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No.379 地域づくりは人づくりから「第8回かごしま観光人材育成塾」を開催します

2015年9月28日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

千本イチョウ園①.jpg

 シルバーウイーク期間中、県内の観光地は多くの観光客で賑わいました。街かどの歩道には、黄色く色づいたイチョウの実が落ちて、すっかり秋の気配です。



 北海道ではこれから2週間が紅葉の見頃となり、摩周湖や阿寒湖周辺は赤や黄色に色づいた木々が織りなす景観が素晴らしく、そのトンネルの中を走る観光バスの姿が印象的です。札幌大通公園のトウモロコシ焼のお店は、夜まで営業し観光客を引き寄せます。

運動会.jpg

 運動会のシーズンとなり、練習から帰る子供たちの服装も運動着のままで爽やかです。かつて生徒数の多かった時代は、走る姿を近くで見るために早朝から場所取りに出か け、ビニールシートを敷くものでした。今では学校側のガードも厳しくなり、立ち見で応援する光景が普通となっており、一抹の寂しさを感じます。

 阿久根市の小学校では、50歳になると自分の母校に集まり、在校生と一緒に運動会に参加し盛り上げています。「華の50歳組」と呼ばれており、いつまでも故郷との絆をつなぐ行事として引き継がれていくのではないでしょうか。

  ふるさとの なまり懐かし 停車場の
              人込みの中に そを聴きに行く
                    ~石川啄木 一握の砂より~

 ところで、県内の宿泊客数は、九州新幹線全線開業の年から好調に推移してきました。 鹿児島中央駅が新幹線の南の終着駅であることや、「指宿のたまて箱」、「はやとの風」、「ななつ星in九州」、「肥薩おれんじ鉄道」等列車の旅が人気となり、観光客増につながっています。

 一方最大の需要がある関東地域からは、従来のANA、JALに加えて、新しい航空会社や奄美へのLCCの就航などアクセスの利便性が図られ、安定した入込客となっています。

 しかし、今年5月の口永良部島新岳の噴火や、8月15日に桜島の噴火警戒レベル引き上げもあり、秋以降の宿泊予約が急激に落ち込んできています。桜島はレベル3に戻ったものの、噴火に対する不安感は十分に払拭できず、回復までは程遠いという状況です。

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 桜島、鹿児島市内、指宿、屋久島が特に影響が大きいものがありますが、県下全域に及んでおり、県、市、各自治体、観光協会、経済団体等オール鹿児島で誘客に取り組む必要性に迫られています。


 県では桜島対策として補正予算が計上され、メディアによる有効的発信の強化やエージェントに対する商品企画支援を行う等風評被害を軽減すべく努力しています。

 全国的にみると、北陸新幹線の開業、USJの人気復活、来年3月の北海道新幹線の開業等もあり、今後も苦戦が予想されます。新しい地域資源の発掘や、商品づくりとエージェントへの提案、情報発信ができる態勢づくりが重要になっています。

 ところで、県、観光連盟では「かごしま観光人材育成塾」を毎年開催していますが、8回目を迎える今年は今までで最高の105名が受講します。(9月11日現在)

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 今回は、「リピーター獲得に向けた取組とWebの活用」、「日本のインバウンドの現状と受入態勢の整備」や「地方創生時代の観光地づくり」、「世界文化遺産の次世代への取組」や「奄美の世界自然遺産登録を契機とした持続可能な観光・地域振興」等について講義が行われます。今、地域で問われている重要な課題が多く、受講者には必ずや新しいヒントが見つかるのではないでしょうか。



 県では本格的な人口減少時代を見据えて、地域をいかに維持し活性化していくか、地方創生のプラン作りを進めています。鹿児島県は30年後には、40万人の人口が減少すると予測され、また、20代~30代の女性が半減する市町村は30にも及び、地方崩壊の危機を指摘しています。(日本創生会議発表資料)  

 知事はこれからの鹿児島にとって重要な産業は、農業と観光振興を上げています。第4位の農業県であることから豊富な農水産物を活用して、ブランド価値を高め、年間750万人を超える宿泊客に提供し、経済効果の創出とリピーター化を推進しなければなりません。観光客に食の魅力づくりは欠かせません。

 インバウンド客が好調であり、今年も顕著な伸びが期待できます。鹿児島県が優位性を発揮できる観光資源を、どのような手法でどこに発信していくかが重要です。東アジアの空港は24時間体制で運営されており、そこからの誘客に対応できる受入態勢づくりが急務となっています。

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 今県内で脚光を浴びている地域には、頑張っている人の存在があります。地域づくりには、自ら汗をかく人材が不可欠であり、そこに人、モノ、資金を投入すべきと考えます。



 また、地域資源を磨き、食や特産品、歴史的遺産、観光スポット等と組み合わせてパッケージ化を図り、プロモートしていくことで多くのマーケットへ提案ができ、エージェントの商品化にもつながります。人材育成の重要性が問われます。

 新幹線全線開業から5年目に入り、広域で新たな取組みが求められています。この講座が地域活性化のための人材育成につながり、地域連携のきっかけになることを期待します。

No.378 「薩長土肥連合」による観光の推進~明治維新150年の優位性を活かす~

2015年9月14日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」が後半戦に入り、盛り上がって来ました。最近の放映では、薩長同盟締結までの時代背景や、明治維新前後の激動の人間ドラマがあり、毎週楽しみにしています。

 明治維新、その後近代日本の体制づくりに貢献した藩として特に挙げられるのが薩摩、長州、土佐、肥前です。

 8月31日東京で、鹿児島県、山口県、高知県、佐賀県の知事による「明治維新150年 平成の薩長土肥連合」の盟約締結式が、マスメディアも参加する中行われました。

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 今回の盟約締結の趣旨は、2018年が明治維新150周年に当たることから、幕末・維新の知名度を活用した広域観光プロジェクトとして、4県及び各観光団体からなる「平成の薩長土肥連合」を設立し、様々な共同事業を展開して明治維新150周年に向けた観光需要の拡大を図ろうとするものです。

 施策の展開としては
 「薩長土肥」の知名度を活用した4県合同の情報発信により、各県の知名度向上の取組を推進し、既存イベントへの出展・記念イベント開催等です。

 また、各県における幕末・維新期の歴史や人物等をテーマにした商品企画を進め、その新たな広域観光周遊ルートの定着を目指します。

 全国的にも珍しい遠隔地での連携という特徴を生かし、相互送客体制を構築することが重要で教育旅行の誘致、スタンプラリー、キャリア・エージェント等とのタイアップを推進します。

 「広域観光ルート形成」、「観光プロモーション推進」、「共同イベン開催」、「旅行商品造成」のプロジェクトを4県で分担しますが、各県の歴史的遺産やストーリー、観光の魅力を全国的に浸透させる取組が重要です。

 鹿児島県と他の3県の明治維新との関係や観光の魅力について触れたいと思います。

 鹿児島県と山口県は歴史的に特に関係が深いものがあります。1866年、薩摩藩と長州藩は、「薩長同盟」という政治的・軍事的同盟を締結しました。来年で同盟締結から150年になりますが、この締結の斡旋をしたのは、土佐藩を脱藩した坂本龍馬と中岡慎太郎です。 

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   NHK大河ドラマでは、「翔ぶが如く」、「篤姫」、今年の「花燃ゆ」等で、両藩の幕末から明治維新、その後の活躍ぶりが描かれています。また、薩長同盟に奔走した坂本龍馬を主人公とした「龍馬伝」は2010年に放映されました。

 山口県は、西には秋吉台や天然記念物の秋芳洞、北には、吉田松陰、桂小五郎や伊藤博文などを輩出した城下町萩市、東には世界に一つしかない木造5連の太鼓橋「錦帯橋」がある岩国市、県庁所在地の山口市は、ザビエル記念堂、国宝の五重の塔を持つ瑠璃光寺などの観光地があります。

 温泉地としては、湯田温泉、長門湯本温泉、俵山温泉が有名です。また、仙崎にある「金子みすゞ記念館」は繊細な心で描かれた詩が文学ファンの心を捉え、女性客を中心に観光客が訪れます。

 九州新幹線の全線開業により山口県とは約2時間で結ばれ、また、明治維新150周年や、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録など両県に共通する話題もあり、教育旅行を中心に今後の連携が必要になっています。

 なお、鹿児島県観光連盟と山口県観光連盟は、平成20年に姉妹盟約を結び、両県の観光地や、食を生かした観光交流を活発にしていくことを確認し合って活動しています。

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 高知県(土佐)といえば、坂本龍馬であり、「薩長同盟」、「大政奉還」の立役者です。彼が作った「船中八策」は、明治維新の新国家建設の骨格をなす政策です。


 薩摩を2度訪れていますが、2回目はお龍さんも連れ立って、寺田屋事件で負傷した体の療養を兼ねたものでした。霧島の温泉に浸り、高千穂登山や鹿児島城下で約3カ月滞在しており、日本で最初の新婚旅行といわれています。盟友の小松帯刀や西郷隆盛との親交がそれを実現させたものです。

 ほかに幕末・維新期には山内容堂、中岡慎太郎、後藤象二郎、板垣退助等も活躍しています。

 高知の観光名所といえば「桂浜」ですが、美しい白浜と月の名所として知られ、太平洋を見下ろす高台には、坂本龍馬の銅像が建てられています。 また、田宮虎彦の小説「足摺岬」を読み、四国最南端の岬を訪ねてみるのも旅の楽しみのひとつでしょう。

 「四万十川」は日本の最後の清流と言われる川で、ぜひ遊覧船に乗り透明度を確かめてください。

 食べ物ではカツオの消費量が日本一であり、藁で焼いた「カツオのたたき」は是非お勧めしたい逸品です。鹿児島から高知へは、岡山~高松~高知の列車の旅がお勧めです。時間がかかりますが、瀬戸内海、四国を縦断でき沿線の景観が楽しみです。

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 佐賀県(肥前)といえば歴代鍋島氏を中心とする藩で、唯一開国されていた長崎に近いこともあり鉄鋼、大砲、蒸気機関、電信等西洋の技術を取り入れ近代化政策を推進していました。



 1853年には、今回世界文化遺産に登録された「三重津海軍所」が設置され、1865年には日本最初の蒸気船「凌風丸」が進水しています。明治政府には多くの人材が登用され、江藤新平(初代司法卿)、大隈重信(元総理大臣・早稲田大学創始者)、大木喬任(文部卿・東京市長)、佐野常民(枢密院議長・日本赤十字社創設者)らが活躍しました。

 江藤新平は西郷隆盛と親交が深く、「征韓論」の政変の際に西郷とともに参議を辞任し、佐賀に帰りその後「佐賀の乱」の首謀者として、新政府軍に捕えられ処刑されています。

 佐賀の観光といえば、有田焼、伊万里焼などの焼物です。GW期間中に開催される「有田陶器市」には、毎年100万人を超える観光客が訪れます。50ヘクタールに及ぶ弥生時代の環濠集落跡「吉野ヶ里遺跡」は国の特別史跡となっています。嬉野温泉や武雄温泉も福岡から気軽に行ける温泉地として賑わっています。

 今回の盟約締結は広域連携であることから、観光客は一度に巡ることは厳しい面があり ます。スタンプラリーを展開するなど長期の取組や、各種のイベントでは相互にPRコーナーを設置し宣伝効果を高め、コンベンション開催時には他の3県からの参加者を増やす取組が重要です。

 人口減少時代に入り、交流人口の拡大は不可欠です。明治維新150年というビッグイベントは、4県が他県より優位性を発揮できるチャンスであり、最大限活かさねばなりません。

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 鹿児島県としては2018年が明治維新150年に当たることから、「NHK大河ドラマ」の誘致を目指し県、市、各種団体合同で取組を推進しています。県民の皆様も薩摩藩の偉人達が成し遂げた偉業を学び、郷土愛を構築する機会にしてもらいたいものです。

                お魚
      海の魚はかわいそう。お米は人につくられる、
      牛は牧場でかわれている、鯉もお池で麩(フ)を貰う。
      けれども海のお魚は なんにも世話にならないし
      いたずら一つしないのに こうして私に食べられる。
      ほんとうに魚はかわいそう。
             ~金子みすゞ詩集より~

*シルバーウイークに入るため、次号は9月28日に掲載します。

No.377 ピンチをチャンスに~風評被害を跳ね返す販促活動を~

2015年9月7日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

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 大型の台風15号が過ぎ去りましたが、農産物や家屋、道路の被害が多く発生し、また、停電が1週間も続いた地域もありました。一日も早い復旧を祈りたいと思います。 夕焼け空に赤とんぼが飛び交い、朝晩はひんやりとした風が吹き抜け、急に秋の気配を感ずる季節となりました。

 8月15日、「気象庁が桜島の噴火警戒レベルを3から4に切りかえ」、桜島の噴火予報に関するニュースが流れるたびに、観光関係者は風評被害を心配してきました。

 「桜島の地殻変動が観測される」という気象庁の発表以来、宿泊者の予約取り消しが増え、「かごしま錦江湾サマーナイト大花火大会」が中止になったこと等もあり、その後の予約状況も芳しくありません。先日観光関係者が集まった会議の中で、宿泊施設やエージェントの皆様から、年末までの予約状況が前年同期に比べてかなり下回っている状況が報告されました。

 また、5月の口永良部島新岳の噴火で、住民は12km離れた屋久島で避難生活を送っていますが、噴火の影響はほとんどないにもかかわらず、7月単月で屋久島の宿泊客は14%減少しています。指宿と屋久島とを結ぶツアーが多いことから指宿も10%減です。

 ところで、9月1日から桜島の噴火警戒レベルが4(避難準備)から、3(入山規制)に引き下げられました。桜島は従来から登山禁止の場所であり、2km以内には近づくことはできません。

 観光客が訪れる場所は規制地域外にありますが、鹿児島市は錦江湾をはさんで一番近いところでも4km離れており、又、桜島には約5,000人の人が住み、常に噴火と対峙しながら生活をしている等県外の方々は実情をほとんど知らず、風評被害につながっていると思います。

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 レベル3に戻り桜島に対する不安感を取り除くことで、だんだんと観光客が戻ってくることになるのではないでしょうか。県外の方に対しては、レベルが下がったと言うことより、通常の姿に戻っているという方が好印象としてうつります。これから県、市、業界団体挙げて反転攻勢をかけ、ピンチをチャンスに変える取組が必要です。


 「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されたことや、「第30回国民文化祭」開催等を通して、鹿児島への誘客を増やすチャンスにしなければなりません。

 そのためには、これまで以上の積極的な情報発信と販促活動が重要です。県、市、各施設のホームページ等でリンクさせ、安全対策が施されている桜島へ多くの方が来てもらうような情報提供の場が重要です。「オールかごしま」で取組むこが、,顧客からの好感を持って支持を受けやすいのではないでしょうか。

 エージェントのみなさんには商品企画や集客に反映させるべく、大都市圏を中心に説明会を開催しており、ある程度の理解は深まっていると思います。各種の会議を桜島で開催していただくよう、お願いしています。

 最大の課題は、エンドユーザーにいかに桜島の真の姿を伝えるかです。通常の噴火に対する対応、避難設備、緊急時の避難対策等です。桜島は、多い年は年間1000回を超える噴火がありますが、住民は普段と変わらない生活を送っています。

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 まず国内外からのメディアを招請し、記者の体験に基づいた情報の発信が影響力を発します。新燃岳噴火の際は、被害状況だけでなく厳しい環境の中で霧島復興に努力している関係者の姿を、東京のキー局を通して全国に放映して欲しいと地元民放各社に要請を行いました。今回も同様な取組が必要です。

 海外については、現在4路線についてキャンペーンを展開していますが、地震や火山噴火に特に敏感な上海とソウルに対して、より詳細な情報発信と招請活動が必要です。

 2学期が始まり教育旅行のシ-ズンとなり、3日からは筑紫地区の19の中学校が鹿児島を訪れます。下見を実施してもらい一部行程の変更はあったものの、予定通り実施されることになりほっとしています。

 日修協、全修協、各地区の校長会等積極的に出席し、桜島の安全対策等を説明しています。来春には関西方面から集約臨時列車で鹿児島を訪れます。下見を受け入れ、他方面への変更を食い止めたいと考えています。父兄の皆様が心配する桜島の情報に関する危険性を払拭することが何よりも必要です。

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 味覚の秋となり、人々が一番旅行に出かけたくなる時期となります。鹿児島県は日本列島の南に位置することから、紅葉は11月後半から12月まで鑑賞できます。また、秋は個人旅行が主流で、しかも熟年層の旅行がメインです。


 これからの鹿児島は、気候も良くなり、食の魅力や新酒の蔵出しも始まります。レンタカーを利用する観光客も増えており、インターネット上で施設や食の魅力ある紹介等立ち寄りたくなる情報が必要です。

 ところで、秋の予約動向を見ると、一般の旅行が低迷しており、特にメディアによる募集ツアーの集客状況の勢いが感じられません。心理的に鹿児島への旅行が敬遠されていることから、思い切った商品企画、価格等もカンフル剤となります。

 また、各エージェントには、「がんばってます。鹿児島」や「屋久島は元気です」、「桜島応援ツアー」等のタイトルで商品企画や下見を要請しています。*タイトルは仮称

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 最後に、誘客活動は大都市圏ばかりが注目されますが、まず地元の方が出かけることが地域の活性化になります。九州、隣県の方々に来ていただく努力も必要と感じます。近隣の客は、リピーターになりやすいからです。落ち込んでいる観光客を呼び戻すべく、皆さんで努力すべき時ではないでしょうか。     

    けふもまた こころの鉦を うち鳴らし
               うち鳴らしつつ あくがれて行く
                            ~若山牧水~

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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