「明治維新150年カウントダウン事業」として、明治維新までの激動の時代を歩んできた薩摩藩の足跡を振り返るイベントなど様々な取組を推進しています。 


 今年は開成所開設から150年になります。開成所は元治元年(1864)年6月に、科学や軍事に関する人材育成のために設立された洋学校で、島津斉彬が在任中に計画し、蘭学者石河確太郎に設立準備を命じていたものです。

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 場所は琉球館の海岸通りにあったとされ、現在の小川・滑川市場の付近と推定されます。学習科目は陸海軍砲術、兵法、地理学に航海術、測量、医学に至るまで多岐にわたってい ました。当時の様子を残す跡はありませんが、ここで教授をしていた郵便制度の創設者である前島密を評したポストが、桜島海岸通りの交差点に立てられています。



 翌年(1865年)薩摩藩は、国禁を犯して15名の若者と随行者4名を英国に派遣します。「薩摩藩英国留学生」と呼ばれており、優秀な人材が集まる開成所からほとんどが選ばれ、その中にただ一人薩摩藩以外で土佐藩を脱藩した「高見弥一」もいました。

 また、「開成」という名は、歴史的に謂われある名辞であるため、校名に「開成」を冠する中学・高校があります。優秀な学生が集まることで知られる東京の「開成高校」は32連続東京大学合格者がトップとなっています。

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 留学生たちは、帰国後は官界、実業界で活躍し、近代日本の礎を築く活躍をします。畠山義成は、出航からロンドン到着直後の様子をまとめた「畠山義成洋行日記」を遺しています。1866年にはフランスに渡り見聞を広めています。帰国後「岩倉使節団」にも招集されました。その後文部省に出仕し、東京開成学校(現在の東京大学)初代校長として、日本の大学の基礎作りに貢献しています。


 町田久成は、維新改革の流れの中で、多くの美術品の破壊や海外への流出を惜しみ、博物館事業の重要性を認識し、博物館創設事業に携わり、東京帝室博物館(後の東京国立博物館)の初代館長に就任しました。

 森有礼は中国大使や初代文部大臣を務め、教育制度の改革を行います。村橋久成は、戊辰戦争の際砲隊長として活躍し、その後北海道開拓使となり、サッポロビールの生みの親として語り継がれています。

 留学当時13歳と最年少であった長沢鼎は、その後アメリカに渡り生涯を過ごし、広大なぶどう園の経営とぶどう酒製造に尽くし、ワインの帝王と称されました。鹿児島でもナガサワワインとして親しまれています。随行者の五代友厚は、初代大阪商工会議所会頭に就任し、商都大阪の経済発展に寄与します。寺島宗則は外務大臣として活躍します。 

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 今年の7月20日、船出したいちき串木野市羽島に「薩摩藩英国留学生記念館」がオープンします。会館の中には、留学生の足跡をたどる資料も展示される予定です。会館の完成を期に、多くの小・中・高校生が遠足等で訪れて、海外への夢を掻き立てて欲しいと思います。

 各市町村で青少年の翼、青年の船等の海外派遣事業が盛んですが、参加者のその後の成長の軌跡を検証することも必要です。個人情報保護の関係で、個人情報を求めることは難しくなっていますが、学校の選択や社会人生活に役立っていること等海外派遣の重要性を語り繋げていく必要性を感じます。

 日本へのインバウンド数が昨年1千万人を超え、今年に入ってからも昨年以上の伸びとなっています。日本人の国内旅行が増えない中で、各県とも外国人誘致に力を注いでいます。

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 一方、海外に興味を示さない若者が増えているのも事実です。県民が外国の生活や文化を経験することは重要なことであり、視野を広めるべく、若い内に海外に出掛ける仕組みづくりや海外でのカリキュラム取得を可能とする等支援態勢整備の必要性を痛感します。

 海外修学旅行やホームスティの積極的な推進、留学生の受け入れ拡大やその人たちを活用した日本文化の海外への発信等も求められます。また、日本は人口の少子、高齢化時代に入り、地域の活性化には海外との交流人口の拡大が不可欠です。

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 最後に、「旧集成館事業」等5つの構成資産が、2015年度中に「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」として世界文化遺産登録を目指しています。薩摩が日本の近代化に果たした役割を世界にPRする時です。

 その基礎作りに貢献した「開成所」や「薩摩藩英国留学生」の偉業を学ぶことで、人材教育の大切さを知る機会にもしたいものです。

        資料:鹿児島市【明治維新150年カウントダウン事業】付録より

No.307 新航路開設で新たな需要開拓を~沖縄と差別化された情報の発信が誘客につながる~

2014年4月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島から南へ約380キロの洋上に浮かぶ奄美大島、県の離島で一番大きな島で、鹿児島市から中心都市名瀬港まで、約12時間の船旅が楽しめます。エメラルドグリーンの海には、サンゴ礁がいたるところに見られ、熱帯魚の群れがひときは美しく観察できます。

 奄美群島には亜熱帯の植物やルリカケスやオオトラツグミ、アカヒゲ等の天然記念物、特別天然記念物のアマミノクロウサギなど固有種の動物が多く生育し、その生態系の貴重さが、世界自然遺産登録の候補地ともなっており、2016年度中の正式登録を目指しています。

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 レジャー・リゾート路線を展開するLCC,バニラエアが7月1日より、成田~奄美大島間に新路線を開設することを発表しました。首都圏から奄美大島への定期航空路線の就航は、羽田~奄美大島路線以来であり、大きな期待がかります。運航機材はエアバスA320-200型が1日1往復予定されています。

 A320型は座席数が160~180席で、グループの予約が可能となり、観光客誘致に弾みがつくのではないでしょうか。

 就航に当たり代表取締役社長の石井知祥氏は、「成田空港から奄美大島まで片道、約2時間半。手つかずの美しい自然が残り、その豊かさを後世に伝えるべく、世界自然遺産登録をめざしているリゾートです。

 この度『奄美群島振興交付金制度』が創設され、その中で『交流需要喚起対策事業』との連携を前提に今回の就航を決定した。地域の皆さまと一緒に奄美大島の魅力をより多くの方にお届けしたいと思います」と抱負を語られました。奄振事業が大きな役割を果たしていると思います。

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 奄美群島への誘客について従来ネックになっているのが、航空運賃の高さです。現在東京から奄美大島と沖縄への片道普通運賃を比較すると、距離的に短い奄美大島が5,400円高くなっています。さらに旅行エージェントの2泊3日のフリータイムの商品で比較すると、2万円以上奄美の商品が高くなっています。

 沖縄への観光客が伸びている理由として、沖縄(那覇)へは全国20の空港から路線があり、競合路線が多いことや、米軍基地が多くあることから、振興策の中で航空運賃への支援策が充実し、運賃が割安になっていることも大きく影響しています。(3月末現在)

 今回のバニラエアの就航により航空運賃の低廉化が図られることが、観光客の誘致に大きな効果を発揮するものと思います。東京からの便はビジネスの需要が高く、搭乗率も安定しており、観光客の誘致には不都合な点もありました。今回の就航は、関東地域から広く誘客が可能となったことが大きなメリットです。

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 次に成田空港という国際空港がもたらす効果も大きいものがあります。奄美群島は「奄美・琉球」として2016年度の世界遺産登録を目指しています。世界遺産登録を目指す島として世界中で注目されており、海外からの誘客が成田乗り継ぎで可能となります。

 課題としては、奄美群島の魅力が県内外にあまり知られていないことであり、今後いかに情報発信を強化して認知度を高めるかが重要な点です。

 おりしも昨年奄美群島は本土復帰60周年の節目の年を迎え、メディアで取り上げられた機会も増えてきました。また今年は、大島高校が21世紀枠として選抜高校野球大会に初出場し、優勝チームに大敗しましたが、はつらつとしたプレーが話題となりました。しかも島出身者だけのチームであり、そのことも併せて島の存在が大きく取り上げられたことも大きかったと思います。

 これから沖縄とは違う魅力をいかに消費者に届けるかです。奄美の自然は手つかずの自然が至るところに残り、その生態系が注目されています。また、どこか哀愁漂う旋律が心に響く島唄は、集落に伝わる民話が原点となっており、各集落で唄い継がれ、居酒屋では宴が深まると、だれともなくサンシンの音で興が始まります。

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 鶏飯、油ソーメン、ヤギ料理等を中心とした郷土料理、奄美でしか作れない黒糖焼酎、伝統職人が作りだす大島紬、国の重要無形民俗文化財に指定されている「ショチョガマ」、「平瀬マンカイ」「諸鈍シバヤ」など奄美独特の風習を伝える祭りは、都会の人々には興味津津に映るのではないでしょうか。




 就航が7月1日であることから、夏に向けて若者へのマリーンスポーツのスポットの提供や、大学生のゼミ旅行などの誘致も欠かせません。手つかずの自然が残る奄美の海は、どこにもまして素晴らしいと自負して憚りません。体験型の交流プログラムの充実も求められます。奄美海峡にある近畿大学水産試験場は、クロマグロ研究施設として見学も可能です。

 ところで平成26年度中には奄美市から古仁屋までトンネルが全通し、45分で行くことができます。空港からは2時間程度で加計呂麻島まで行くことができ、奄美本島南部地域の観光が便利になります。

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 古仁屋の対岸に位置する加計呂麻島は戦跡が多く、文学者島尾俊雄の代表作「死の棘」や「出孤島記」の舞台となっています。また、「寅さんシリーズ」の最後の撮影地であり、昨年はNHKの土曜ドラマ「島の先生」の舞台にもなりました。


 加計呂麻島の魅力と世界自然遺産地域をセットでPRすることで滞在客も増加するものと思います。空港からのレンタカーや小型バスの利便性を図ることが重要です。

 現在日本人の国内観光は成熟しており、従来の物見遊山を中心とした観光地は苦戦を強いられています。最大の需要がある首都圏地域から、自然豊かな奄美大島への利便性を確保することは永年の課題でした。その意味で今回のバニラエアの就航は、奄美大島にとって飛躍できる大きなチャンスとなりました。

 空港に近い龍郷町は都会からのIターン者がペンションや、エコガイド等で生活を営んでいます。利便性が高くなることから、首都圏の人々に冬場の温かい気候や花粉症が少ないことをPRし、「2地域2居住」をすすめることも定住促進につながります。

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 奄美群島観光物産協会が設立されて2年が経過しました。群島全体の観光地、物産等を点検し、首都圏のお客さまが行きたくなる、沖縄と違ったより斬新な情報発信を提供しなければなりません。首都圏で奄美の物産を手掛けるバイヤーに話を聞くと、奄美の物産は人気が高いという。それは自然豊かな未知の島の物産で、安全・安心が魅力となっているように感じます。

 このようにハンディが大きい奄美大島に、LCCが飛ぶことが大きなインパクトとなり観光客には行きにくい島だからこそ、行きたくなる場所になるのではないでしょうか。 観光客の増加に対する「おもてなしの心」の充実も大切です。就航が待ち遠しい路線です。

No.306 消費税アップに伴う旅行需要の冷え込みをいかに乗り切るか~商品企画と積極的なPRを展開しよう~

2014年4月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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桜花 時は過ぎねど 見る人の

    恋(こ)ふる盛(さか)りと 今し散るらむ

                万葉集~作者不詳~


 消費税が上がる前の駆け込み需要で、今年の春休みは例年になく交通機関や宿泊施設は混雑していました。満開の桜は、週末の強風と大雨にさらされ無残な姿となり、楽しみにしていた今年の桜の宴は、幻に終わりました。ぱっと咲いて惜しまれながら散る桜は日本人の心に残ります。これから桜前線は北上し、ゴールデンウィークの頃には北海道に上陸し、松前城や五稜郭は花見客でにぎわいます。

 ところで4月1日に消費税が8%となり、一時的に消費が冷え込むことが予想されます。これから旅行シーズンを控えて観光客の出足が懸念されますが、各エージェントの企画担当者の話によると、4月の商品は売れ行きが悪く、軒並み前年を割っています。

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 今年のゴールデンウィークは、5月に4連休があり後半は好調に推移しています。これから新年度の行事が終わり、ゴールデンウィークの話題がでてくるとお客様の動きも活発になってくるのではないかと思います。昨年は伊勢神宮や出雲大社の式年遷宮、東京ディズニーランド30周年、NHK大河ドラマ「八重の桜」の放映等があり、4月~7月は南九州への入込は低迷しました。今年に期待したいと思います。


 県内の話題を紹介すると、4月2日から甑島に川内港から高速新造船の運行が開始され、新たなスポットとして賑わいを増すのではないでしょうか。断崖絶壁の岩や奇岩、美しい長目の浜、ニシノハマカンゾウやカノコユリが咲き、ウミネコが生息する島は自然そのものが魅力です。

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 例年ゴールデンウイーク期間の大型イベントである「吹上浜砂の祭典」が、連休期間の1週間から5月2日~31日まで長期に渡って開催されることから、県内外からのバスツアー等が増えるものと予想しています。連休中は団体の部屋が取りにくく、平日に期間が延長されたことが好材料となり、バス旅の企画も増え、指宿方面が混んでくるのではないでしょうか。エージェントの商品企画に取り込んでいただく必要があります。

 また、修学旅行の農家民泊が増加しており、農漁業体験の途中に砂の芸術作品を見せる時間を作って欲しいと願っています。南薩摩地域はこのイベントを活かして、自分の地域への誘引効果をもたらして欲しいと思います。

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 新燃岳噴火が落ち着いた霧島地域は、新緑やミヤマキリシマが美しい時期となります。えびの高原周辺の池めぐりも大いに宣伝しなければなりません。今年は、国立公園「霧島」指定80周年の節目の年です。霧島地域の温泉は、泉質や色など多種多様な湯が湧出する日本屈指の温泉郷であり、温泉の魅力を前面にPRが必要です。

 連泊を可能とするには、宿泊地周辺の市町村との連携が欠かせません。特に「悠久の森」や「桐原の滝」、「溝ノ口洞穴」、「関之尾滝」等曽於市、都城市との連携が欠かせません。翌日の行程を宿泊客に具体的に説明できるように、職員に対して日頃からの研修等が必要ではないでしょうか。一方韓国の人にはオルレのコースが人気となっています。

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 海外路線が4つに増えて外国人の誘客が一段と便利になりました。3月30日から就航した香港路線は、予約状況が好調であり、これから1年先まである程度の集客が期待されます。FITが増える中で、レンタカーやレストランの外国語対応、鹿児島らしい体験メニュー等受入態勢の整備が求められます。

 ゴールデンウイークから急激に増えるのが、屋久島への登山客です。縄文杉や宮之浦岳への登山が多くなり、宿泊施設は、ホテルや旅館だけでなく、民宿までいっぱいとなりテントでキャンプする人が増加します。決められた場所でのキャンプ、また、トイレのし尿処理問題も決められたルールを徹底して守って欲しいと思います。旅行エージェントの皆さまにも、来島者に対して屋久島登山の注意事項を徹底してもらいたいと思います。

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 今旅行先として注目されるのが大隅地域です。お薦めのスポットを紹介します。 岬までの取り付け道路が無料化された佐多岬は、昨年10月の無料化以来観光客が増加しています。九州本土最南端の岬が整備され、かつての賑わいが戻りつつあります。晴れた日の展望は絶差に尽くしがたい景観が広がります。開聞岳、種子島、屋久島、硫黄島を洋上はるかに望めます。


 南大隅町の雄川の滝や諏訪神社、パノラマパーク西原台などの景勝地も一緒に回ることをお薦めします。また錦江町の「神川の大滝」、「花瀬公園」はこれから川岸の緑が一段と鮮やかになり、見ごろを迎えます。

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 海上自衛隊鹿屋航空基地では、「エアーメモリアルinかのや2014」が開催されます。南九州最大のイベントであり、今年は基地内見学ツアーも新たに開かれます。史料館の庭に展示されている飛行機の数々は、子供たちにとって最高の思い出づくりになるのではないでしょうか。

 おりしも、鹿屋航空基地が登場する映画「永遠の0」がヒット中であり、過去最高の人出が予想されます。会場周辺での地域産品の展示販売の強化が求められます。

 近くにある「かのやばら園」では8haの敷地に5万本のばらが植栽されており、6月1日までばら祭りが開催されます。出口にあるショップが混雑するため、見学の途中に中でお土産品を買える施設の設置が不可欠です。

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 また、宇宙基地のある肝付町の内之浦では、4月12日から5月4日まで「春のえっがね丼祭り」が開催されます。全店統一の価格2,500円で販売されます。宇宙基地見学と一緒に地元で獲れた新鮮なえびを堪能してください。錦江湾側から田代~内之浦と抜ける国道448号は、景観が素晴らしく県内一のドライブコースと思います。

 ところで、ゴールデンウイークの宿泊客の主流は近隣の客で、しかも家族旅行等は出足が遅い傾向にあります。メディア等でゴールデンウイークの人出の予想やイベント情報等が発表されると、急に予約が増えるなどこれから動きが活発となります。タウン誌や大型商業施設等で県内の人たちへの情報発信を強化してもらいたい。

 宿泊施設では空き情報を前広に把握して料金体系を換えるなど、臨機応変の対応が望まれます。特に4月後半の需要が鈍いと捉えておく必要があります。 国民が楽しみにしているゴールデンウィークまで1カ月余り、準備怠りなく需要を吸収できる態勢づくりが望まれます。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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