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No.338 バリアフリー旅行の受入拡大がなぜ必要か~旅の感動に段差はありません~

2014年11月25日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 高齢化社会を迎えて「バリアフリー旅行」についての関心が高まっています。県と観光連盟では、かごしま観光人材育成塾の一環として、今回初めて『ユニバーサルツーリズムセミナー』を開催したところ、110名の参加者がありました。初めて知るマーケットの実態や現場の具体的取組が報告され、今後参考になる点が多く皆さん熱心に講演を聞いていました。

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 観光庁は「ユニバーサルツーリズム」について、「すべての人が楽しめるように創られた旅行であり、高齢者や障害などの有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」と定義しています。バリアフリー旅行より広義に及び、妊産婦や子ども連れなども含めています。

   団塊の世代が退職し、老後はゆっくり旅をしたいというニーズの高まりや、健常者と障害者が安心して旅行を楽しむことができる「バリアフリー旅行」のマーケットが拡大しています。しかし住民や受入機関によって関心の度合いに温度差があり対応が遅れているのも事実です。

 今回まず、特定非営利活動法人日本バリアフリー観光推進機構の中村元氏から、現在の取組状況や今後の課題等についての基調講演がありました。講演を受けて、九州運輸局企画観光部長の榎本道也氏、特定非営利活動法人 eワーカーズ鹿児島理事長の紙屋久美子氏、霧島温泉 旅行人山荘代表取締役の蔵前壮一氏を交えてパネルディスカッションを実施しました。

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 中村氏の本業は水族館プロデューサーであり、顧客視点に立った展示や運営、及び入館したくなるプロモーションを行う等集客対策を専門とされています。伊勢の鳥羽水族館にバリアフリー対策を講じ、施設や実際見学している状況等のPRを実施したところ入場者数が大幅に増加した実例を発表されました。中村さんがプロデュースされた施設では、来館者が増加しています。

 障害者手帳を持参している人は、一人での来館は少なく同行者を含めると4人程度で来る方が多く、障害者手帳を持った方の入館者が増えると、全体の入館者増に繋がると話されました。また、障害者が観光地に行きたいとういう願望を実現するためには、健常者も同行して楽しめる環境づくりが重要と感じました。

 中村氏はバリアフリー旅行について、マーケットの需要があるのを見のがしている。また、来訪者を増やす対策としてはパーソナル基準を守り、トラブルをなくすためにも、積極的に相談センターを活用して欲しいと熱く語りました。

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 榎本部長は、バリアフリーと福祉が混同されて業務改善が進まないことや、自分が同行し世話することは困難である、マーケットは小さいと思っている人が多く、対応できる施設が増えないこと等をあげていました。


 観光庁として、全国20箇所ある相談センターを今後増やし、点から面への展開をすすめて、2020年の東京オリンピック、パラリンピックを見据えて海外からのお客様への対応も考慮しなければならないと語りました。

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 紙屋さんは実際日々バリアフリー対策に取り組んでいる中で、住民への理解不足を解消すべく情報を広げることが重要であると。また受入施設の拡大や施設の具体的表示の重要性も語りました。


 霧島温泉で人気のある宿泊施設を経営している蔵前社長は、障害者が利用しやすいように部屋に露天風呂を造り、エレベーターを増設する等受入態勢の充実に努めています。

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 また、教育の機会を増やす等ソフト面の充実にも力を入れており、障害者への言葉遣いやおもてなしの心を学ぶ勉強会を開催しています。その効果もあり、日頃受け入れている宿泊者から従業員の対応について、感謝の言葉が増えているという相乗効果も語られました。

 最近の旅行エージェントの企画を見ると、「旅をあきらめない!夢をあきらめない!」、「杖や車いすで旅を楽しむ」等バリアフリーの旅が増えています。また専門の部署を持つ会社もあります。旅行はエージェントだけでなく、鉄道、バス会社、宿泊機関やその他関係機関の協力、それに従事する職員の努力が顧客満足に繋がります。これからバリアフリーのマーケットは拡大しますが、内容の充実が求められおり、ツアーを企画する会社もその点に十分配慮して欲しいと思います。

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 前述したように、バリアフリーツアーは、物理的障害を取り除くだけではなく、情報、文化、規範、そして我々の心や考え方等様々なところに存在する「バリア」を取り除くことが、まず大切ではないでしょうか。国民の意識の中にバリアフリーツアーの考え方を理解して浸透させることが、日本においてユニバーサルツーリズムが定着できるかの「鍵」になると信じます。

 皆さまの家族、親戚、友人、あるいは周囲に、高齢者や障害を持っている方は多くいらっしゃると思います。皆さんに旅行の感動を味わせたいものです。心の中の「バリア」を取り除き、一緒に旅に出て楽しみましょう。

         小春日和の青白い光が、山麓の村に降りそそいでいる。
                    『たそがれ清兵衛』の最終章:藤沢周平

 小説の舞台である「海坂藩(うなさかはん)」のモデルは、庄内藩(現在の山形県鶴岡市が含まれる)です。鹿児島市の姉妹都市です。ぜひ桜の花が咲く頃お訪ねください。

No.337 地域資源の旅行商品化と地域全体のパッケージ化の重要性~プロモーション力をいかに強化できるか~

2014年11月17日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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おりたちて けさの寒さを おどろきぬ
      つゆしとしとと かきの落ち葉深く
                   ~伊藤左千夫~

 11月も半ばを過ぎ、朝夕の涼しさに冬の訪れが近いことを感じます。

 県の9月の観光動向調査が発表されました。(サンプル調査)それによると、宿泊客数は9月単月では0.2%の増となり、1月以来前年を超えましたが、累計では2%の減となっています。最シーズンの8月に大きな台風が来襲して、宿泊等の取消が相次ぎ観光客の減少に繋がりました。残された2カ月で減少分を取り戻すべく、積極的な誘客活動に努めたいと思います。

 今年も、これからの地域づくりや観光地づくり、観光素材発掘、商品造成、情報発信等を担う人材育成を目指し、「第7回かごしま人材育成塾」を開催しました。今回は、過去最高の120名が参加しました。

 講座の概要について簡単に紹介します。

 第1講座は、県観光交流局の五田観光地整備対策監が、「観光かごしまの現状、魅力ある観光地づくり、スポーツツーリズム」について講演しました。

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 地域の人口が1名減少すると、1年間で120万円の消費が失われて、それをカバーするためには宿泊観光客や外国人観光客の誘致が不可欠であると強調されました。また、毎年取組んでいる「魅力ある観光地づくり事業」では佐多岬の整備計画が進み、バリアフリー対策などを施し、2年後には新たな魅力ある観光地として脚光を浴びるのではないでしょうか。

 「スポーツツーリズム」について、「さんふらわあ」を活用し関西地域からの大学生のスポーツ・合宿が増加して、大隅地域の活性化につながっているという事例も発表されました。また「プロキャンプ誘致」や6年後の東京オリンピック、国体の開催をにらんだ整備、誘客態勢について戦略の一端が語られました。

 第2講座は、「株式会社まちづくり計画研究所 代表取締役 今泉重敏」さんが【まちづくり仕掛けのハウツー】について講義しました。

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 元町役場の職員を10年間経験され、今では九州における地域づくり、まちづくりの"のぼせもん"仲間のネットワークの代表世話人として活躍されています。全国に約1万人の人的ネットワークを持ち、まちづくりコーディネーターとして実践に基づいた笑いの絶えない講話でした。

 自治体の総合計画、観光ビジョン、中心市街地の活性化、過疎地活性化、校区単位のまちづくりや将来ビジョンの策定等には、住民が喜ぶ(楽しめる、求める)姿を描く必要がある。絵に書いた餅に終わらないよう、小さな成功事例を創っていくことの大切さを語りました。沿道や集落に、自ら仕掛けた人形や案山子などユニークな展示物は、観光客誘致だけでなく、住民の参画意識を育てているという話など目からウロコが落ちる心境になりました。

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 地域や商店街の活性化に向けた「笑標語」として、「笑売繁盛 笑顔の店には客・福来る」、「笑顔あふれる笑店街 上笑気流に乗る笑人の町」等「笑」という言葉を組み込んだ造語には、なるほどと感心させられるばかりでした。また聞きたい話でした。


 第3講座は、「第30回国民文化祭におけるおもてなし」でした。

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 中村朋美さんから、「おもてなし10カ条」や挨拶の仕方等具体的な手法で、参加者が眠る隙もなく、講義されていました。挨拶の仕方として「同時礼」より、言葉を発して後から頭を下げる「語先後礼」が丁寧であると、また、押すドアと引くドアではお客様の案内の仕方が逆になるなど我々が日頃気付かない貴重な話を聞くことができました。

 国民文化祭は、県内全ての市町村で文化行事が開催されることから、県全体としておもてなしのレベルアップが求められます。「おもてなしの極意」や鹿児島の観光をつなぐ示唆に富んだ話でした。

 第4講座は、日本一の鰹節の産地である枕崎市で、新たな食文化に取り組んでいる中原水産常務の中原晋司氏による【出汁(だし)による地域活性化】でした。

 いま、日本の伝統的食文化が脚光を浴びています。枕崎の漁師が船上で食べる丼飯からヒントを得た「枕崎鰹船人めし」は、県内の地域グルメのNO1を決める「Show 1グランプリ」で2年連続1位に選ばれました。

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 枕崎市の人口減に危機感を感じている中原常務は、特産の鰹節を活用して特産品の開発やPR活動、イベントの創出等地域おこしを自ら実践されています。観光客の前で鰹節を削り、香りが漂うその出汁を顧客に提供することで、安全安心をもたらし、関心を持って観光客は迎えてくれます。

 枕崎を「出汁のふるさと」にしたいと言う大きな夢も抱き、物産と観光を融合させ地域に人を呼び込み、元気にしたいと言う取り組みは、必ずや広がっていくと思います。今度指宿、枕崎線を利用して、指宿の観光協会と連携しワイン列車を走らせ、地産品のつまみ等もPRします。ローカル線を守る取組の一つにもなるのではないでしょうか。

 第5講座は、現在県・連盟のホームページについて、指導いただいている株式会社 トラベルジップ代表取締役 大泉敏郎氏による【観光業界・観光客のトレンドとWebサイト活用方法】でした。

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 大泉氏によると、10年程前は航空券のエージェントの発券率が7割を占めていましたが、現在では75%がインターネットの直接予約にかわっているとのことで、流通構造の変革が急速に進んでいることを指摘されました。大泉氏の指導により県観光サイト「本物。の旅かごしま」 も改善しており、アクセス回数は飛躍的に伸びています。

 観光客が求める情報はどこにあるのか、また見たくなるホームページのあり方について、具体例をあげて説明がありました。ホームページに掲載する情報は、正しい順位と優先順位を常にチェックする必要があると鋭い指摘がありました。地域の情報発信には、人材育成と情報の商品化、PR体制の強化が不可欠と感じた塾生が多かったのではないかと思います。

 最後の第6講座は、薩摩川内市の甑島で「地域おこし協力隊」として活躍されている関美穂子さんによる、【「ヨソの目」が地域に入ることって?~地域おこし協力隊の事例紹介~】でした。

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 地域おこし協力隊とは総務省の人材活性化・連携交流室の事業の一つです。 関さんはエージェントでの経験から、日頃より地域が主体の着地型観光に興味を持っており、薩摩川内市に採用された一人です。現在下甑島に暮らしながら、特産品開発や旅行商品の企画等に取り組んでいます。

 島の住民に地域の活性化策を理解してもらうために、自分の意見を無理強いするのではなく、どうしたらお手伝いできるか、ヨソものがもっているものが地域を元気にする契機となる思いで取組んできました。ヨソの地域に入り込むためには、お互いの差異の自覚、尊重、相互の強みをいかしていくことの必要性を強く語りました。

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 よそものの視点で捉えた甑島の観光素材を商品化し、PRして販売していくそのサクセススト-リーが聞けたのではないかと思います。甑島には、水戸岡鋭治氏設計による、観光高速船が就航し話題の島となっています。島の魅力とともに彼女の今後の活躍に拍手を送りたいと思います。

 今回受講者が増加したのは、講座の選択も可能としたことが上げられます。また、夜学塾は、参加者同志や講師陣とのコミニユケーションの場となり、講座で聞けないより具体的な話が聞けたのではと思います。

 観光のトレンドは、団体旅行から個人旅行にシフトしており、県内の宿泊機関のデータでみると7割が個人客です。そのことが翌日の行動に現れます。趣味を求めて、トレッキング、美術館・博物館・歴史資料館巡り、温泉、ショッピング、ドライブ等行動範囲も広くなり、地域の情報をWEBサイトでいかに発信できるかが重要です。

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 またエージェントへの依存だけでなく、地域主導の着地地型商品の充実も求められます。今年に入り外国人が増加しており、県全体での累計では19.9%増加しています。増便や円安効果、免税制度の拡大など追い風が吹いています。


 地域では受入態勢の整備が急がれます。大都市圏から地方への流れも一気に進んでくるものと思います。地域づくり・観光地づくりには人の存在が重要であり、地域資源を旅行商品化し、そして地域全体をパッケージ化して、プロモーションするという作り込みが必要です。

 今まで人材育成塾を受講した方の多くが、それぞれの地域で頑張っていることは、鹿児島の観光の広がりが進みつつあり、大きな財産となっています。九州新幹線全線開業から3年8ヶ月、転換期をむかえている鹿児島の観光です。この講座が人材育成とさらなる地域活性化につながることを期待しています。

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三七七八米の富士の山と、立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんと言うのか
金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすっくと立っていたあの月見草は、よかった。
富士には、月見草がよく似合う。
         ~太宰治『富嶽百景』から~

No.336 癒しの旅のおすすめ~LCCの就航や割安運賃で気軽に行ける奄美の島々へ~

2014年11月10日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 南北600キロに及ぶ鹿児島県は、本土の長さより離島の長さが上回ります。県内には、28の有人離島があり、それぞれ自然の魅力や文化、歴史があり訪ねてみたい島ばかりです。それぞれの島には定期船が通っていますが、アクセスが十分とはいえない島もあります。

 しかし、あまり行けない島だからこそ都会の人にとっては、行ってみたい場所になります。大陸、琉球、日本文化の接点に位置し、多彩な伝統文化、風俗、歳時、食文化などが残り、旅人を楽しませてくれます。島々は、手つかずの自然が残る貴重な島でもあり、都会の人にとっては、まさに秘境です。

 島全体を自然教室と捉えることができます。加計呂麻島の学校の校門で写真を撮っていると、ちょうど下校時間で元気な子供たちが挨拶をして帰っていく姿が印象的でした。

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 いま本土の学校では、警備上の問題から校門は閉ざされ入ることはできませんが、島の学校はオープンで、緑の運動場の芝生を無邪気に駆け回る子供と子犬の姿に、かつては日本のどこの学校でも見ることができた原風景がそこにあり、ふるさとの小学校時代に思いをはせました。

 40数年前、奄美群島への旅は船旅が主流でした。離島ブームと重なり、夏休みはリュックを背負った若者の姿がデッキまで溢れていました。

 ところで今年の7月1日、LCCのバニラ・エアの成田~奄美直行便が就航しましたが、格安運賃の導入もあり、7月~9月の首都圏からの利用客は大幅な伸びとなりました。県の観光動向調査によると、3カ月間の宿泊客数は、1,608人の増加となりました。(奄美地区9施設を対象)

 従来首都圏から奄美へは、羽田空港から日本航空が1日1便就航していました。首都圏から奄美への航空運賃は沖縄より高く、特に企画商品の価格に大きな差があり、観光客の誘致には不利をかこっていました。

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 LCCの就航は、奄美への新規顧客の開拓に繋がり、奄美の魅力を発信するチャンスとなりました。奄美大島ではホテルやレンタカー体験観光の利用者が増加して、観光需要の底上げが図られているのではと思います。11月の予約も好調ですが、これからも高搭乗率を維持してリピーターを確保するには、受け皿づくりが不可欠です。

 「奄美・琉球」は、ユネスコの世界遺産暫定リストに記載されており、2017年度中の世界自然遺産登録を目指しています。奄美地域の魅力は、生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地が含まれていることです。

 世界的にもまれな亜熱帯性降雨林をはじめ、温帯林の特徴を残す山地林から河口域のマングローブ林、熱帯性植物からなる海岸植生、砂浜からサンゴ礁までバラエティーに富んだ景観美を示しています。

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 また、沖縄と違う、どこか哀愁漂う旋律が心に響く島唄、スローフードの郷土料理、大切に引き継がれた祭りや紬工芸品、特有の方言も観光客の心を癒してくれます。在るものに神秘な力を感じる島です。代表的な行事である「八月踊り」は、太鼓の軽快なリズムに合わせて唄い、額に汗して笑顔で踊る姿にそこに住む人々のパワーを感じます。



 日本航空は、奄美群島航空・航路運賃軽減協議会が新たに実施する「奄美群島交流需要喚起対策特別事業」で東京/羽田・大阪/伊丹・福岡~奄美大島線と鹿児島~喜界島・徳之島・沖永良部・与論線を対象に、一部運賃の値下げを行うことになりました。

 東京/羽田~奄美大島線では、「スーパー先特」として片道14,700円から設定しています。(10月26日~2015年3月28日搭乗分)従来の3割程度の運賃であり、インパクトのある価格設定です。個人客がさらに増加するのではと期待がかかります。

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 LCCの就航と割安運賃の設定で行きやすくなった奄美の観光を、一時的なブームに終わらせるのではなく、年間を通じて誘客できる態勢づくりが必要です。これから奄美はシーズンオフ時期に入ることから、格安運賃で新たな需要の掘り起こしができるものと思います。

 大学生のゼミ旅行や合宿、メディア系旅行社とタイアップした趣味の会等の誘客がし易く、特に島の生活や文化にふれる旅が求められます。

 奄美は冬でも暖かく、プロ野球の秋季キャンプや陸上選手のロードの練習会場として人気があります。首都圏地域からの誘客のネックとなっていた運賃の高さや、アクセスの不便さが少しは解消されるのではないでしょうか。

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 また、春先になると、本土では花粉症に悩む人が多くなります。奄美大島は花粉症の原因である杉が少なく、避癇地としての魅力を発信することが求められます。都会の人々には、2地域2居住をすすめたいものです。

 地域の伝統文化である八月踊りや島唄ライブの実演を体験できる会場の確保も求められます。これまで個別の島で実施していた宣伝活動は、「奄美ブランド」定着を目指し群島全体の情報として発信を強化しなければなりません。

 今日本は外国人旅行者が急激に伸びており、大都市圏ではバスや宿泊の確保、不法駐車、渋滞等様々な課題が露呈しています。奄美は「世界自然遺産登録」が実現すると、クルーズ船の寄港等で多くの外国人観光客の来島が予測されます。外国語教育、外国語表記、食事、おもてなし等の整備も進めなければなりません。

 空港から奄美市内までの景観整備も必要です。奄美は、沖縄との差別化を図り、手つかずの自然を活かした観光地づくりが不可欠です。奄美市と空港の中間にある龍郷町は、県内の自治体の中で人口減が少なく、最近は都会からIターンしてきた若者が多くなっています。マリンスポーツやエコガイド、ペンション経営など奄美の自然を活かした事業に携わり、生計を立てている人々が多く住んでいます。

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 先日加計呂麻島の海岸で、東京から来た若者に会いました。自転車にテントと炊飯道具を積み、奄美の島々を訪ねて昼間はサイクリングしながら移動し、浜辺でキャンプを張っていると言う。海に沈む夕日を見ていると、時を忘れてしまう程感動するとその魅力を語っていました。

 訪れた人々を癒し元気にしてくれる奄美の島々を皆さま是非お訪ねください。

参考:しま旅:公益社団法人鹿児島県観光連盟

No.335 霧島連山・えびの高原(硫黄山)の正確な情報発信を~「環霧島会議」の趣旨をいかそう~

2014年11月4日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 鹿児島地方気象台は24日、霧島連山・えびの高原(硫黄山)で小規模な噴火の可能性があるとして、火口周辺警報を発表、「平常」から「火口周辺危険」に引き上げました。えびの市は24日、硫黄山から半径1キロの範囲を立ち入り禁止としました。

 宮崎県から発表された規制は下記の通りです。
1 規制の概要
 (1)規制開始日時
    平成26年10月24日(金) 午後5時 (当分の間)
 (2)規制内容
    ①入山規制(えびの市)
      硫黄山から概ね1kmの範囲
    ②県道1号(小林えびの高原牧園線)
     ・規制区間起点:小林市南西方環野 料金所跡
     (生駒高原よりえびの高原方面へ2km地点)
     ・規制区間終点:えびの高原 県道30号えびの高原小田線との交点
     ・規制区間延長:約13km
     *県道30号を利用して、えびの市から鹿児島県への通行は可能です。
    ③登山道(県、えびの市)
     ・えびの高原から硫黄山を経由して韓国岳に登るルート
     ・えびの高原から甑岳に登るルート
     ・えびの高原から六観音池及び白紫池を周遊するルート
2 その他
  平成26年10月24日午前10時:宮崎県及びえびの市に情報連絡本部を設置

 尚、霧島市では、えびの高原に至る道路に規制を知らせる看板を設置しました。今回の規制は、宮崎県のえびの高原周辺がほとんどですが、報道では霧島連山・えびの高原と報道されており、近隣の霧島温泉では風評被害等が懸念されています。

 新燃岳噴火の際は、宮崎県の高原町や都城市一帯に降灰があり、地域住民は大変厳しい生活を強いられました。噴火当時は連日マスメディアで報道されて、霧島温泉では、宿泊のキャンセルが相次ぎました。また、韓国の観光客に人気のあるトレッキング、ゴルフツアー等も相次いでキャンセルとなり、地域経済にも大きな影響を与えたことは紛れもない事実です。

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 しかし、観光客が落ち込んだ時期に、おもてなしセミナーや近隣の観光地視察等を実施し、地域ぐるみで誘客を図り回復に努めたことは、記憶に新しいことです。今回の硫黄山の影響を最小限に収める必要があります。

 今回の規制発表の際、多くのメディアが平成23年1月に発生した新燃岳噴火の様子を取り上げ、視聴者は霧島の山がまた噴火したのではと、錯覚したのではないかと思います。また、多くの犠牲者がでた木曽の御嶽山噴火から間もないこともあり、正確な情報を伝えなければ、国内外に新たな不安を与えかねません。

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 霧島連山の新燃岳は、現在は火山性地震も少なくなっており、警戒範囲は1キロに縮小されています。韓国岳からは変化した新燃岳の火口が望むことができます。韓国岳は、えびの高原方面からは当面登ることはできませんが、多くの登山者が利用する大浪池登山口から大浪池経由で韓国岳には登山できます。紅葉見学にはこのルートがベストではないかと思います。

 ところで、エージェントの鹿児島を訪れる商品企画では、1泊は霧島が組み入れられているコースが多く見られます。また、エージェントは全国にネットワークをもっており、迅速に情報を伝達できる強みがあります。新燃岳噴火時も地元支店と連携をとり、定期的にインターネットで社内への情報発信に努めていただきました。

 また、円安、LCCの就航、免税制度の拡充等があり、鹿児島を訪れる外国人は増加しています。台湾や香港からの観光客が大きく伸びており、鹿児島を訪れる外国人の5割を占める韓国人も回復基調にあります。

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 海外の友人に、今回の状況を正確に伝えていただき、安心して霧島に来ていただくよう要請していただきたいと願うばかりです。国内外での説明会では、桜島の噴火と防災対策に常に触れて、そこに6千人の人が住み生活をしていることを伝えています。


 県と観光連盟では、アクセス、イベント、紅葉情報等について、関係者と連絡を取りながら、ホームページで適宜発表していますが、今回も早速ホームページで第一報を掲示しました。危機管理に敏感な全国の教育旅行支店や商品造成箇所への正確な情報発信が特に重要です。

 県民の皆さんも、これから紅葉が本番を迎えます。霧島へ出かけていただき、秋の美しい霧島の魅力を県外の方々に伝えて欲しいと思います。

 霧島地域は今、世界ジオパークの認定を目指して、地域で様々な取組を推進しています。 また、霧島市、えびの市など5市2町で「環霧島会議」を設立し、連携強化に努めています。

 その設立趣旨には、【日本最初の国立公園である1つである霧島屋久国立公園の「霧島山」をふるさとの山と捉える自治体が、それぞれの行政区域を超えて連携し、環境、観光、防災及び教育等に関わる様々な施策・事業について、お互いに知恵を出し合い、協働することにより、地域活性化を図る。「平成19年11月9日」】となっています。

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 新燃岳噴火の際には、環霧島会議の設立趣旨に基づき、関係市町村が協力して難局を乗り越えました。今回の霧島連山・えびの高原(硫黄山)の立ち入り規制の影響を最小限度に収め、いつもと変わらぬ霧島地域の魅力を発信して、誘客に努めたいものです。

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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