鹿児島しま旅<26 ISLANDS>

シマ。それは、不思議な魅力と出会う玉手箱。
県名から受けるイメージはそのままに、大小約600ある島数は全国でも第2位。そのうち26の有人離島が連なる鹿児島県。様々な島々には、唯一無二の物語がギッシリ詰まっている。温帯から亜熱帯にわたる、気候風土が育む海や山といった手つかずの大自然はもとより、暮らしに息づく伝統文化、特色ある郷土料理など、その魅力を一言で語るのは容易ではない。ただ、訪れた人が心をゆさぶられる「何か」があるのは確かだ。
この記事を見ながら島々をめぐるもよし、例えば、ご当地料理や仮面祭に絞ったディープな旅も楽しい。ただし、アクセスは船のみ、レンタカーのない島だってある。アナログの上にデジタルの享受をえられている昨今、本当の旅の醍醐味とは?少なくともその答えにつながる気付きが、このしま旅に隠されている。
かつては船が島へ渡る唯一の交通手段であったが、現在はこれに橋や飛行機が加わった。到達するスピードも格段に速くはなったが、それでもある程度の時間と労力を要する。こうしたひとつの壁を乗り越えてでも島に行ってみたいと人々は思い、旅立つ。島には、それだけの価値や期待を満たしてくれる何かがあるからだ。

しま旅の魅力は、渡る前からはじまっている。鉄道の世界に列車マニアがいるように、しま旅のお手伝いをしてくれる乗り物や橋に注目しても面白い。種子・屋久に向かう高速船は、浮上する際の姿がスマートであり、奄美航路のフェリーは大きさに安心感を覚える。長島へと渡る黒之瀬戸大橋は、独特のトラス構造と青の外装が景観と調和し、渡る度についつい眺めも楽しんでしまう。さらに甑大明神橋と鹿の子大橋は、夕陽がセットになって人々を魅了してくれる。
島への期待感を胸に秘めた旅人たちにとって、その旅の入口となる港や空港の風景も旅の重要なポイントである。竹島と硫黄島の港は、鬼界カルデラ形成に起因する絶壁が傍らにあり、「生きている地球」を実感させてくれる。トカラの島々も港と集落にかなりの高低差があるところが多く、ワイルドな島の暮らしを彷彿させてくれる。奄美諸島の空港は、着陸寸前に現れるサンゴ礁に目を奪われ、「南の島にやって来た」という感情を高ぶらせてくれる。
島に上陸してから旅は本番となる。まず島で一番人口が密集しているような市街地や集落を歩く。そこには島の大切な要素や土地ならではの特別な情報が転がっているからだ。そして、その場を起点にして島内の旅を始める。入口も大切だが、出口となる島での最後のひと時もじっくりとかみしめていい。人口の少ない島に行くと、島民のほとんどが船出に顔を揃え、港から見送ってくれる。送られるひとは、甲板に立って次第に小さくなる島を見つめながら、楽しませてくれた島に対して感謝の気持ちを込めて手を振りつづけることだろう。

しま旅の楽しみ方に正解はない。お気に入りの島にこだわることもよいが、かごしまの島々はそれぞれに歴史的背景、風習、文化が異なっている。だから「比較」するという最大限の楽しみ方が選択肢にあってもいいのでは。次はどの島に行こうかなという楽しみと期待を抱いて、ぜひ、島々へつながるかごしまの港や空港に降り立ってほしい。

東川隆太郎 Profile

東川隆太郎 Profile

かごしま各地のまち歩きなどを通して、地域資源に関する新たな価値付けをし、まちづくりに活用していく活動を展開中。温泉、近代化産業遺産、歴史的な偉人などに関する、雑誌、書籍などでの執筆をはじめ、全国各地での講演活動など、精力的に活動している。鹿児島市生まれ。
NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会 代表理事
NPO法人桜島ミュージアム理事
NPO法人NPOさつま理事
志學館大学 非常勤講師

県最北端の紺碧の海にいやされる
鹿児島県最北端の海がこれほどまでに青かったとは…。長島本島への入り口、日本三大潮流の黒之瀬戸に架かる大橋(全長502メートル)を渡るとき、限りなく広がる大海を目にして感動を覚えずにはいられない。
まるで宝探しのような、思いがけない発見の旅へ。
「甄島には何があるの?」。川内港ターミナルから上甑島の里港まで高速船で約40分。鹿児島の離島のなかでは近くにありながら、意外とその魅力は知られていない。
歴史と近未来を体感できる唯一無二のスポット
かつてポルトガルから鉄砲が伝えられた地であり、現在は日本最大のロケット発射場のある種子島。本土最南端の佐多岬より南東約40kmの位置にあり、平坦で南北に細長い地形は、どこかロケットの形に似ている。
世界も認めた、太古からの自然に抱かれてみる。
ユネスコの世界自然遺産に登録されて一躍脚光を浴びた屋久島は、日本の様々な機関からもその豊かな自然が“一流”と認められている。
無垢の大自然と人の温もりに触れてみよう
ありきたりじゃない旅がしてみたい。そう思ったら、屋久島と奄美大島に挟まれて並ぶトカラ列島へ出かけよう。南北に約160km。7つの有人島と5つの無人島からなる。人が常に住む地域としては日本一縦長の村だ。
温かな人々との交流が思い出になる
鹿児島市の南埠頭から村営定期船「みしま」で3時間、3島から成る三島村で最初にたどり着くのが竹島。その名の通り、全島をリュウキュウチク(大名竹)に覆われたのどかな島だ。
世界に誇れる奄美の魅力
奄美群島とは、鹿児島の南方380~580キロメートルの海上に点在する島々(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)のことで、奄美群島諸島ともよばれている。
東洋のガラパゴスといわれる、その秘密を訪ねてみる。
鹿児島県の離島で一番大きな奄美大島。エメラルドグリーンのサンゴ礁の海が輝き、亜熱帯植物の原始の森が広がる。はるか昔、この島を発見したヨーロッパ人が「サンタ・マリア島」と名付けたと伝えられる美しい景観だ。
サンゴの石垣など昔ながらの風景を歩く。
奄美大島の東方約25キロメートルにある喜界島は、サンゴ礁が隆起してできた島。今でも年間約2ミリメートルずつ隆起しているというのは世界でも類がなく貴重とされている。
スローライフがいのちを輝かせる
「島で生活するように旅してみたい」そう思わせるのは、徳之島が“長寿の島”といわれているから。ギネスブックに長寿世界一と認定された泉重千代さん(享年120歳)、明治から平成の世を明るく生きた本郷かまとさん(享年116歳)は、ともに伊仙町の出身。その元気で長生きの秘訣は、きっとこの島にある。
童心にかえって触れたい自然がいっぱい
鹿児島県でありながら沖縄本島に近く、琉球文化の流れをくむ沖永良部島。世界的に有名なエラブユリをはじめ色鮮やかな花々が一年中咲き、島内には大小300あまりもの鍾乳洞があることから、「花と鍾乳洞の島」とも呼ばれる。
真珠のように輝く島で、ひとやすみ。
澄みきったエメラルドグリーンの海に、サンゴ礁に囲まれた周囲約22キロメートルの小島がぽっかりと浮かぶ。真っ白な貝殻や星砂が隠れるきらめきのビーチ、やさしく白波が打ち寄せる遠浅の海岸…。ホワイトカラーがまぶしい、その美しさは「東洋に浮かぶ一個の真珠」と称されるほどだ。
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