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No.442 2016年を振り返る~災害後の情報発信と商品企画の在り方に工夫を~

2016年12月26日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


 今年も残り1週間、熊本地震の大きな揺れがまだ記憶に新しい所ですが、被災地では確実に復興に向けて強く歩みだしています。
 阿蘇地域の道路や鉄道の復旧はまだですが、主要幹線道路は開通し、通常の生活に戻っています。ここ数年日本列島の各地で起きた災害を見ると、今後どこでも起きる可能性があると日頃から備えの心が必要です。


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 ところで、年初から今年の鹿児島の観光は厳しいと言ってきましたが、1年を簡単に振り帰ってみたいと思います。県の観光動向調査[抜粋]によると、宿泊客は1月~2月は前年を超え、3月~6月は前年割れで、特に4月~6月が地震の影響で大きな落ち込みとなりました。7月から「九州ふっこう割」が導入され7月~9月は前年を超え、10月から再び前年割れとなっています。その中で外国人は4月~6月を除いて前年を超えており、過去最高の宿泊客になるものと推測されます。


 特に香港線にLCCの香港エクスプレス航空が就航し、新たな需要開拓につながっているのではないでしょうか。来年2月からはさらに週1便増便され、香港だけでも10便体制となります。香港エクスプレスは福岡空港に週16便就航し、両空港を繋ぐ観光ルート設定が可能となり相乗効果が発揮されます。


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 クルーズ船のマリンポートへの寄港は過去最高の83回(1月~12月)となり、そのうち62回が中国の港の発着となっています。従来のような郊外の量販店での爆買いは減少しましたが、市内中心部にバスでショッピングに訪れる客が増加し、バス駐車場確保が新たな課題となっています。これからは個人旅行客が増加し、自分でスケジュールを立て、レンタカーなどで県内を巡る外国人が増加するものと思われます。
 背景には、ビザ取得要件の緩和、免税品目の拡大、日本文化へのあこがれ、中国人の所得水準の向上等があげられます。また、鹿児島は東アジアに近く、中国の港からはルート上寄港しやすい位置にあることがあげられます。


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 国は2020年に訪日客4000万人を目標にしています。これが実現すると、大都市圏だけでの受入は厳しいものがあり、受け皿として地方の役割が大きくなります。
 鹿児島における外国人宿泊客数は、2015年で41万人ですが、100万人になるのもそう遠くはないでしょう。外国語表記、従業員の外国文化への理解、簡単な会話など受け皿づくりが急がれます。


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 離島が注目されています。甑島が国定公園となりエージェントの企画が増えていますが、宿泊施設や島内の移動がネックであり、3年後の藺牟田瀬戸架橋の開通に備えて、受入態勢の充実が望まれます。


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 LCCが就航している奄美大島への観光客も伸びています。来年奄美群島の国立公園指 定、2018年の世界自然遺産登録が実現すると一気に人気が高まります。NHK大河ドラマ「西郷どん」では、奄美大島、徳之島、沖永良部島がゆかりの地であり、3つの島を結ぶルートづくりも必要になってきます。沖縄と違った自然や、食、島唄、伝統芸能等生活文化を発信することが都会の人々の心をとらえると思います。時間にゆとりのある熟年層にはクルーズ船の寄港を、若者には夏の美しい海や大学のゼミのフィールドとして売り込まねばなりません。是非体験してみたくなるメニュー作りが欠かせません。


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 「明治日本の産業革命遺産」が、世界文化遺産に登録され今年の入場者が期待されまし たが、大きな伸びとはなりませんでした。熊本地震の影響が色濃く反映しています。
 「明治日本の産業革命遺産」は鹿児島がスタートであることと、そのストーリー性を語ることで遺産の価値が高まり誘客に結び付くと思います。仙巌園で日本文化を紹介するイベントを前広にPRすることが求められます。
 オープンから3年目に入った「薩摩藩英国留学生記念館」の人気も定着してきました。 明治維新150周年が近づき、近代日本建設の若き原動力となった薩摩人の偉業が注目されることになります。若者が海外渡航の夢を高める施設であり続けて欲しいと願っています。


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 鹿児島市は、日本を代表する都市型観光の魅力を備えた街で、歴史、自然、温泉に加え、食の魅力が観光客の滞在を可能にしています。また、県庁所在地で温泉の泉源数が日本一であることは意外と知られておらず、10文字程度のキャッチコピーをつくり発信していくことが認知度を高めることになります。
 MICEの誘致に当たっては、大会運営設備の新設・拡充が不可欠であり、場所と合わせて公共交通機関の整備も重要です。


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 一方、地域では指宿が苦戦を強いられています。各施設の設備や受入態勢には問題ないと考えています。
 「指宿のたまて箱」の乗車率は好調であることから、多くの観光客が日帰り観光になっています。「砂蒸し温泉」頼みでなく、女性層、ファミリーが滞在したくなるまちづくりが必要です。駅前通りや2次交通の整備、小物店・カフェの設置、ブランド品の開発、大隅半島に渡りやすい環境整備、県内の子供たちの球技大会等の誘致が宿泊につながります。


 修学旅行は大きな影響を受けました。近畿地区から31校、5200人が訪れる予定でしたが、1校を除いてすべて取り消しとなりました。来年は26校、30年は19校と減少しており、他地域に目的を変えた学校を呼び戻すべく営業力を強化しなければなりません。


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 筑紫地区は太宰府市を除く19校全部が今年も集約列車で鹿児島を訪れました。2018年までは決定しており、その後も筑紫地区23校全部が鹿児島を選んでいただくべく努力が必要です。特に2018年は明治維新150周年にあたり、新たに学生向けの街歩きのコース等が必要です。
 農家民泊については引き続き、「簡易宿所営業」の取得を強力に進めていかねばなりません。宮崎県が態勢を整え、受け入れ学校を増やしています。


 キャンペーンの中心は、今年も最大のマーケットである首都圏や関西地域、身近に来ることができる福岡地区でのPRに努めてきました。
 新幹線や九州自動車道が一時不通となった影響もあり、関西以西のお客様の誘客に大きな影響がでました。2つの大動脈の重要性を認識した年でした。


 「九州ふっこう割」の宿泊単品は好調でした。事前に予約した客が、「ふっこう割」に切り替えて予約し直したため、宿泊機関では一時混乱しました。ただツアー型の商品が少なく観光施設や食事休憩店は恩恵が少ない等課題が浮き彫りになり、昨年展開した「プレミアムお得旅」のように広く経済効果をもたらす商品展開が重要と感じました。


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 インバウンドは4泊もしくは5泊するツアーが多く、また、個人旅行が増加しており、レンタカーの乗り捨て料金の軽減、マップの多言語化等南九州3県の連携が重要になってきました。今円安傾向となり、さらに外国人が旅行しやすい環境となっています。
クルーズ船が増えていますが、寄港船増加対策にこだわらず、地域に経済効果をもたらす船の誘致が重要になってきました。それの対策として、観光ルートを設定し、船会社やランドオペレーターの営業も強化しなければなりません。


 WEB販売が急激に伸びる中で、情報化社会に対応できる新たなホームページの仕組みづくが必要となっています。また、インターネットの普及で可視化が進んでいることから、コンプライアンスの向上と迅速・正確な情報提供も求められています。


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 鹿児島県は南北600キロに及び魅力多彩な観光資源があります。県民が足元の魅力を知り、住んでいる街を誇りに思うことが誘客の第一歩になります。
 販促活動は、県外が主になりがちですが、宿泊施設等ではもっと県民向けの企画に工夫を凝らし、安定顧客を創出することが重要です。


 来年も厳しい1年になると覚悟して、エージェントやキャリアとの商品造成や明治維新150周年のプレキャンペーンの展開、「西郷どん」のPRや受入れ体制づくりにスピード感をもって取り組むことが、大きな課題です。特に女性を意識した誘客態勢づくりです。
 危機感を共有し、攻めの1年でありたいと願っています。


  年の瀬や 水のながれと 人の身は 明日待たるる その宝船
                            ~宝井其角~
 赤穂浪士の討ち入りの夕方、俳諧師の宝井其角が両国橋で大高源吾に偶然出会います。その時の落ちぶれた様子に勘違いした其角は上の句を出すと、源吾は下の句を返します。実はその日が「吉良邸」討ち入りの夜だったのです。


 今年も皆様のご協力で毎週プロデユーサーコラムを配信でき、通算442回となりました。拙稿にお付き合いいただき心から感謝申し上げます。
 2017年は1月10日よりスタートします。良いお年をお迎えください。


No.441 修学旅行の復活は不退転の覚悟で~風評被害の払拭とエージェントへのメリット提供も~

2016年12月19日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


       あますなく 小草(おぐさ)は枯れて 風に鳴る
       かなたに小さな 山の中学
                         ~木俣修~


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 筑紫地区中学校の新幹線専用列車利用による鹿児島への修学旅行が、11月30日の「春日西中学校」をもって今年も無事終了しました。連合体による修学旅行は40数年前から、「とび梅号」という愛称で親しまれた国鉄の専用列車で始まりました。
 当時は3泊4日で日豊本線を下り宮崎に1泊し、バスで霧島、鹿児島市内を巡り西鹿児島駅(今の鹿児島中央駅)から専用列車で帰るコースが主流で、福岡市内の中学校も利用していました。


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 全盛期には20万人を超える修学旅行生が鹿児島を訪れていましたが、新幹線網の整備や航空機利用が解禁されたことで行先も分散化傾向となり、今では鹿児島を訪れる生徒さんは10万人余りとなっています。少子化による生徒数減少もそれに拍車をかけています。
 一方、沖縄県への修学旅行が大都市圏を中心に伸びており、当面はその流れが続くものと思われます。


 ところで12月12日に「全国修学旅行研究協会大阪事務局」より、平成30年度の近畿地区からの鹿児島方面への「集約列車申込み状況」が発表されました。校数で19校、人員は3500人余りで、29年度より6校約1500人減少しています。
 もっとも多かった27年度は、41校約7700人が利用していましたが、28年度は熊本地震の影響で、1校を除いて30校が取り消しとなりました。風評被害が学校現場に今でも色濃く反映しています。


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 観光地は通常と変わらない生活が続いているのに、大変残念な現実がそこにあります。沖縄や信州方面に行先が変更になった学校を呼び戻すには、不退転の覚悟で臨まねばなりません。
 呼び戻す方策として、まず、鹿児島が修学旅行の行先として多くの学習素材があることをエージェントや先生方に再認識してもらう取組が重要です。
 ターゲットは、関西や中国地方からの中学生が対象となります。今夏には大阪市内で関西地域のエージェントを集めた説明会や、先生方を対象に研修旅行も実施しました。


 「日本修学旅行協会」や「全国修学旅行研究協会」など教育関連団体の組織を活用し、校長会などの会合で、集約新幹線の利便性や正確さ、料金のメリット、鹿児島県の取組等を直接出向いて説明する機会を設けてもらう努力も必要です。


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 一方、誘致には学校のニーズに応えるべく魅力あるメニューづくりが欠かせません。平和学習では語り部による迫真の講話を、桜島での火山学習では自然の息吹を感じる温泉堀り、垂水漁港での餌やりや寿司握りの実体験、鹿児島市では明治維新の息吹を感じる「まちあるき」など体験メニューは豊富です。また、グリーンツーリズムの受入は県内全域で受け皿づくりが進んでいるのも他県との違いです。
 鹿児島県は全国屈指の農業県であり、豊かな自然の中での体験や安全・安心の食材は生徒たちに大きな感動をもたらすものと確信します。


 増加している沖縄方面への修学旅行については、出発空港や時刻の変更、グリーンツーリズムなどに課題が多いとエージェントの担当者からよく聞きます。加えて沖縄は過当競争で、担当者は苦労を強いられています。
 鹿児島へ変更することでアクセスや経費面でのメリットが生まれ、エージェントの皆様の営業にも力が入ります。


 ところで、教育現場で修学旅行先を決定する際は、生徒への事前アンケートや、旅費の上限、教育的効果などが検討されます。特に最近災害が発生した地域及び隣県については、PTA等の意向で行先として敬遠されることが顕著になっています。再誘致には数年の期間を要し粘り強い営業力が問われます。


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 近年、阿蘇山、霧島、桜島、口永良部島など噴火による風評被害に悩まされてきたのも紛れもない事実であり、先日開かれた南九州3県の観光議員連盟の会議でもこの点が話題となりました。
 風評被害を減らすためには県、観光連盟、県の大阪事務所等と連携し、学校現場に対し、鹿児島の状況を的確に伝える連携強化も求められます。


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 修学旅行は、一度行先が決定すると数年続くのが通例であり、地域全部の学校が同じ行先を選択する傾向があります。そこに集約臨時列車のメリットが発揮され、新幹線の安定的顧客にもなります。
 また、景気に左右されることなく一度に多くの生徒が動き、しかも2年前には決定して取り消しや人員減が少なく、受入機関にとっては経営の見通しが立てられるなど安定した顧客といえます。


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 先見性を育み明治維新誕生の偉人を輩出した風土、2箇所の世界遺産とロケット基地があり、おもてなしの心に優れた受け入れ態勢、新幹線南の終着駅となる鹿児島中央駅から各地へのアクセスの利便性など修学旅行誘致に恵まれた環境にあります。


 各市町村が連携し教育課程の基本理念に沿ったメニューやコース設定、エージェントや先生方への招聘事業の提案、コンプライアンスと危機管理の共有など官民あげて誘致に努めないと復活は厳しいと言わざるをえません。
 今後も「鹿児島県教育旅行受入対策協議会」の機能強化に努め、不退転の覚悟で取り組む必要性を感じます。


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 最後に、修学旅行は1887年(明治20年)から、日本の教育課程の中でずっと続いてきた一大行事であり、今後もなくなることはないと思います。子供達の思い出づくりの場として、大切にされる行事であり、安心して旅行ができる環境づくりに努めたいものです。


         道のべの たき火かこめる 人びとの
         中にわけ入り あたらせてもらう
                        ~前田夕暮~


No.440 年末年始の宿は間に合います~帰省客もターゲットに~

2016年12月12日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


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 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。向側の座席から娘が立ってきて、島村の前のガラス窓を落とした。雪の冷気が流れ込んだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように
「駅長さあん、駅長さあん。」
 明かりをさげてゆっくり雪を踏んで来た男は、襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。
 もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた。
                     出典:川端康成 小説 『雪国』


 『雪国』の舞台は新潟県越後湯沢温泉の高半旅館(現在は、高半ホテル)で、執筆のために、川端康成は何度か訪れています。美しく繊細な日本語の文章が、読者に雪国や駅の心にしみる光景を伝えてくれます。
 川端康成は、「中河与一」、「横光利一」等とともに「新感覚派」と呼ばれました。


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 50数年前は、鹿児島県内にも多くのロ-カル線があり、そこには木造の駅舎と駅長の 姿がありました。
 100年を超える木造の駅舎は、今でも肥薩線の嘉例川駅と大隅横川駅に残っています。 是非観光列車「はやとの風」に乗り、訪れてください。


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 ところで、今年も残り3週間となりました。後片付けに忙しい日々を送っている方も多いと思います。郵便局には門松が立てられ、年賀状を早く出すよう催促されているようにも感じます。
 年末から年始にかけて、国内旅行や近隣への海外旅行を計画されている方も多いのではないでしょうか。
 今年の年末年始は、日並びが悪く、暦通りで行くと休日は12月31日、1月1日、2日の3日しかありません。
 官公庁をはじめ29日から休みに入り、3日まで6日間の休みとなる事業所もあると思います。香港や台湾、上海、韓国などへの旅行が可能で、身近な鹿児島空港から出かけられるのもメリットです。


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 県内の観光地で見ると、年末年始の宿泊施設の予約状況は、31日と1日、2日はほぼ満室の状態ですが、ほかの日は比較的余裕があるようです。
 鹿児島を離れている家族が帰省している場合には、1月3日から6日までの4日間をお勧めします。2日までは正月料金を設定し、3日から平日料金で受けている施設が多く見受けられます。久しぶりに帰省した家族と温泉施設でゆっくり過ごされたらいかがですか。


 また、正月3日間が仕事で、4日以降に休みを取る人もいます。特に飲食業や、サービス業はこのような勤務体系が当たり前となります。このような人が3日遅れの正月を温泉地で過ごすことも十分考えられます。空室や料金などの具体的情報を発信することで、新たな予約が入ることも可能となります。最近は予約が宿泊日の間近になる傾向が強く、今からでも遅くありません。


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 需要が集中する年末年始は従業員の確保も厳しく、費用もかかることから高い料金を設定するのは当然のことです。
 しかし同じ内容で料金が安くなる時期を選んで旅行を計画する人も多くなっているのも紛れもない事実です。休日が分散化傾向にあり、弾力的な料金体系を提示し消費につなげていきたいものです。
 1月8日に「指宿菜の花マラソン」が開催されることから、7日と8日は指宿周辺だけでなく鹿児島市内まで満室の施設がほとんどです。
 9日以降はどの地区も空きが多く、旅行には不自由しないと思います。


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 ところで今年は、7月から12月まで「九州ふっこう割」が導入されました。実績でみると比較的料金の高い施設から予約で埋まりました。
 一度は宿泊してみたかったホテルが、割安で宿泊できることから、ワンランク上の宿に泊まってみたいという消費者心理が働いたものと思われます。
 上質感を味わった消費者は次もそれを求めますが、どうしても料金の壁は厳しいものがあります。また、多客期である正月などは一段と高くなり、なおさら敬遠しがちとなるのではないでしょうか。


 消費者は年末年始の宿は混んでおり、料金が高いと思い込んでいます。
また、インターネットの普及により、情報の可視化が進み、消費者は堅実な消費行動をとる傾向が強くなっています。
 また、人口減少時代に入り、日本人の国内旅行の需要拡大は厳しく各地でパイの奪い合いとなっています。
 施設の方でも、稼働率を高めるために年末年始の予約状況を的確に把握して、空室のある日を前広に告知し料金体系も見直す必要があります。


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 ところでお盆や年末年始は、JRや航空便の予約を取ることが困難ですが、年2回の帰省は恒例行事になっています。
 正月となると、同級生が里帰りして成人式や同窓会が開かれることが増えています。多くの市町村で正月3が日に「成人式」を開催するのが恒例となっています。
 成人式の後の同窓会をかねた懇親会や親戚、家族でお祝いするケースも多くなっています。是非、ホテル旅館の利用をお勧めしたらいかがでしょうか。遠方から帰ってくる人などは宿泊にもつながります。地域の身近な需要を取り込むことも大切なことです。


 これから年末年始にホテルや旅館で過ごしたいと思っている方は、宿泊施設のホームページなどを検索されることをお勧めします。良いプランが必ず見つかるものと思います。 それに応えるべく施設の情報提供を期待します。
 県内の宿泊施設に泊まることで地域の魅力に触れ、疲れをいやし新しい年のスタートにしませんか。


             冬 景 色
                 作詞:不詳 作曲:不詳

   1、さ霧消ゆる湊(みなと)江の   舟に白し朝の霜
     ただ水鳥の声はして       いまだ覚めず岸の家

   2、烏(からす)啼きて 木に高く   人は畑に麦を踏む
     げに小春日の のどけしや   かえり咲きの花も見ゆ

   3、嵐吹きて雲は落ち  時雨(しぐれ)振りて日は暮れぬ
     若(も)し燈火の濡れ来ずは  それと分かじ野辺の里


No.439 『人間万事塞翁が馬』の精神では危機は乗り越えられない~先を読み的確な対応を~

2016年12月5日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


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 月日は百代の過客にして、
 行かふ年も又旅人也。
 舟の上に生涯をうかべ、
 馬の口とらえて老いをむかふる物は、
 日々旅にして旅をすみかとす。・・・
 草の戸も 住替る代ぞ ひなの家
                             松尾芭蕉 ~奥の細道~


 師走に入り、街も一段とせわしくなりました。商売を生業としている人にとっては、クリスマス、年末商戦と忙しい日々が続きますが、今年の総決戦の覚悟で最後まで努力したいものです。


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 『人間(じんかん)万事塞翁が馬』という故事がありますが、注釈は下記のとおりです。  昔中国の北の方に占い上手な老人が住んでいました。北には胡という民族がすみ、国境には城塞がありました。ある時老人のかっている馬が、胡の国の方に逃げて行ってしまいました。この地域の馬は良い馬が多く、高く売れるので近所の人は気の毒に思って、この老人を慰めに行きました。
 しかし、老人は落ち込んだ様子もなく、「これが福につながらないとも限らないよ」と言いました。
 数か月過ぎたある日、逃げた馬が胡国の名馬をたくさん連れて帰ってきました。近所の人がお祝いにかけつけると、老人は「このことが不幸になることだってある」と首を振って言いました。しばらくすると、案の定、老人の息子が名馬から落ちて足の骨を折るという事故にあいました。
 住民が同情して見舞いに行くと、老人は平然と微笑んで「このことが幸せにならないとはかぎりません」と言い放しました。
 1年が経過した頃胡の国が攻めてきて、城塞近くの若者は兵隊としてすべてかり出され、10人のうち9人までが戦死しましたが、何とか城塞は胡人から守ることができました。息子は足を負傷していたので、戦いに行かずに済み、九死に一生を得ることができました。城塞に住む老人の馬がもたらした運命は、福から禍へ、また禍から福へと人生に変化をもたらしました。人間の一生は予測できないことの例えです。


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 人の一生は多くの場合ピンチとチャンスの連続ですが、どちらかというとチャンスが到来しているときほど、後にピンチに陥りやすいのではないでしょうか。ピンチの時には必死になってそれを乗り越えようと努力しますが、チャンスの時は、安心感が漂い努力を怠りがちでやがてピンチが訪れます。
 天気は雨の日もあれば、晴れの日が続くこともあります。朝の来ない夜はなく、寒い冬の後には、温かい春が訪れます。
 苦労ばかりが続いていると嘆いても成功は訪れません。人生の前半で苦労した人は後半で取り戻す覚悟も必要です。


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 ところで今年の鹿児島の観光は、谷あり山ありの状況ではなかったかと思います。年初 から苦戦が予想されていましたが、4月の熊本地震で大きな影響を受け、特に教育旅行は関西からの修学旅行専用列車が1校を除いてすべて取り消しとなりました。再度鹿児島を旅行先に選んでいただくべく、明治維新150周年や世界遺産の魅力等が教育旅行に最適であることをPRして情報発信を図ることが大切です。NHK大河ドラマ「西郷どん」は、大きな誘因効果をもたらします。


 「九州ふっこう割」が7月から導入され宿泊施設では一息ついているところですが、施策も12月末で終了することから、次の対策を打たねばなりません。
 緊急対策による交付金の活用は大変有効な施策です。しかしカンフル剤として一時的な効果を発揮しますが、これだけに頼っていては施設、地域は持続することはできません。「九州ふっこう割」が導入されている期間に、地域や施設は次の展開につなげる取組を行うことが大切です。

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 ところで、今年の年末年始は日並びが悪く、宿泊施設では満室になる日が限られることから大きな需要は期待できません。年明け後の対策を急ぐことが今求められています。
 予約状況を確認し、地元対策や周年(記念)旅行、同窓会、卒業旅行等節目を目当てに需要を喚起する企画提案が求められます。


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 また、来年は大きなイベントもなく早めに動かないと今年以上の苦戦が予測されます。大河ドラマ放映前年は鹿児島への旅行手控えが懸念され、前広な招聘事業やキャリア・エージェントと連携した具体的な商品造成が求められます。中国人の爆買を伴う旅行が減少し、日本の生活・文化に触れる旅が人気を博しつつあります。




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 鹿児島は冬も温かく、東アジアからの誘客には優位性が発揮できます。冬の魅力をもっと前面に、温泉やゴルフ、食に加えて菜の花畑、桜、祭り、武家屋敷、日本庭園等の美しさも売り込みたいものです。「体験価値」を創り、「感動消費」をもたらすことが、リピーターとなります。
 西郷隆盛ゆかりの地では、ストーリー性を前面に他地域との連携したルートづくりが重要であり、早めの仕掛けと情報発信力が問われます。


 最後に、平成27年に県内の宿泊施設に泊まっている人を発地別で見ると、地元鹿児島県も含めて九州管内人が一番です。足元の需要をもっと大事にすべきではないでしょうか。
 「人間万事塞翁が馬」の姿勢では、需要開拓は厳しいと言わざるをえません。積極果敢な取組が今求められています。
参考資料:https://mizote.info/image/02profile/30kaisetu_jinkan.html


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 けふもまた こころの鉦(かね)を
 打ちならし 打ちならしつつ
 あくがれてゆく
          ~若山牧水~


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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