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No.448 若者の旅立ちに幸せあれ~故郷での活躍の場づくりが求められる~

2017年2月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


 先日東京出帳の折、電車の中吊りの広告に目が留まりました。

              受験生の君へ

 当日の試験会場、隣の席の受験生が自信満々に見えたとしても大丈夫、
 隣の席から君もそう見えている。深呼吸をしよう。思い出そう。
 解いて 解いて 解きまくった方程式、
 覚えて 覚えて 覚えまくった英文法、
 やって やって やりきった1年を。
 不安も緊張も君だけじゃない。僕らは信じている。
 受験に立ち向かった記憶は、受験の先の人生で、
 君を励まし支える力になると。
 最後は自分を信じて、さあ、ラストスパートだ。
 You're the HERO                ※早稲田ゼミ広告より


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 ところで2月25日~26日は国公立大学の試験日です。共通一次試験の結果を踏まえて、受験校を変更した学生も多いことでしょう。受験生の心理はまさに広告文の通りで、1年間の努力を十分発揮して希望する学校に合格してほしいと願わずにはおられません。
 受験当日福岡市内では人気グループのコンサートと重なり、受験生の宿泊施設が足りない事態が発生しており、行政も宿確保に動いています。
 受験生を持つ親にとっては自らの受験生活がよみがえり、何とか良い環境で受験させたいと必死ではないでしょうか。


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 これから、卒業式のシーズンとなり進学や就職で鹿児島を離れる若者が多くなります。 特に多くの男子高校生は就職先として県外の企業を選んでいますが、県内に大きな企業がないこともあり、やむを得ないことと思います。大学生も関西、関東の大学に進むとそのまま都会で就職する人が大半です。


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 甑島では中学3年生になると、卒業に向けて夏にサツマイモを育てて、秋に蔵元で記念の焼酎ボトルを作ります。島での成人式で再会した時恩師や同窓生と封を開けて皆さんで飲むという伝統行事が残されています。
 焼酎のボトルには「島立ち」というラベルが貼られており、親が子供たちの成長を楽しみに5年間大事に保管しているそうです。


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 島に高校がないために島外に出るしかありませんが、子供たちにとっては、島や友人との絆を保つシンボルになっているのではないでしょうか。島を訪れた観光客に心にしみるこのストーリーを語ることは、島の人々の温かさを伝えることになります。
 3年後には、中甑島と下甑島をつなぐ藺牟田瀬戸架橋が完成の予定です。甑島が一つに結ばれ、観光振興による島の活性化が期待されます。


 唐の時代の詩人である「王維」が、友人を送る心情を書いた詩を紹介します。古代から中国国内の移動は大変であったと推測されますが、精一杯のおもてなしで人との別れを惜しんだのではないかと思います。


       元二の安西に使いするを送る  ~王維作~

           渭城 朝雨 潤軽塵
           客舎 青青 柳色新
           勧君 更尽 一杯酒
           西出 陽関 無故人

・渭城・・長安の渭水をはさんだ対岸の町
・客舎・・旅館
・陽関・・敦煌の郊外にある関所
・故人・・友人


渭城の朝のしっとりとした雨が、舞い上がっている軽い塵を濡らしている。
旅館の周囲にある柳の木が、雨に濡れて青々として美しい。
昨晩遅くまで語り合い楽しい酒を呑むことができた。
でも君に勧めたい。もう一杯飲んでくれ 。
陽関を通過した後は、一緒に楽しく酒を飲む友人はもういないだろうから。


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 日本では送別に際し、激励会を開きメッセージと供に花束を渡すことが行われていますが、中国では柳の枝を贈る習慣があります。別れを綴る詩には、友人を長く見送ることができる砂漠や大河がよく舞台として登場します。
 シルクロードを旅すると、詩に綴られた敦煌郊外の陽関の関所跡が見学できます。悠久の歴史が漂う敦煌の莫高窟や鳴沙山、楼欄の美女が眠るウルムチの新疆ウイグル博物館等をお尋ねください。


 日本では、転勤は住居と仕事内容など環境が変わり、自分自身を飛躍させる大きな転機になると思います。人事異動は会社から本人への最大のメッセージと捉え、与えられた場所で最大の努力をする心構えが大切ではないでしょうか。


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 鹿児島県は南北600キロにおよび、本土と離島との転勤も多くあり、港や空港での 涙の別れは感傷的です。
 それぞれの土地で新しい友人との出会いがあり、また、故郷のすばらしさを始めて知る 機会にもなります。
 鹿児島を離れて他県に行く人は、鹿児島の歴史、文化、温泉、食、祭り、自然遺産、文 化遺産、伝統行事などの魅力を是非多くの人に伝えてほしいものです。
 鹿児島の旬の情報が全国に発信されて、交流人口の拡大につながることを期待します。


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 鹿児島県は、文化遺産と自然遺産の2つの世界遺産を持つ唯一の県ですが、加えて2018年には奄美大島と徳之島の一部の地域が世界自然遺産登録を目指しています。また、2018年は明治維新150周年になり、NHK大河ドラマ「西郷どん」の放映等もあり鹿児島県は国内外から注目されます。
 節目の年に鹿児島の魅力を一段と認知させる取組みが求められます。


 少子高齢化による労働力人口の減少は、地域の活力低下の要因にもなっています。観光にきちんと取り組んでいる自治体は、若者のIターンも見られます。地域資源を磨き商品化を図ることが交流人口の拡大に結びつくのではないでしょうか。 


 観光関連産業に興味を持ち、卒業した後地域に活躍の場を求める人が増え、それを受け入れることができる環境づくりが不可欠です。

 皆様の旅立ちに「幸せあれ」と願っています。


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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