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No.323 命の尊さを誰が教えるか~お盆は家族の絆を深める機会に~ 

2014年8月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 佐世保市で女子高校生が同級生を殺害し、しかも遺体を切断するという痛ましい事件が発生しました。佐世保市では10年前に小学生による同級生の殺人事件が発生し、「心の教育」に力を入れてきただけに、関係者の衝撃は計り知れないものがあります。16歳のクラスメイトで、日頃から仲も良かったということで、生徒さん方のショックも大きいと思います。再発防止に向けて家庭、学校、地域、自治体をあげて取り組まねばなりません。

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 ところでお盆を故郷で過ごすため、今年も国民の大移動が始まりました。一昔前まではお盆と正月は切符が取りにくい状況でしたが、飛行機、新幹線、フェリー、高速道路等の充実により特定日を除けば、帰省には問題がなくなりつつあります。また、LCC等の就航により、運賃の安い時期を選んで、故郷に帰る人も多くなっているのも事実です。

 お盆は、太陰太陽暦である和暦の7月15日を中心に日本で行われる祖先の霊を祀る一連の行事です。現在では、8月中旬(新暦8月15日、月遅れの盆)を「お盆」と称するため、「お盆」というと月遅れのお盆を指すことが全国的になっています。また、人が亡くなり49日法要が終わって最初に迎えるお盆は初盆と呼ばれて、厚く供養する風習があり多くの人が集まります。

 お盆には全国的にはさまざまな風習がありますが、比較的どこの家庭でも行われているのは、12日の夕刻に行う「迎え火」と15日と16日の「送り火」です。京都では「五山の送り火」が、奈良では「高円山大文字送り火」が行われます。長崎では「精霊流し」が行われ、多くの観光客が訪れます。

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 月遅れのお盆の時期とはずれますが、お盆に関連する行事としては、「富山市八尾町の越中おわら風の盆」、「岐阜県の郡上おどり」、「徳島県の阿波踊り」、などが有名ですが、団地や町内会単位での盆踊り大会も各地で定着しています。


 都会で育った子供にとって、先祖の墓は田舎にあることが多く、頻繁に訪れることはできません。夏休みは子供たちを始め兄弟、祖父、祖母、親戚等が集まりやすく祖先のお墓参りをする良い機会となります。墓前に手を合わせる機会をつくってあげることは、大人の責任であると考えます。

 先祖の名前が刻まれた墓前に静かに手を合わせ、お祈りすることで、家系のルーツを確認する場となり、自分の命は先祖から長く引き継がれているものであると知る機会となります。最近親子、同級生、友人等による悲しい殺人事件や簡単に人を傷つけるニュースを聞くたびに、命の大切さを教える機会を大切にしなければなりません。

 身内で営まれる葬儀、告別式には子供たちは積極的に参加させるべきだと思います。厳粛な雰囲気、悲しみに耐える家族、友人たち、また、最後の別れのシーンなど会場全体を包みこむ「生と死の尊厳」を身をもって感ずると思います。人の死がどんなに悲しいものなのか、直接ふれさせていかねばなりません。冠婚葬祭は子供が、人生の悲しみや喜びを素直に受け入れることができる機会ととらえねばなりません。

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 ところで鹿児島県は一人あたりの生花の消費量が、日本一です。その要因は定期的にお墓参りに行き、その度に新しいお花を購入しお供えする習慣があるからです。嫁ぎ先では姑さんが、先祖とお墓参りの大切さをお嫁さんに教えており、そのことが日々の生活の中で習慣として定着しています。

 先日訪ねた指宿市鰻池集落のおばあちゃんは、1日3回墓参りに行って、水換えを行っていると語ってくれました。

 鹿児島市内にある南州墓地は、明治10(1877)年の西南戦争で戦死した西郷隆盛をはじめ西郷軍の人々が祀られ、749基の墓石があり2023名が眠っています。観光に訪れた記念に参拝する人も多く、線香の煙が絶えません。

 観光バスが南薩地域に行くと、バスガイドさんが沿線のお墓を指差して、日々の手入れや参拝の習慣を説明してくれます。観光客は花の新鮮さとともに、先祖を大事にする地域の伝統文化の尊さに感激します。

 先日友人を桜島に案内した折、屋根付のお墓が多いのにも感激していました。降灰から先祖の霊を守る大切さが示されていると言っていました。

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 東北大震災では、多くの方が家族を亡くされて「家族の絆」とういう言葉が、より大切にされるようになりました。少子高齢化が進む日本ですが、日頃会えない親戚や家族との交流の大切さが、今、問われています。

 お盆は人の命の尊さを認識する良い機会です。今年もお盆に里帰りし、祖先の墓に線香とお花を供えて、元気で生かされている自分の感謝の気持ちを伝えたいと思います。

         閑さや   巖にしみいる   蝉の声    ~松尾芭蕉~

 1689年7月13日出羽国(現在の山形市)の立石寺を参詣した際詠んだ発句です。猛暑が続きます。ご自愛ください。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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