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No.445 相手によい印象をもたらす言葉~感謝・感動を育む環境づくり~

2017年1月23日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


     生命(いのち)噴く 季(とき)の木草の ささやきを
     聞きて眠りあう 野の仏たち
                              ~生方たつゑ~


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 暖かさが続くと草花が芽をだし、冬の眠りから解放されたように日々伸びていきます。周辺の野山が美しいことで知られる信州安曇野や京都嵯峨野の道沿いには石仏が多くあり、通りすがりの観光客が自然と手を合わせる光景が見られます。この時期になると、よく歌われるのが「春よ、来い」です。

    作詞:松任谷由美 作曲:松任谷由美

    淡き光立つ俄雨、いとし面影の沈丁花 溢るる涙の蕾から
    ひとつ ひとつ香り始める それは それは 空を越えて
    やがて やがて 迎えに来る
    春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
    愛をくれし君の なつかしき声がする


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 北国からは厳しい寒さの便りが届きますが、鹿児島では菜の花が咲き、ツルの北帰行も間もなく始まり、春はそこまで来ています。
 プロ野球のキャンプインまで10日です。今年もキャンプ見学を兼ねて全国から南九州に多くの観光客が来てくれることを願っています。


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 ところで、初めて訪れた地で観光客がよく利用する乗り物がタクシーや観光バスです。案内所の対応や運転手の観光客への対応が街の第一印象となります。
 先日急用があり、鹿児島中央駅までタクシーを利用しました。乗車したあと運転手さんが発した「中央駅ですか」という言葉に違和感を覚えました。行先を確認するために言った言葉ですが、近距離であったために運転手は機嫌が悪く、こちらも少々不愉快に感じました。
 行先を確認するのであれば「中央駅ですね」という言葉が返ってくれば、客は気持ちが和らぎます。乗った本人は近距離で申し訳ない気持ちがあるのに、運転手の一言が車中の雰囲気をいっそう悪くします。
 一方では、近距離ですみませんと言うと「5分間で620円稼げるのはありがたいことです。いつでも利用してください」と、逆に感謝の言葉を述べる運転手がいる会社もあります。


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 また、全国を旅していると「本日は当社のバス(電車等)をご利用いただきありがとうございます。」というアナウンス流れる会社があります。「本日も当社のバスをご利用いただきありがとうございます」という挨拶があると、初めて利用するのに何回も乗車している印象を受け、優越感を覚えます。
 航空会社は、各社とも「本日も○○をご利用いただきありがとうございます。」というアナウンスがあります。


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 「か」と「ね」、「は」と「も」の使い方次第で利用者が受け取る印象は随分違います。たかが一字ですが、お客様が心地良い感じで受け取ります。
 今まで各種団体の「おもてなし研修」を実施して、「挨拶」、「笑顔」、「丁寧さ」などの大切さを訴えてきました。あらためて一つの言葉の大切さをかみしめたいものです。


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 ところで、宿泊施設では送迎ということを大切にしており、お迎えの時より送る時により気を遣っておられます。あるホテルで社長さんから直接聞いた感動の話を紹介します。 ある夫婦が宿泊先に決めていないけど部屋の下見をさせてくださいと来店され、メイドさんが丁寧にお部屋を案内しました。
 その間ご夫婦が脱いだ履物は綺麗に磨いて並べて置き、いつでも履けるように準備をしました。お客さんは別に部屋に不満があったわけではないですが、他のホテルも見たいと言って帰られ、従業員は宿泊した際のお客様と同じように手を振って車をお送りしました。


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 ところが数分すると夫婦の車が引き返してきて、やはり泊めてくださいとお願いされたとのこと。後で予約された理由を伺ったところ、車内から後ろを振り返ると予約もしていないのに見えなくなるまで手を振ってくれており、夫婦はその姿に感動し、このホテルなら間違いはないだろうと宿泊先に決めたとのことです。実際に宿泊されたとき、きめ細かなサービスに感激し、その後ずっとそのホテルのファンになっているとのことです。


 家庭でも良く経験することです。家に不意の客が来て、しかも長居されて夜更けに客が帰ることがあります。
 客が帰った後玄関の電気をすぐ消してしまうことが普通ではないかと思います。客にとってはすぐに玄関の電球が消えると、長居したことの後ろめたさとともに、自分は招かざる客ではなかったかと寂しい思いで帰ると思います。


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 マンションの知人を訪ねた後、階下に降りて道路に出て曲がり角で訪問先を振り返ることがよくあります。その際玄関に灯りがついているとほっとします。
 訪問客を玄関から道路に出て見送り、歩き出して客が見えなくなってから帰路の無事を祈って頭を下げ、家の中に入り灯りを消すぐらいの配慮ができる人になりたいものです。


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 松下電器(現在名はパナソニック)の創業者である松下幸之助の経験談です。
「苦しかった時代に来店されたお客様に、電気製品を一生懸命説明したら、買ってくれた。そうしたら、心も手も震えてな。その時のお客さんの顔は今でも覚えとる。お客さんが店を出ていく時、後ろ姿に思わず手をあわせたな」という話をよくしていました。
 この時の「ありがたい」という強烈な気持ちが、松下幸之助の商売の原点ではないかと思います。
参考:『ひとことの力―松下幸之助のことば』(江口克彦著、東洋経済新聞社)

 我々も日々の生活の中で、「後ろ姿に感謝する」心がけが大切です。
真のおもてなしの心の実践は「日々のディテールに宿る」のではないでしょうか。


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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