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No.453 これからのかごしまの観光に求められるものとは ②外国人宿泊者100万人を目指して

2017年3月21日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


          かかる世に かかる旅路の 幾度か
          あらんも国の 為とこそ知れ
                       ~畠山養成~
*薩摩藩英国留学生の一員で東京大学の前身である東京開成所の初代校長を務める


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 社会人の転勤シーズンとなり、マンション周辺の道路には引っ越し業者の車が列をなしています。住み慣れた地を離れるのは一抹の寂しさを感じますが、転勤先での出会いが新たな出発になることを期待します。
 ところで、国の2016年宿泊旅行統計が発表されました。それによると鹿児島県の宿泊者総数は、721万人となり9.5%、5年ぶりの減少となりました。外国人は48万7千人で8.03%増となっています。


 鹿児島における外国人誘致の課題について整理したいと思います。
2016年の訪日外国人旅行者数は累計で21.8%増の2403万9000人となり、待望の2000万人を突破しました。


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 九州各県の空港別の外国人入国者の数です。福岡空港が139万2千人、長崎空港3万4千人、大分空港2万8千人、熊本空港2万5千人、佐賀空港3万7千人、宮崎空港3万7千人、鹿児島空港6万7千人で、福岡空港が全体の72%であり、九州のゲートウェイの役割を担っています。
 港の入国者で特徴的なことは博多港が18万3千人に対し、長崎県対馬の厳原港が7万8千人、比田勝港が13万7千人と、両港で21万5千人と主に韓国人の入国者があります。国境に近いという利点を活かし外国人が訪れています。


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 一方、九州各県の外国人延べ宿泊者数は、福岡県が267万人、大分県84万6千人、 長崎県74万3千人、熊本県51万4千人、宮崎県25万人、佐賀県24万人となっています。
 九州を訪れる外国人は全体の65%余りが韓国人となっており、台湾や中国、香港を加えると約85%が東アジアからの人で占められています。


 鹿児島空港の入国者数に比べて、佐賀、宮崎県を除く他県の宿泊者が多いのは、福岡空港や博多港に降り立った客が、大分県、長崎県、熊本県を周遊し宿泊に繋がっていることが大きな要因です。
 鹿児島までシャワー効果が十分及んでないことがあげられます。福岡県に来た外国人を、いかにして鹿児島まで足を延ばしていただくかが最大の課題となっています。


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 大きなネックになっているのがアクセスの問題で、九州新幹線の料金をいかに軽減できるかではないでしょうか。
 今、JR九州と鹿児島県が協力して、南九州に割安で行ける「JR九州レールパス南部九州版」の改定版を販売しています。機内でのPRやエージェントでの販売にも力を注いでいますが、観光客に浸透するには時間がかかっています。
 東アジアからも個人旅行が主流になりつつあり、今回の販売目標を達成することが次につながります。リピーターにぜひ活用してもらうべくさらなるPRが必要です。


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 次に鹿児島への誘客には、季節波動に合わせてプログラムチャーターやオフライン空港からのLCCの就航が得策です。鹿児島空港の利用時間が延長されたこともあり、冬場の釜山やタイ、ベトナムからのプログラムチャーターの運行が求められます。需要の大きい香港からは、LCCの就航による新たな顧客開拓ができていると感じます。
 日本の伝統文化を体験できるメニューや安全・安心食の提供が、富裕層の誘致にもつながります。地域資源を活用して、いかにモノからコト消費に繋げるかが大きな視点です。


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 クルーズ船が増加しています。経済効果が疑問視されますが、将来を見越してリピーターにするべく長い目で見る必要があります。
 また、富裕層を対象としたクルーズ船を中心市街地に寄港させ、観光客が歩いて、いずろ通り、天文館地区、鶴丸城周辺を散策できることでにぎわいの創出が可能となります。
 御楼門の建立に合わせて、周辺の道路整備を行い回遊性のある街づくりが求められます。


 一方ではアウトバウンドを増やすことが重要です。県民のパスポート取得率は45位前後であり、鹿児島からの利用者がこのままで推移すると、定期便の維持が危ぶまれます。
 双方向の人・ものの交流が実現できないと路線維持や新たな航路拡充は厳しくなります。


 方策として若者のパスポート取得を促進しなければなりません。平成12年から15年にかけては、県内公立高校の修学旅行先は7割が海外でした。
 現在では90%が国内に変わっています。若いうちに海外に目を向けさせる意味でも高校生の海外修学旅行を復活させ、これを機にパスポートを取得してもらい、将来のリピーターにつなげたいものです。


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 2020年は明治維新150周年です。1865年に薩摩藩留学生は英国に旅立ち、帰国後多くの分野で活躍し、日本の近代化に貢献しました。
若いうちに海外に行く価値をもっと見直したいものです。
 今後も、インバウンドとアウトバンウドは両輪と捉え推進していかねばなりません。


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 次に情報発信の重要性です。外国人旅行者はインターネットを活用して行先の情報を検索しています。SNSでの拡散が欠かせず、国別の有力ブロガーの招聘や、公式サイトでの鹿児島の尖った季節ごとの情報が必要です。
 温泉は九州の定番になりつつあり、他県と違う温泉の売りだし方を考えねばなりません。温泉に入る習慣がないタイなどについては、工夫が必要です。
 花や紅葉、朝日夕日の絶景や美しい砂浜が続く海岸等東アジアにない景観が誘因効果をもたらします。


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 FIT対策として市中の多言語表示、市内周遊バスの同一料金化、免税店の拡大、WiFiの整備、泊食分離の推進等改善すべき多くの課題があります。
 また、入国管理のスムーズ化、市中での両替や外国語HPの充実など早急に解決しなければなりません。外国人観光客がストレスを感じない街づくりが求められます。


 これから日本は高齢化や人口減少が進み、しかも市場は成熟しています。旅行需要の主要ターゲットである熟年層にとって、年金支給の不透明感等先行きは厳しく、日本人の国内旅行の大きな伸びは期待できません。


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 鹿児島県は東アジアに最も近いというメリットを活かし、また、来年には世界遺産が3つになる見込みであることから、これを繋ぐルートの開拓が外国人誘致のキーポイントになるのではないでしょうか。
 また、世界のホテルチェーンが進出することで鹿児島のブランド効果を高めることにもなります。
 最後に、鹿児島県の外国人宿泊客を100万人の目標に取組むことが、福岡県に次ぐ知名度を上げることになると信じてやみません。


          今日もまた、幸せの鉦を 打ち鳴らし
          打ち鳴らしつつ あくがれて行く
                         ~若山牧水~


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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