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No.452 これからのかごしまの観光に求められるものとは ①各地域の課題とは

2017年3月13日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


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 高校の卒業式が終わり大学入試結果待ちの学生は、一日千秋の想いで日々を過ごし、「サクラサク」の吉報が届いていることでしょう。桜の開花日も発表され、庭先の木の開花が楽しみです。


 先日九州観光推進機構の主催により、「九州教育旅行ふっこうセミナー」が、阿蘇市で開催されました。例年は5万名もの修学旅行生を受け入れている阿蘇地域は、4月の熊本地震で甚大な被害を受け、昨年はわずか7百名の修学旅行生しかありませんでした。阿蘇地域への交通アクセスが、寸断されたことが大きな要因ですが、学校現場の地震に対する不安感が多くの取消に至ったと判断しています。
 平成31年度九州地域への修学旅行復活には、熊本の復興が第一ですが、各県連携して誘客に努める必要があります。


 ところで、県の平成29年1月分の観光動向調査が発表されました。それによると宿泊者数は、前年同期比2.7%減少し、外国人のみは17%増となっています。今年は厳しいスタートとなりましたが、新年度予算決定後は早めの仕掛けが必要と感じます。
 これから3回にわたって鹿児島の観光について、改めて課題を整理したいと思います。


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 鹿児島県は南北600キロに及び、大きく捉えると、「北薩・姶良伊佐地域」、「南薩摩地域」、「大隅地域」、「種子島・屋久島地域」、「奄美群島」、「鹿児島市内」の6つの地域に分けられます。
地域を繋ぐことで様々な魅力創出が図られ誘客にも弾みがつくと考えています。


 先ず「北薩・姶良伊佐地域」です。新幹線の駅が二つあり、誘客にはここで下車させる取組が不可欠です。今までのエージェントの商品企画を見ると8割が鹿児島空港、鹿児島中央駅、宮崎空港発着となっており、しかも似たような企画が多く魅力が薄れてきています。2つの駅を活用することで新しいコース設定ができ、消費者にも受け入れられやすくなります。


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 長島町の漁業を活かした観光、出水市の武家屋敷散策、民泊、甑島の珍しい自然景観、伊佐地域の曾木の滝等県外客に馴染みの薄い場所を組み込み、地域ならではの生活・文化を組入れたコース提案が必要です。
 霧島は温泉に恵まれ、滞在客や登山客には人気の場所ですが、国立公園の魅力が活かされていません。
 登山ルート出入口までのアクセスの整備と山の魅力を前面に、九重に負けない情報発信が欠かせません。


 「南薩摩地域」はここ数年観光客が低迷しています。指宿の砂蒸し温泉に頼ってきた感があり、「指宿のたまて箱」は好調であるのに、滞在に繋がっていません。
 駅前や海岸通りの街づくりが遅れています。大隅地域や種子島、屋久島との船の航路をもっとPRしなければ復活は厳しい状況です。


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 山川にある「たまて箱温泉」は日帰り温泉サイトの人気投票で4年連続1位に輝いています。指宿に宿泊させる良い地域資源です。頴娃町の番所鼻公園、大野岳等地域資源を活用し、グリーンツーリズムのさらなる推進が必要です。


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 知覧の入込客も漸減傾向です。戦争を経験した世代が少なくなり、平和資料館の魅力を知る人も少なくなっていきます。修学旅行生も生徒数の減少で大幅な増加は厳しい状況です。武家屋敷を活用した日本文化の体験や美しい茶畑の活用など一工夫が必要です。知覧と指宿の入込客は比例しており、相互に連携して対策を急がねばなりません。


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 「大隅地域」は観光客誘致について特にアクセスが厳しい地域です。かつて新婚旅行全盛期には、宮崎からの多くの人でにぎわいました。鹿児島空港から遠く、鹿児島市内からも高速道路やフェリー代金が高く、県民にもあまり知られていない地域です。
 平成30年に「さんふらわあ」の新造船が就航することから、船旅の楽しさと共に「かのやバラ園」、「雄川の滝」、整備が進む「佐多岬」などの尖った魅力を商品企画に盛り込みたいものです。


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 また、志布志市の夏のサッカーフェスティバルには毎年1万人を超える参加者がありますが、冬場の誘致が課題です。是非天然冬芝のグランドを整備し、Jリーグレベルのチームを呼べる環境整備に努めてほしい。そのことで宮崎でキャンプを張るチームとの練習仕合やファンが動き宿泊に繋がります。


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 「種子島・屋久島地区」は、ロケット発射場や世界自然遺産といった恵まれた地域資源があります。種子島はロケット発射場の見学を目的にSSH校の誘致、農家民泊などの取組が必要です。
 屋久島は日本人が一番行きたい世界遺産の地であり、オフの誘客が課題です。集落のツアーや大川の滝、千尋の滝、白谷雲水峡など冬場にも行ける観光地があることをもってPRしなければなりません。登山者への入山協力金の制度もスタートしました。環境を守る取組を徹底することが、世界自然遺産の島としての価値を高めます。


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 屋久島空港の滑走路延長がジェット機就航に繋がり、アクセスの充実は観光客の利便性確保になります。大都市圏からの誘客には欠かせない課題です。
 空港がジェット化されれば、世界文化遺産や屋久島及び奄美の世界自然遺産を繋ぐ観光コースが可能となります。
 沖縄県の観光客が伸びている要因として、沖縄本島から先の石垣島、宮古島などへの航空路が伸びていることがあげられます。


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 「奄美群島」は、今一番注目を浴びている地域です。奄美群島の国立公園化、NHK大河ドラマ「西郷どん」放映、世界自然遺産登録と今年から大きなイベントが目白押しです。来年は一定の観光客は見込めることから今年にいかに来てもらうかが鍵となります。奄美空港と大都市圏を結ぶ航空路線は便数が少なく、多くの観光客を運ぶには限度があります。関西空港から3月26日よりLCCが就航しますが、需要が増える時期は増便が望まれます。


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 一方船の航路は充実しており、一度に多くの乗船が可能です。夏休みは長期滞在できる学生を誘客すべく、大幅な割引が必要です。かつて昭和40年代から50年の初めにかけて奄美航路は、リュックを背負った学生であふれ、第一次離島ブームがおこりました。その行く先はエメラルドグリーンに輝く美しい海岸でした。チャンスを活かしその再来を図りたいものです。


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 「鹿児島市」は、歴史、温泉、食、自然、宿泊施設、アクセス等に恵まれ景気動向や震災等にあまり左右されない観光地です。最近は外国人が増加しており、シテイビューや電車で個人旅行を楽しんでいる姿を見かけます。市内に数日滞在し、霧島、指宿、大隅半島などに行っています。
 今後は大型コンベンションのさらなる誘致やスポーツ大会の開催、オリンピック事前合宿の誘致等が求められます。


 明治維新150周年や大河ドラマの放映を控えて、市民が街の魅力を体験する仕掛けが必要です。「長崎さるく」のようなイベントを開催し、著名人と一緒に市内の名所旧跡を歩くことで、参加者も増えると思います。そのことで市民が自らPRできるチャンスをつくることになります。市民が街の魅力を知らずして広がりはありません。


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 鹿児島県は離島が多く、しかも錦江湾を挟んで薩摩半島と大隅半島に分かれています。九州の他県より、全域に行くことはかなりの日数と費用も掛かります。それだけ地域資源も豊富で、様々なコースが設定できます。
 JR、飛行機、定期客船、クルーズ船等コースに応じてアクセスの利用頻度が違います。南北600キロに及ぶことは、観光客に何度も来ていただく可能性を備えています。 人口減少時代に入り、大幅な観光客増は厳しくなっています。県民がまず自分のふるさとを旅することが求められています。


          人はいさ 心も知らず ふるさとは
          花ぞ昔の 香ににほひける
                           ~紀貫之~


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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