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No.447 変化する訪日外国人の観光スタイル~日本の自然美と伝統文化・生活の体験が人気に~

2017年2月6日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


         年のはに 春の来らば かくしこそ
         梅をかざして 楽しく飲まめ
                    大令史野氏宿奈麿 ~万葉集~


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 昨年の秋庭先に植えた50個のチューリップが冬の寒さを乗り越え、1センチ程の芽をだし春の到来を待ちかねているようです。3月の初めには色とりどりの花をつけてくれると楽しみにしています。
 ところで日本を訪れる外国人観光客が急増しています。JNTOによると、2016年の訪日外国人旅行者数は累計で21.8%増の2403万9000人となり、待望の2000万人を突破しました。観光消費額は、中国人の買物支出が減少しましたが、7.8%増の3兆7496億円となっています。


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 訪日客の増加の要因として、クルーズ船の寄港数増や海外航空路線の拡充やLCCの就航、継続的なプロモーション、ビザ取得要件の緩和、消費税免税制度の拡充などがあげられます。多くの国からの訪日客が増加していますが、特に中国からは前年比27.6%増の637万人でトップとなっています。韓国が509万人、台湾は416万人、香港の184万人を加えた4市場で23.1%増の1747万人で全体の72.7%を占めています。


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 鹿児島県における28年の外国人宿泊客数は熊本地震の影響がありましたが、23万9000人余りで9.3%の伸びとなっており、国別では台湾、香港、韓国、中国となっています。『鹿児島県観光動向調査(抜粋)1月~11月累計』
 伸びている要因として、現地セールスや招聘事業の推進、LCCの香港エクスプレス航空の就航、円安基調等も追い風となっています。
また、隣県を加えた商品企画やルート設定が豊富になっていることや、定期的宣伝活動が寄与していること等があげられます。


 一方、鹿児島県の宿泊者総数は九州の中で第3位ですが、外国人宿泊者数で見ると、長崎県の約半分、熊本県、大分県の6割程度で第5位となっています。(平成27年実績)
 また、宿泊者数全体における外国人の割合は、5.3%であり、他県と比較すると低く、大きな伸び代が期待でき、10%の目標を掲げて取り組む必要があります。


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 国際線が充実している福岡県に来た外国人を、鹿児島まで誘致する有効な施策展開が不可欠です。国別では、九州に一番訪れている韓国人の宿泊者数が大きな差となっています。新幹線活用による南九州割引切符の年間設定や福岡空港と鹿児島空港に相互に就航しているキャリアを活用した商品企画が誘客に繋がります。


 県と観光連盟では、訪日外国人観光客の受入体制の整備充実を図るため、平成21年度から受入体制整備推進事業を進めており、今年も、自治体、宿泊施設、観光施設、ゴルフ場、飲食店、土産品店等の関係者が参加する「インバウンド実務担当者」の会議を開催します。毎年参加者が増加しており、訪日旅行に対する関心の高さの表れと感じます。


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 また、主要4カ国に加えて、タイ、シンガポール、ベトナム、マレーシアなど東アジアからの誘客やクルーズ船の誘致に努めています。FITが増加しており市中の案内表示、市内周遊バスの同一化、銀聯カード利用店の拡大、WiFiの整備、多言語表示等、まだまだ改善すべき多くの課題があります。
 一方では、外国人観光客の増加に対して、入国管理設備の改善、市中での両替や外国語HPの充実など早急に解決しなければなりません。


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 今、LCCの香港エクスプレス航空が高い搭乗率をキープしており、新たな需要開拓に繋がっています。先日鹿児島空港で香港からの利用客に話を伺いました。9割程度がFITで、レンタカーや列車を利用して5泊6日で南九州を周遊する客が多くいました。


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 鹿児島の情報入手に当たっては、インターネットやフェイスブック、ツイッター等SNSを活用しており、桜島、美しい海、砂浜、神社の参道、滝、花のある風景、着物姿が多くみられる場所、日本の祭りなどに興味を寄せていました。従来は宿泊施設の食事、部屋、風呂などに興味を示す観光客がほとんどでしたが、リピーターが増え、鹿児島の美しい自然や体験ができる地域が客の心を引き付けているように感じます。


 一方、中国人は爆買が鳴りを潜め、自分が使う生活必需品を買い求める姿があります。目薬、サロンパス、熱さまシート、胃薬、風邪薬など健康に関連するものが人気です。入国時の関税強化や中国国内でネットでのショッピングが可能になったことも影響しています。
中国では今、大気汚染への関心が高まり、新鮮な空気を求めて日本を旅する「肺をきれいにする旅行(洗肺游)」が流行っています。


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 今後宿泊施設での情報発信は、ホテル周辺の美しい自然や絶景、部屋から見える朝陽や夕日、着物姿のメイドさん、三つ指ついてのお出迎えの姿などが外国人には感動をもたらします。豪華な部屋、食事、風呂より、自然、日本文化を感じられる雰囲気の情報発信を求めています。


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 外国人は大都市圏から地方へ確実に流れは変わりつつます。最近、出水市の武家屋敷を着物で散策するツアーが人気です。着物を持ち帰ることができることも人気に拍車をかけています。
 また、寿司握り体験も定着してきました。日本文化に触れることができることから、消費は「モノ」から「コト」に変化しており、感動体験が消費に繋がります。東アジアには、美しい海や白砂青松、整備された緑の田畑の農村風景が少なく、我々が何気なく住んでいる地域に感嘆の声をあげます。香港の人には帰国日に「イチゴ狩り」などの体験も喜ばれるのではないでしょうか。


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 富裕層対策として、華道、茶道、日本舞踊等日本の格式の高い伝統的文化を提供することが、新たな需要獲得に繋がるのではないかと思います。これから日本は人口減少が進み、しかも市場は成熟しており、日本人の国内旅行の大きな伸びは期待できません。外国人の誘客は地域活性化に不可欠であり、定住人口1人減少分を外国人観光客10人でカバーできると試算しています。(観光庁資料)


 最後に、県民の外国人に対する理解度を高めるための講習会やPR活動も大切なことです。インバウンドの拡大は鹿児島の観光発展にとって重要な施策となると考えます。


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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