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No.454 これからのかごしまに求められるものとは ③地域総力戦で魅力創出を

2017年3月27日
鹿児島県観光プロデューサー 奈良迫英光


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 甲突川河畔をウオーキングしていると、春の草花が至る所に見られ、水辺に映る姿が疲れた体を癒してくれます。あと数日で河畔の桜は開花し、木々の下では新入社員の歓迎の宴が開かれることでしょう。
 鹿児島市は明治の偉人を多く輩出し、歴史のある風光明媚な街として知られています。目の前に美しい錦江湾があり、時々噴煙を上げる桜島は一日に何回も姿が変わると言わ れます。


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 また、県内で収穫される日本一の農水産物が集まり、多彩な飲食店があり観光客を楽しませています。温泉も豊富で、県庁所在地では日本一の源泉数で、都会の魅力も集積された都市ではないでしょうか。県内各地域と連携し誘客態勢を確立してほしい。


 これからも多くの観光客が訪れ、特に外国人には滞在拠点として選ばれていくと感じています。


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高砂の 尾上の桜 咲きにけり
外山のかすみ 立たずもあらなむ
      権中納言匡房 ~百人一首より~


 本格的な人口減少時代を迎え、交流人口拡大による地域活性化は地域経済にとって至上命題です。これからのかごしまの観光振興を考えるとき、地域資源を点検し、「地域総力戦」の気概で街づくりに取り組む必要性があります。その背景を探り、課題を整理したいと思います。


 日本では平成20年に観光庁が発足しました。世界の国々が早くから観光振興に力を入れてきた中で、日本は産業としての位置づけが低く取組が遅かったと感じています。今では観光の重要性が認識され、首相自ら観光振興の大切さを語る機会が多くなっています。


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 高度成長期からバブル期頃まで、国民の旅行意欲の高まりやエージェントの努力もあり、有名観光地や大型温泉地は隆盛を極めました。
 しかし最近は旅行形態が団体旅行から個人旅行へシフトし、しかも自分の趣味や趣向を求める旅行のスタイルが主流となり、モノの消費(遊び)からコト消費(体験)に変化し、従来型の観光地は苦戦を強いられています。


 平成28年の実績で見ると、県内の宿泊施設に宿泊した人の内約7割が個人客です。今まで団体旅行やエージェントに頼りがちな経営姿勢から、地域が魅力創出を図り情報発信して集客できる取組が求められる時代となっています。温泉や有名な観光地があるからと言って、観光客を簡単に呼べる時代ではないと断言しても過言ではありません。


 首都圏に近く交通アクセスに恵まれた熱海温泉では、バブル絶頂期の平成元年には726軒あった宿泊施設が平成23年には6割減の313軒に、宿泊客数は、416万人から246万人と4割も減少しています。首都圏の人口4千万人を抱えながら厳しい現実があります。


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 これからかごしまに人を呼ぶには魅力ある地域づくりが大きな課題です。
 まず、「良好な景観の保持」を地域ぐるみで取り組むことが魅力を創出することになります。再開発事業では、「渓谷」、「古木」、「白砂青松」、「伝統的建物」などの自然景観を残すことを第一に考えねばなりません。自然は地域の宝です。箱物づくりから地域の自然、歴史、文化、生活を経済活動と結びつけ、「地域特性」を生かした街づくりへ変革することです。


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 「美山地区」は、案内看板の色や形を統一して表示するなど景観の保護に努めており、陶芸や直売店、温泉などの魅力が口コミで広がり近隣からの観光客が増加しています。
 外国人は日本の伝統文化に惹かれます。出水の「着物で武家屋敷散策」は毎回定員オーバーするほどの盛況です。歴史資源を活用し、ストーリー性を持った商品開発が求められます。


 次に、農水・商・工・教育等地域連携の重要性が問われます。地域を越えて「食」、「祭りやイベント」、「歴史ストーリー」、「特産品」、「市場や直売店」等有機的につなぐことで、地域の魅力付けが図られます。観光に県境はありません。


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 地域資源をブランド化するには、地域の皆さんに親しまれ、浸透していることが第一であり、「優位性」、「品質保証」、「稀少価値」等差別化戦略が不可欠です。
 消費の主役は女性であり、その女性を呼び込む仕掛けが必要です。誘客にあたって、「発表会」、「お茶会」、「生け花展」、など美的感覚をくすぐるイベントを同時に開催することも方策の一つです。女性は満足度が高ければリピーターになりやすく、持続的に経済効果をもたらすことにもなります。「安全・安心の提供」がキーワードではないでしょうか。


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 地域の住民が参画できるまちづくりを進めることも大切です。観光は地域の人が我が町に誇りを持つことから始まります。飲食店では「地産地消」を推進することで、多くの分野で経済効果が生まれます。又宿泊施設などでは囲い込みをやめて、観光客を積極的に外に出すことで市民とのふれあいが生まれ、かごしまの魅力を再確認できる場となります。


 県内出身者が地元の食材を提供している「かごっまふるさと屋台村」に学ぶことが多くあります。ふるさと意識を高める店づくりが人気の要因です。イベントや祭りでは、子供や高齢者にも活躍してもらう場を提供することで後継者養成にもつながります。


 また、バリアフリーの推進や環境に優しい街づくりを目指さなければなりません。高齢化社会を迎えて、心のバリアを取り除くことが大切です。健常者と障がい者が一緒に旅行する場を提供することで、地域にとっても大きなメリットがあり、社会貢献上当然推進しなければなりません。


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 屋久島ではマイカーの乗り入れの規制や入山協力金の取組が進んでいます。又ウミガメの産卵地では、砂浜への立ち入りを規制するなど卵の保護に力を注いでいます。
 出水市やさつま町の宮之城地域では、地元産の竹を使った「灯りのイベント」を開催して好評を博しています。使われた竹は、観光客に無料でプレゼントされており一石二鳥の効果があります。これからは「観光振興」と「バリアフリーと環境保全」の両立を図ることで魅力ある観光地になると思います。


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 地域をまとめるコーディネーターの存在が重要になっています。
今地域活性化のために、多くの省庁が支援策を発表していますが、その一つがDMOの推進です。地域の団体をまとめて事業を進めるにはマーケティングやマネージメント能力が求められます。箱物作りや一時的なイベントに頼りがちな観光地から、個性ある地域がこれから脚光をあびます。成功している地域に学ぶことも重要です。


 4月より観光交流局が「PR・観光戦略部」となり、様々な産業を取り込んだ観光振興が期待されます。生活・文化など埋もれた資源を磨き、商品化する等「地域総力戦」で誘客に努め、持続可能な地域づくりを皆さんで創り上げていきたいものです。


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 最後に3月31日付で、3期9年間務めた鹿児島県観光プロデューサーの職を辞することになりました。観光の有用性を多くの県民に理解してもらうため、平成20年の5月から書き始めたコラムも、今回が最後となりました。正月休みにかかった都合9回を除いて毎週配信できたことは、皆様からの叱咤激励のおかげと深く感謝致しております。
 これからも何らかの形で地域づくりに貢献できればと考えています。
長い間拙稿にお付き合いいただきありがとうございました。


         幾山河 越えさり行かば 寂しさの
         終(は)てなむ国ぞ 今日も旅ゆく
                      ~若山牧水~

                 感 謝


プロフィール

古木 圭介プロデューサー
鹿児島県
観光プロデューサー
古木 圭介
(平成29年4月より就任)
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