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No.324 放置するとサービスは低きに流れる~創業の精神を忘れずに~

2014年8月18日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

      夏草や      兵(つわもの)どもが     夢の跡
      五月雨の     降りのこしてや   光堂
*1689年、松尾芭蕉が平泉の中尊寺を訪ねた時に詠んだ句です。
*光堂は中尊寺の金色堂のこと

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 先日、東北3県を旅する機会がありました。鹿児島からですと答えると、行く先々で「遠い所わざわざお越しくださりありがとうございます」と丁寧なあいさつを受け、清々しい気持ちになりました。旅の良し悪しは、地域に住む人々の印象だとあらためて感じました。

 観光客誘致の仕事を通じて日本全国を訪ねる機会が多く、また、タクシーに乗る機会も多くあります。初めての土地では駅前から目的地までタクシーを利用しますが、いつも不安と期待を抱えながら乗車します。目的地を告げると、不機嫌な態度を見せる運転手に遭遇することがよくあるからです。

 駅構内のタクシーは、観光地巡りや遠方までの客を待っている場合が多く、近距離は嫌がられます。しかし遠来の客は初めて訪れる場所では、地理に不案内なためタクシーに乗るのであり、親切な対応があれば、翌日の観光にそのタクシーを利用するかもしれません。第一印象が翌日の仕事に結びつくこともあります。

 鹿児島でも近距離乗車を嫌がり、口も利かない運転手に何回も会っています。友人の一人は駅前からのタクシーは避けて、ちょっと歩いて市中のタクシーを利用すると話していました。 「近くても遠慮なくお乗りください。」と快く声をかけてくれる運転手はまだまだ少数で、マナーに優れたドライバーを育てることが、企業の高評価に繋がり、そのことが顧客獲得に結びつくのではないでしょうか。

秋田県角館.jpg

 最近タクシー会社の合併が進み、新しい社是を制定し社員教育にも力を入れている会社があります。制服・帽子の着用、挨拶の励行、自らドアの開閉等顧客に安心と快適さを提供しようと必死の努力をしていますが、月日がたつにつれてマナーが悪くなっている運転手が増えているのも事実です。

 また、ドライバーの採用を厳選し教育にも力を入れたつもりが、いつの間にか創業時の精神を忘れ、評判を落としている会社があり愕然とします。企業の論理を優先し、サービス精神が忘れられているような気がします。

 経営者の皆様は、是非創業時の精神にかえり、社員教育を徹底してもらいたいと思います。乗務員のモラルがサービスの低下につながり、顧客離れが進むと認識すべきです。

 ところで鹿児島では、昔からおもてなしのひとつとして、「茶いっぺ」の心が受け継がれています。初めて降り立った駅や空港等で笑顔の元気なあいさつがあり、お茶のおもてなしがあれば観光客は感動します。

お茶(鹿児島空港).jpg

 現在鹿児島空港では、霧島市の観光協会が「霧島茶」のPRを兼ねてお茶の無料サービスを実施しています。観光客に好評であり、売店でお土産に買って帰る人も多いということです。鹿児島県は日本第2のお茶の産地であり、鹿児島の優れた産品に直接触れる良い機会になると思います。

 また、道中で見知らぬ人から「こんにちは」とあいさつをされて、地域の温かさに触れた経験を持った方は多いと思います。地方に行けば、このような人々によく出会いますが、地域住民の素朴な温かい気持ちが伝わります。

 ところで、会社にいるとさまざまな訪問者があり、名刺交換やあいさつする機会が多くなります。しかし、24時間ビルの安全管理に努めている守衛さんや、毎日掃除をしているビル清掃会社の方々、宅配便の集荷や届ける方などへ率先して、感謝の気持ちを込めてあいさつすることを怠っているのではないでしょうか。そのようにがんばっている人々にも、顧客と同じ目線できちんと挨拶することの大切さを感じます。

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 昼休みには保険会社のセールスレディが訪問し、パンフや雑誌等を配布していますが、契約を取るための営業の苦労が伝わってきます。その姿に接するたびに、営業活動で苦労した入社の頃が思いだされて、あいさつと励ましの言葉をかけるよう心がけています。 事前に訪問時間がわかっている団体や顧客の歓迎看板も相手の心を動かします。

 今、日本は成熟社会を迎え、モノの豊かさより心の豊かさが求められる時代となっています。また、マーケットは日々変化しており、従来の発想では生き残れません。顧客満足は当たり前であり、「感動・感激」を経験した人だけが顧客になります。自ら積極的にあいさつし、感動体験を経験した人が、相手に対して「おもてなしの心」が提供できると思います。

 鹿児島では、来年「第30回国民文化祭」が県内全市町村で開催され、全国から参加者が集まります。地域ならではの「ふだん着のおもてなしの心」が求められます。それは、まず笑顔であいさつをすることだと思います。

 また、2018年は「明治維新150周年」の節目の年です。近代日本の礎を築いた偉人の多くを、薩摩から輩出しており、そのことは大きな誇りです。

 歴史遺産、自然、伝統芸術とともに、「あいさつの励行」や「お茶いっぺの心」等鹿児島のおもてなし文化として定着させねばなりません。そのことが名実ともに「観光立県鹿児島」に求められる課題です。笑顔で「こんにちは」という何気ないその一言が、人と人の心をつなぐ「おもてなしの心」になるのではないでしょうか。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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