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No.450 旅育のススメ~家族で旅をしよう~

2017年2月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


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 梅の満開の便りが各地から届き、春がそこまで来ていることを感じます。後1カ月で春休み、子供の卒業や進級の思い出に家族旅行を計画している家庭も多いのではないでしょうか。
 皆さん幼い頃、家族旅行に行った記憶がありますか。動物園での小さな動物との触れ合い、家族で一緒に入った温泉や夕食、小川での魚釣りなど懐かしい想い出として心に残っている方が多いのではないでしょうか。
 すこし古いデーターですが、JATAが消費者モニター組織を活用して、「親子の絆と旅行」をテーマにインターネット上で実施したアンケート結果のポイントをまとめました。(※JATA 2001年調査)


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 1点目は家族旅行に行った子どもは我慢強く、行かなかった子供はキレやすいという結果がでています。
 成人するまでに20回以上、つまり平均して年に1回以上家族旅行に行った人は、「我慢強い」「思いやりがある」「協調性がある」「社交的である」など、周囲とのコミュニケーションや気配りに長けている傾向が強く、一方、成人するまでの家族旅行回数が10回に満たない人は、「頭に血がのぼりやすい」「自分勝手なところがある」「我が強い」等の選択肢で過半数を占めており、わがままになりがちな様子が伺えます。
 また、20回以上家族で旅行している人は「創造性が豊かである」という選択肢でも多くの比率を占めており、子供の情操教育に家族旅行が非常に有効であることが明らかになっています。


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 家庭内暴力やいじめ、少年犯罪の低年齢化が大きな社会問題となっている今、家族旅行の意義に注目したいものです。
 2点目は子供が家族旅行に「入学」する年齢が年々低下しており、3歳になるまでに家族で国内旅行した子供の割合が増加しています。また、卒業するのは15歳がもっとも多くなっており、ちょうど中学校を卒業する時期に家族旅行も「卒業」していることがわかります。


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 3点目は家族旅行の主導権は息子のみの家では父親に、娘のみの家では母親となっており、家族の性別構成比の影響を受けて、男性が多数を占める家族では父親が、女性が多数を占める家族では母親が握っていると考えられます。
 また、成人した女性の家族旅行の約半数は母娘旅行で、父子旅行はほぼ皆無となっています。近年の消費動向の鍵を握っているのは母親と成人した女性であり、その絆の強さが理解できます。


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 旅行ジャーナリストの村田和子さんは、著書「村田和子式 親子の旅育メソッド」の中で、コミュニケーションがとれるようになる3歳が「旅育」デビューにはおすすめで、基礎的な脳が完成する9歳頃までは「実体験が何よりも大切」と記しています。
 また、旅行先で「こんにちは」「ありがとう」などの「挨拶をする」こと、車中では「皆が快適に過ごせるように静かにしよう」など、社会性や公共マナーを知り・学ぶことになります。
 旅行中の普段と違う世界との出会いや、子供が感ずる「なぜ?」は学びのチャンスであり、興味・関心の芽を育てる良い機会にもなるとも言っています。


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 子供の頃の海や山での体験、社会観察の機会が多いほど、その後の学習意欲や知らないことへのチャレンジ精神、外国へのあこがれ等関心度が高くなっていくのではないでしょうか。小さいころから親子のスキンシップを高め、自然体験など親子で楽しむ時間の必要性を感じます。


 少子高齢化など人口減少が続く鹿児島県にとって、観光による交流人口の拡大は、地域 活性化の重要な方策の一つです。南北600キロに及び、自然、温泉、歴史、食、離島の多さ等全国的に類のない魅力ある県です。
 しかし、学校を卒業すると県外へ出て行くため、それまでに郷土の魅力を知ることの必要性が問われているのではないでしょうか。


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 鹿児島は多くの偉人を輩出し、日本の近代化実現に大きな役割を果たしました。早くから西洋の技術を導入し、旧集成館事業は「明治日本の産業革命遺産」として「世界文化遺産」にも登録されています。
 また、郷中教育の精神から学ぶことが多くあります。出水兵児の教え、日新公のいろは歌など、今でも子供の精神修養になる教材です。薩摩藩英国留学生が残した業績を見ると、若い頃から海外にでて勉強する必要性を感じます。また、関ヶ原合戦での"島津の退き口"で知られる薩摩武士の心意気は、今でも20kmを歩いて参拝する「妙円寺詣り」として、その敵中突破の伝統が引き継がれています。


 日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、貴重な植物の垂直分布が見られ、環境保護にも努めています。
 奄美群島は、手つかずの自然や貴重な生態系が見られることから、奄美大島本島と徳之島の一部が2018年世界自然遺産登録を目指しています。


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 南北600キロに及ぶ長い県であり、特色ある「食」や「伝統芸能」などを生み育ててきました。子供たちがその魅力に触れ継承していくことが問われています。
 また、県内には先祖崇拝の精神が脈々と受け継がれています。お墓に毎日生花を飾る習慣があり、南薩地域のお墓は観光客が訪ねるほどの名所となっています。命の大切さを教える意味でも、子供の頃からゆかりの日には墓前に手を合わせることは大切なことと思います。


 「篤姫」放映時、今和泉駅周辺の子ども達がバスに手を降り、観光客に挨拶するなど、地域ぐるみの温かいおもてなしが話題となりました。おもてなしの心を小さい頃から身につけることは、人にやさしい心豊かな人格を育成します。


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最後に、「旅育」の意義・目的は、
 ①子どもの頃の体験を通して自然・環境・風土・文化を大切にする心を育む。
 ②地域を知り、地域を愛する人をつくり、郷土愛とホスピタリティの心を育む。
 ③旅を通じて家族の絆が深まり、親を含めた先人への感謝の気持ちを醸成する。
 ④異文化を知ることにより世界の国々への関心、冒険心を育む。
 ⑤子どもの頃の旅行体験が、日々のマナーや五感を刺激する機会となる。
   ことになるのではないかと思います。

 さて、春休みどこに連れて行きますか。


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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