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No.424 「奄美・琉球」の世界自然遺産登録に向けて~まず県民が奄美群島を訪れましょう~

2016年8月22日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


 奄美諸島は、鹿児島の南380~580キロメートルの海上に点在する島々で、奄美群島とも呼ばれて、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の8つの島があります。


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 世界的にもまれな亜熱帯性降雨林をはじめ、温帯林の特徴を残す山地林から河口域のマングローブ林、熱帯性植物からなる海岸植生、砂浜からサンゴ礁までバラエティーに富んだ景観美を示しています。環境省は「奄美・琉球」の世界自然遺産候補地として、奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、西表島の4島を軸に対象地域を検討しています。
 早ければ2017年度に国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ推薦し、2018年度中の世界自然遺産登録を目指しています。


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 奄美・琉球が世界自然遺産に登録されると、県内では屋久島に次いで2箇所目となり、鹿児島県の知名度が飛躍的に上がるのは確実です。国内では白神山地(青森、秋田県)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京都)に次いで5件目の世界自然遺産登録地となります。
 また、昨年7月、「旧集成館事業」等3件が「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録されており、鹿児島県は現在2つの分野の世界遺産を持つ唯一の県です。


 日本で最初に世界自然遺産に登録された屋久島は、その後観光客は増え続け、2007年度には屋久島への入込客が40万人を超え最高となりました。ここ3年間(2012年~2014年)の屋久島への入込客数は30万人前後で推移していますが、今でも日本人が行きたいNO1の世界遺産となっています。(首都圏のエージェントの調査による)
 また、縄文杉登山は、登山家の憧れの地として人気が定着しています。


 一方では、登山者の増加に伴い縄文杉の展望デッキ、登山道やトイレなどの整備は常に必要で、植生の荒廃、し尿処理問題等が大きくクローズアップされています。
 現在、入山者に対する入山料の徴収が検討されており、来年以降実施されると思います。やはり山の自然を守るためには、受益者負担で協力を求めていくことが好ましい取組と思います。自然保護と観光振興の狭間で屋久島は、世界自然遺産の島を守りながらいかに経済的価値を求めていくかが問われています。
 また、旅行エージェント等を通して、募集段階での自然保護の遵守等の告知徹底が必要です。


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 奄美群島はこれから「世界自然遺産登録」に向けて、エコガイドの養成や登録制度、自然を守る取組等、屋久島を参考に進めていく必要があります。「世界自然遺産登録の意義」や「観光客増加への対応」等地域住民への細かい情報発信も求められます。
 長い年月をへて育まれた奄美群島の豊かな自然、「アマミノクロウサギ」等貴重な動植物の保護とともに、観光客への自然保護に対する意識向上、地域住民との共生をいかに図っていくかが問われています。


 また、沖縄と差別化したPR戦略が求められます。奄美は手つかずの美しい海や森林地帯が多く、多種にわたる動植物が生息していることから、自然の生態系を保護しながら観光客にいかに見せるかが重要です。
 また、春先は本土に比べて花粉が少ない島であることから、ヘルスツーリズムの推進も欠かせません。 


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 名瀬港は大型クルーズ船の寄港が容易であり、登録後は外国人観光客が増加することから、受入体制の充実も求められます。
 奄美群島は、すでに世界自然遺産に登録されている「白神山地」、「知床」に比較すると、温暖な気候に恵まれ1年中行くことができます。また、「小笠原諸島」は飛行機の定期便がなく、東京から船で24時間かかります。同じ離島でありながら奄美大島と徳之島は、飛行機の定期便もありアクセス的には優位性があります。


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 ところで「世界自然遺産」に登録された際には、その効果を奄美大島と徳之島の2島にとどまらせるのではなく、群島全体にメリットをもたらすことが重要です。県外の方だけでなく、多くの県民も奄美群島の位置や魅力を知りません。まず県民が訪れて奄美群島の魅力にふれて欲しい。
 また奄美群島出身者の県人会は、関西、関東、鹿児島等多く組織されており、その人たちを通じてのPRもお願いしたい。
奄美群島が一体となり魅力をPRして、群島の知名度アップと経済的浮揚に繋げる必要があります。DMOの設立も予定されており、機能強化がまず求められます。


 大陸、琉球、日本文化の接点に位置した奄美の島々には、多彩な伝統文化、風俗、歳時、食文化などが残り、旅人を楽しませてくれます。伝統的祭りである八月踊りは、太鼓のリズムに合わせて唄い、観光客も踊りの輪にすぐ入ることができます。


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 また、各地に残る島唄は、集落に伝わる物語を唄にしたもので、どこか哀愁漂う旋律は心に響きます。奄美の島々は、今まで大きな開発がされず、「金作原原生林」、「井之川岳」、「昇竜洞」、「犬の門蓋」、「百合ヶ浜」等手つかずの自然が残る貴重な島であり、都会の人にとってはまさに秘島です。加計呂麻島は、映画「男はつらいよ」の最終ロケ地に選ばれました。


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 小生が始めて奄美大島を訪れたのは47年前でした。当時1500トンクラスの船は名瀬港まで12時間かかりましたが、デッキまで人があふれ、美しい海に憧れて若い女性層が奄美群島を訪れていました。
 現在、成田空港からLCCのバニラ・エアが就航し、大都市圏から気軽に行けるようになりました。奄美群島の各島間、また沖縄と奄美群島を結ぶ航空運賃の低廉化も実現しています。


 世界自然遺産登録後は、年代層を問わず世界各国から多くの人が奄美群島を訪ねることが予想されます。周到な準備を進めたいものです。
 世界自然遺産登録が奄美に大きな変化をもたらすとともに、交流人口が増大し新たな産業や雇用が生まれます。県民あげて盛り上げをはかりたいものです。 



            夏の月 薄らにかかり 砂浜の
            貝の葉めきて なつかしきかな

                      ~与謝野晶子~


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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