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No.407 名前が表す地域の良さとは~地理的表示保護制度を活かせ~

2016年4月11日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光

 海外旅行に行くと、各地の免税店で高級なブランド品を買う日本人の姿が良くみられます。旅の楽しみは食とショッピングが大きな要素です。
 ブランド(BRAND)とは、もともとアルプス地方で放牧されている羊などの家畜に押す「焼印」(BURNED)に由来しており、他人の羊と区別するために使われ、現代では他の類似品との違いを明確にするために使われています。生活者が他との比較において優位性を認める記号であり、かつその記号に象徴される世界観であると定義されています。


 ブランドはそれを利用する人たちがその価値を認め、広がりを持つものであり、認証マークやネーミングを作ったからといって、ブランドになるものではありません。また、地域ブランドとは、地域で作られる産品と地域そのものがお互いの相乗効果で優位性を発揮し、他との差別化が図られたものです。


 昨年の6月、農林水産省は風土や伝統が育んだ特色ある地域産品を保護することを目的に「地理的表示保護制度」をスタートさせました。全国的に見ると「○○牛」や「○○みかん」、「○○鶏」等は現在でも、地理的にわかり易い名前がついています。
今回の制度の目指すメリットは
 ① 地域ブランド産品として差別が図られて価格に反映することができます。地域ブランドの保護・活用により交流人口を増やし、農山漁村・地域の活性化につながります。
 ② 不正使用に対して行政が取締りを行うこととなっており、生産者にとっては、訴訟などの負担がなく、自分たちのブランド保護が可能となります。
 ③ 品質が守られることから、その産品のみが市場に流通することから、消費者の利益の保護にもなります。
 ④ 真の日本の特産品として海外展開に寄与できることから、農林水産物・食品の輸出促進にもつながります。
 等があげられます。


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 登録された産品には「GⅠマーク」がつけられ、産品の確立した特性と地域の結び付きが見られる真正な地理的表示産品で証となるものです。「GⅠマーク」は日本の地理的表示保護制度のものであることをわかりやすくするため、大きな日輪を背負った富士山と、水面をモチーフに日本国旗の日輪の色である赤や伝統・格式を感じる金色を使用し、日本らしさを表現しています。


 現在12の地理的表示産品が登録されています。
 皆様がよく知っている産品では、神戸ビーフ、夕張メロン、八女伝統本玉露、くまもと県産い草、三輪素麺、鹿児島の壺造り黒酢などです。
(2016年3月31日現在)


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 登録された「鹿児島の壺造り黒酢」は、健康食品として多くの製品に使われており、鹿児島県福山産として、桜島を背景に壺畑や生産者の顔がメディアで紹介されます。
 観光ルートにも入っていますが、多くの観光客に来訪してもらい黒酢を使った料理や江戸時代から続く作り手の想いを聴いていただきたい。そのことが持続的な販売拡大につながります。保護制度登録の優位性を活かすことが重要です。


 鹿児島においても、農水産物の登録品目を増やし、地域の活性化に繋げる取組が必要です。選ばれる地域・商品になるためには、地域でつくられる産品が、他にない独自性や優位性、品質保証、希少価値を発信しなければなりません。


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 また、生活・文化が凝縮された産品として価値を高めることで、生活者の心を捉え買いたくなるものになります。
 農業産出額第4位の優位性を活かし、鹿児島茶、六白の黒豚、桜島大根、種子島の安納いも等に加え、枕崎や山川のかつおの本枯れ節などが地理的表示を明確にできるものではないでしょうか。地域イメージを活かし誘客につなげる取組が求められます。


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 一方では、地域内でどのように流通させるかも課題であり、足元も固める必要があります。空港や駅の売店、ホテル、飲食店など多様な店舗での流通を図らねばなりません。コアの層にも価値ある情報を届けるWEBでの展開も欠かせません。情報を拡散させ、ムーブメントを起こし、生活者自らを動かすことが重要です。


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 また、今消費を引っ張っているのは女性です。「美」、「食」、「健康」「本物」、「痩せる」、「美味しい」などがキーワードです。評価は口コミで伝わり納得すれば消費につながります。
 作り手の生産にかける熱い思いを伝えることで共感を呼び、消費を促すことから、商品の物語化が求められます。売り方ではアナログ化された販売手法も買い手の心を動かします。


 一方で、人口減少や高齢化が顕著となり、家族構成は一人や夫婦だけの世帯が日本全体の60%を超え、消費のサイズは小さくなっています。かつて外国の産品に農薬が混入し、日本でも食の偽装があり、生活者は食の安全面には特に敏感になっています。


 一度に大量の買物より、少量で品質の良いものを買う傾向が強くなっています。何度も買ってもらうためには、商品の小分けや生産地、ストーリーを語るなど販売側の努力も必要になっています。


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 今回の地理的表示保護制度のコンセプトを活かすには、地域色をいかに出せるか、いかに安全・安心の良い商品を提供できるかです。農山漁村の活性化に結び付けるべく顔の見える表示を明確にしたいものです。



      汽車の窓 はるかに北に ふるさとの
           山見え来れば 襟を正すも
                    ~石川啄木~

※参考:農林水産省ホームページ:地理的表示保護制度
   

プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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